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フロントライン・リーダーに関するグローバル調査 第ニ弾


リーダーが直面している課題


MSCのパートナー企業であるDDIでは、フロントライン・リーダーに関する継続的  な取り組みとして、管理職への道、彼らが直面する課題、および周囲からの彼らに対する期待など、フロントライン・リーダーの懸念の背景を探求しています。
前回の調査所見のなかで、管理職になるまでの道のりは、多くの困難が待ち受ける旅であることを示しましたが、リーダーは職場でどのようなことに取り組んでいるでしょうか?この調査では、彼らがリーダーとしての役割において直面する課題を把握するために、23,000人以上のフロントライン・リーダーから得た調査結果とアセスメントのデータを分析しました。フロントライン・リーダーの苦難をより的確に把握することは、彼らの役割に対する懸念事項の根底にあることを理解するのに役立ちます。

*本調査は、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2018に参加した9,700人以上のフロントライン・リーダーの調査結果と、DDIが実施した13,700人以上のフロントライン・リーダーのアセスメント・データに基づいています。


 

組織の目的を示すことの難しさ

DDIの調査によれば、明確な目的を持った組織は業績において市場の平均値を42%上回っており、多くの組織の人事部門は目的を推進し、リーダーを鼓舞するミッション・ステートメントを作り上げることに精力的に取り組んでいます。調査した人事担当者のうちの90%は、自社にミッション・ステートメントがあると回答しました。しかし、自社にミッション・ステートメントがあると回答した初級管理職はわずか28%です。さらに、調査した3分の1の人々は、自社のリーダーが組織の目的を体現しているとは感じていません。 どこかの時点で、目的が正しく伝わらなくなっています。 人事は組織の目的に関する文書を作成していますが、彼らのメッセージは現場には届いていないのです。

「自社にミッションとビジョンに関するステートメントがあるかどうか尋ねられたとき、私は空欄にしました。」 -石油およびガス会社 監督者

失敗する余地はない

実業界のリーダーは、しばしば「次の成功につながる失敗をすること」の重要性について語ります。これは、失敗から学ぶことにより、さらに良い状態になることを意味します。この考え方は理論的にもイノベーションを促進するとされていますが、DDIが調査した初級管理職の14%は、彼らの組織で、イノベーションやさまざまなアイデアを追求するために失敗が受容されることは、全くないと感じています。そして、非常に広い範囲で失敗が受け入れられていると確信しているのは、わずか7%です。 リスクを回避することを教え込まれたリーダーは、新しいアイデアや失敗から得られる共通の学びを逃してしまう可能性があります。言うまでもなく、彼らは組織で働く大半の人を率いる存在として、チームの心に失敗は受け入れられないものだという考え方を染み込ませ、完璧さを追求するあまり、組織的な成功の必須要件であるイノベーションを押しつぶしてしまうことになります。

「リーダーになって最初の8か月で、試行錯誤することから最高の学びが得られました。これは、私自身のリーダーシップの失敗と、他人の失敗をまのあたりに見たことによるものでした。」 -保険会社 カスタマー サービス マネジャー

デジタル・スキルは必須要件

今後3年間にリーダーに求められる最重要スキルとして、人事は、知的好奇心、文化的な関心、全方位型思考(360度の思考)、デジタル・リテラシー、デジタル化を活用したリーダーシップ、バーチャル・チームを主導する、といったスキルを挙げています。問題は、これらのスキル全てが現在、組織において、能力開発の重点領域としての位置づけが低く、リーダーの将来の成功のために最も必要とされる、上述のスキルの啓発が立ち遅れつつあることです。 人材の特定と育成についても、将来に向けた重要なスキルとして人事が挙げていますが、DDIの調査によれば、リーダーはこの分野において、ある程度優れているというレベルに過ぎないことが判明しています。 フロントライン・リーダーの育成において、同スキルが現在、確実に重要であることが明らかな一方、身につけるのは極めて難しく、今後3年間で、チームにふさわしい人材を特定するスキルをリーダーが十分に習得できるとは考えにくい状況です。リーダーは、成功するために最も必要なスキルが身についていない状態で、将来に向かっている可能性があります。

「最初に管理職になったとき、面接と採用にこれほど時間を割かれるとは思ってもみませんでした。面接手法のトレーニングの機会も与えられず、人材の採用と、他の仕事全てへの対処、両方に取り組んでいくことは、まるで悪夢のようでした。」 -ソフトウェア会社 チームリーダー

デジタル化に関連するリーダーシップは準備不足

リーダーは、「決断力、共感力、適応力、関連性、整合性」といった、彼ら自身の力でコントロールできるスキルに関しては自信を持っていますが、その一方で、「他者を鼓舞する、緊密な協働、戦略実施の推進、将来の人材の育成」のような、他者に左右されるスキルには自信がないことが明らかになっています。デジタル化におけるワークフォース関連のスキルは、人事が将来において最も重要なスキルの1つであると捉えられています。しかし、リーダーは、「デジタル・リテラシー、デジタル化を活用したリーダーシップ、バーチャル・チームを主導する能力」に対する自信が最も低く、恐れさえ抱いていると報告しています。 これはマネジメント上、問題です。その理由は、デジタル・ワークフォース関連のスキルは、現在リーダーにとって能力開発の優先度が低く、いつまでたってもスキルギャップは埋まらず、おそらく益々大きくなることを示しているからです。 さらに、これらのスキルの1つの領域にさえ自信がないリーダーは、十分な潜在能力の発揮のみならず、日々のパフォーマンスにも影響を与えかねません。

「テクノロジー関連、それは私にとって最も難しいことです。あらゆる変化についていくことができず、学んだことをチームに教える準備ができているとは思えません。」-金融機関 経理部長

ミレニアム世代にとってもクラスルーム形式のトレーニングはいまだに王道

人は、上司や外部メンターからのさらなるコーチングを求めているだけでなく、リーダーシップ・スキルを磨くための公式な学習を求めています。調査対象であった初級管理職のうち、59%が、より多くの「公式な」ワークショップ、トレーニングコース、セミナーを望んでいると回答しました。驚くべきことに、ミレニアル世代のリーダーにおいては、65%がより「公式学習」を望んでいると答えました。彼ら「デジタル世代」は、テクノロジーを介してすべてを受信することを好むと考えられがちですが、同時に彼らは歴史上最もクラスルーム形式で教育を受けた世代であり、それゆえにこの形式にも非常に慣れ親しんでいるのです。彼らリーダーが、「公式学習」の方法として慣れている形は結局、どのような能力開発の方法を好むかと一致しており、この結果はミレニアル世代の学習志向に関するDDIの調査結果とも一致しています。

「これまで参加したリーダーシップ・トレーニングのうち、私は実際の教室でのトレーニングが好きです。 「古い」と思われても構いません。これがもっとも私の学びやすい形です。」 -テレコム業界 マーケティング・マネジャー

コーチングへの渇望

フロントライン・リーダーに関するDDIの調査では、彼らが組織においてより優れたリーダーであるために必要な学習や能力開発を受けていないことが示唆されています。 DDIの調査対象の半数近くが、現在上司から受けているコーチングよりも多くのコーチングを望んでいると答え、57%が、社外からのコーチングを望んでいると回答しました。 また、リーダーとしての全般的な能力開発ニーズ、つまり、リーダーとしてのスキル、能力、および自信を向上させる取り組み、については、調査対象である初級管理職の半数近く(49%)が、上司から必要な能力開発支援を受けていないと回答しています。 現場のリーダーがより多くのコーチングを望んでいることは明らかで、彼らが最も望んでいる社外からのコーチングは多くの場合、組織が提供する能力開発の選択肢にはありません。 DDIの調査によると、42%の組織が社外からのコーチングを従業員に提供していますが、多くの場合、対象は上級管理職です。

「私の上司は、コーチングはもちろんのこと、めったに私のマネジメント・スキルやリーダーシップについて言及しません。現在の仕事がどのように進行しているのか、そして今後の課題について話をする程度です。」 -製造・研究業界 ITマネジャー

メンターがいない

大部分の人たちは、リーダーとして何をすべきか、どのように成長するかのガイダンスなしにリーダーの役割へと踏み出しており、必要とするメンターシップを受けている人はほとんどいません。実際にDDIが調査した60%の人たちは、メンターがいたことがないと報告しています。しかし、自社のリーダーの質が全体的に優れているとリーダーが評価した組織のうち、53%が何らかの形でメンターシップを受けていると回答しました。メンターと質の高いリーダーとの関係が密接に結びついている場合、そもそもメンタリング・プログラムを導入していない組織は、それを見逃しがちです。 さらに組織は、自身の知識や経験を若手に伝えることができるシニアリーダーと、将来を担うリーダーとを結びつけるような支援をしていません。データによれば、組織の知識が失われる前に、それを継承する準備が十分に整っていると感じているフロントライン・リーダーはわずか22%です。知識の蓄積は、ベビーブーマー世代の定年が急速に増えている中で、喫緊の課題です。

「上司は私に、何かわからないことがあれば、いつでも電話していい、私のドアはいつでも開いている、と言ってくれました。彼は、私のキャリアについて、いつでも話す用意ができていると言い、しかもそれは決して堅苦しいものでもありませんでした。」 -消費財サービス シフトマネジャー

隔絶した職場環境

自社の人材が、部門を越えて目標を達成したり、課題解決に取り組んでいると回答した初級管理職はわずか48%でした。彼らの多くは、他者と協働するスキルがそれほど高くないと感じており、多様な情報源や視点に基づいて行動している、と自信を持って回答した人は、54%にすぎませんでした。 これは、強力な集団的リーダーシップを発揮する「考える組織」は、情報に基づいたより的確な意思決定を行い、競争環境に強く、顧客ニーズへの対応にも自信があることに関連しています。言うまでもなくこうした組織は、リーダー候補を他の組織よりも5倍備えており、組織へのエンゲージメントが高いリーダーが、他社と比較して2倍いるものです。 組織は、部門を越えたリーダーシップチームの構築をすべきで、あらゆる階層のリーダーに、協働するスキルを習得させる必要があります。協働に焦点を当てないと、組織が目標を達成する上で必要となるコミットメントやエンゲージメントを多くのリーダーが欠く、というリスクを組織は抱えることになります。

「リーダーになったときに、まったく新しい分野の部署に異動しました。 ここでは誰もが「サイロ」に働いているのを見て、驚きました。私はむしろ、より多くの議論をし、協働することが当たり前になっていたからです。」 -メーカー 製造マネジャー

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