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フロントライン・リーダーに関するグローバル調査


リーダーの最重要課題を探る


MSCのパートナー企業であるDDIは長年にわたり、一般社員からリーダーへの移行に伴う課題にリーダーとともに取り組み、研究を重ねてきました。そのなかで、フロントライン・リーダーと彼らの上司、部下、同僚など、周囲にいる人々の両方が感じる共通の懸念が見られました。フロントライン・リーダーは全従業員の80%以上の上司であり、組織の戦略実行の責任を担っていることを考慮すると、彼らの自信の欠如は重大な問題です。DDIはフロントライン・リーダーに関する継続的な取り組みとして、管理職への道、彼らが直面する課題、および周囲からの彼らに対する期待など、フロントライン・リーダーの懸念の背景を探ります。


 

管理職への道

DDIの調査の一環として、どのような人材がリーダーになる機会を得ているのか、その時期はいつなのか、そして彼らの成功、あるいは困難に経歴などのバックグラウンドが関係しているのか、といった重要な疑問に答え、リーダーへの道を検証するために、23,000人以上のフロントライン・リーダー*から得た調査結果とアセスメントのデータを分析しました。フロントライン・リーダーが仕事に与える影響を理解することは、彼らのリーダーとしての経験と懸念事項の背後にある更なる研究を促進することになります。

*本調査は、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2018に参加した9,700人以上のフロントライン・リーダーの調査結果と、DDIが実施した13,700人以上のフロントライン・リーダーのアセスメント・データに基づいています。

管理職に昇進する平均年齢:36歳

調査データを分析したところ、初めて管理職に昇進する平均年齢は、36歳という結果が出ています。データの分布を見てみると、多くの人は、25歳~38歳の間に管理職に昇進していますが、中には16歳や69歳で初めての管理職に就いている人もいました。このように、初めて管理職に昇進する年齢は人によって異なります。これは、その人達が管理職として、どのようにスキルを身につけ、能力開発をしていくのかという点に大きく影響しています。16歳や69歳という人はかなり極端な例ですが、まだ職業人としての経験が浅い若手人材と、すでに長年の就労経験のあるベテラン人材のように、年齢的にも経験的にも大きな違いのある人材に対しては、「全員に同じ研修」というアプローチは効果的とは言えず、それぞれのニーズに応じた適切な学習体験が求められます。

「私が初めて管理職になった時は、不安がありました。そもそも私は変化が嫌いで、昇進前に自分が任せられていた仕事で満足していたのです。毎日決まった時間に出社して、自分のシフトをこなして、終わったら帰る。そういう生活が気にいっていました。」 – オペレーションマネジャー/物流業界

待つべきか、待たざるべきか?

組織に採用されてから、管理職に昇進するまでの期間の平均は、6年でした(*注記:海外では新卒採用ではなく、キャリア採用が主流)。しかし、専門性の高いスキルを習得した人材の争奪合戦が激しくなる一方で、雇用状況が活況(つまり転職しやすい)の状態が続いている中で、昇進前のハイ・パフォーマーは何年間待ってくれるでしょうか?その社員が優秀であればあるほど、昇進の機会を求めて、明日にでも転職する可能性があります。したがって、適切なタイミングで優秀な管理職候補となる人材を昇進させることができなかった(あるいは少なくとも彼らが管理職候補として期待されていることを明示的に伝えなかった)組織は、貴重なスキルをもった人材を失う可能性が高いといえます。反対に、データから読み取れる良い面もあります。非管理職から管理職の役割に昇進した人材の64%が、さらに上位階層への昇進を目指して組織にとどまる意図を持っている、という結果データからは、「管理職に昇進させること」が、「優秀な人材の定着」に大きく貢献することが読み取れます。

「私は何年も前から昇進したいと思っていましたので、別の会社から、管理職のオファーが来たときは、私はそれに飛びつきました!」 -プロダクト・デザイン・マネジャー/IT業界

「泳ぐか、沈むか」最初の4年間の試練

リーダーシップ・スキルの発揮を必要とする管理職に初めて就いた人の多くは、その新しい役割に馴染むことに苦労しますが、昇進後すぐに十分なサポートを得ることは稀です。多くの人は、リーダーシップ・スキルについて、全くトレーニングの機会がないか、トレーニングを受けたとしても、管理職に就いてから何年も経った後だったということも珍しくありません。データを分析したところ、リーダーシップ・スキルに関する能力開発プログラムを最初に受講した年齢の平均は、「40歳」という結果が出ています。これは、管理職になる平均年齢の「36歳」から4年後です。このような昇進とトレーニングのタイミングの時差は、現場の管理職にとって何を意味するのでしょうか。彼らは、管理職としてのキャリアの早い段階でミスをしているかもしれず、そのミスは、部下や同僚との関係性を著しく損ない、その後のパフォーマンスにおいて、長期的な悪影響を与えている可能性もあります。

「私が初めて管理職に昇進したときは、右も左もわかりませんでした。私の上司は放任主義で、トレーニングなんてものは一切ありませんでした。いきなり川に突き落として、私が泳げるかどうかを見ているような感じですよ。最初の数カ月は、当たって砕けろの精神で、がむしゃらに乗り切っていましたが、自分のやっていることが合っているのかどうかなんて見当もつきませんでした。」- 非営利団体/配送部マネジャー

男女差(ジェンダーギャップ)は早期に始まる

データが示すところによると、管理職層における男女比のバランスが良い組織のほうが、ビジネス上の収益性も高くなる傾向にありますが、実際は、女性が管理職に占める割合は全体で3分の1以下であり、しかもその総数の大半は初級管理職(課長程度)に留まっています。さらに、たとえ女性が管理職になった場合にも、そのチームの規模は、男性と比べると小さくなる傾向があります。調査データで男女の部下人数(中央値)を比較したところ、女性課長の部下人数が「5人」であるのに対し、男性課長では「7人」という結果が出ています。このような男女差は、実は、女性が管理職に昇進する以前(つまり候補者になる段階)から生じています。管理職候補者の男女数を比較したデータをみてみると、女性の候補者の割合は、階層が上昇するにつれて低下していることが読み取れます。初級管理職の候補者の段階では40%を占めている女性比率は、経営層の候補者の段階では、実に12%まで低下しています。

「私は若い頃、”重要な仕事は、一緒にゴルフをしながら決まるものだ”というのは、全くの冗談だと思っていましたが、実際は、冗談ではありませんでした。そして、私が2度目の昇進をした頃には、女性である私は、ここでやっていくとはできない、とはっきりと理解しました。」 – 金融業界/女性管理職

パフォーマンスに性差は関係しない

女性にリーダーシップが欠如しているとよく言われる理由の1つは、彼女らが生まれながらにしてリーダーシップが低いかもしれないと思われているからです。しかし、フロントライン・リーダーの女性と男性を比較すると、計画力、判断力、意思決定といった「ハードスキル」で女性は男性と遜色ない能力を発揮し、リーダーシップとインタアクション・スキルといったコミュニケーション・スキルでは、男性より優れた能力を発揮します。特にコーチング、変化の推進、信頼関係の構築といった分野で優れています。このことは、パフォーマンスの差が、リーダーシップを執る機会の差と必ずしも結びつかないことを示唆しています。

「私は彼(同じ役割にある男性の同僚)がなぜ、毎年少なくとも1回、カンファレンスに出席しなければならなかったのか、理解ができませんでした。 私は幸運にも、2年に1回は行かせてもらっていましたが、それでも常に優れたパフォーマンスを評価してもらっていましたし、私のチームのエンゲージメント・スコアは並外れて高いものでした。」 -部長(ヘルスケア業界)

MBAはより良いリーダーを生み出すわけではない

多くの人がMBAを取得するのは、より高い職位に就くことを目的としており、その授業料は決して安いものではありません。アメリカの授業料は平均10万ドルです。ところで、MBAを持っている人は、持っていない人よりもリーダーシップが優れているのでしょうか? MBAを取得しているフロントライン・リーダーと、ビジネスの学士号は取得していてもMBAを取得していないリーダーのリーダーシップ行動を比較すると、あまり違いはありませんでした。組織は、MBAを持つ人材をリーダーの役割に採用することに重点を置きすぎている傾向があります。また、MBAを取得していれば、業務に必要なスキルが備わっていると誤解している可能性があります。さらには、MBAがすでにカバーしていると誤解して、これらの人材に十分なリーダーシップ・トレーニングを提供していない可能性があります。

「私は初めて管理側の役割になった時、自信を持っていました。ところが、MBAを持っていても、チームを率いる準備ができていないことにすぐに気づきました。人からのフィードバックをきっかけに、自分のコミュニケーションのやり取りについて考え、私には一部のコミュニケーション能力が間違いなく欠けていることに気づきました。」 – 工具設計マネジャー、製造業

リーダーの半数以上は放置されている

より積極的にトレーニングを求める学習意欲の高いリーダーは、「ハイポテンシャル人材」としてみなされることを望んでいます。フロントライン・リーダーの45%は、組織のハイポテンシャル・プールの一員として公式に認められています。それはつまり、他のリーダーに比べ、毎年2倍多い資金と25%以上の能力開発時間が提供されることを意味します。 しかし、ハイポテンシャル・プールから外れたリーダーはどうなるでしょう?リーダーとしてのポテンシャルが低いと言われたリーダーは、総体的に意欲と業績の低下を示します。

「長期的なキャリア開発やコーチングはもちろんのこと、最初のOJTトレーニングですら、 私にはほとんどありませんでした。」 – コンテンツ開発マネジャー(組織のハイポテンシャル・プールに入っていない)

多才なリーダーは人文科学を学んでいる

理学や工学の学位を有する人は、人文科学の学位保有者よりも優れたキャリアの選択肢が得られると言われることが多いのですが、STEM分野(科学・技術・工学・数学、理系)の人は、組織のより高い階層で成功するために必要なリーダーシップ・スキルを身に付けるために、より苦戦することがアセスメントから示されています。異なる学歴を有するリーダーのアセスメント結果を比較したところ、重要なリーダーシップ・スキルにおいて大きな格差があることが判明しました。 人文科学の学位を有するリーダーは、対人関連のリーダーシップ・スキルにおいて優れた能力を発揮しました。逆に、経営学やハードサイエンスといわれる数学、自然科学、工学などの学位保有者は、判断力、問題分析力、計画と組織化といったビジネス関連スキルに秀でていましたが、対人関連スキルには苦労していたことが、調査により、明らかになっています。

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