レポート - レポート・講演Report - Knowledge

フロントライン・リーダーに関するグローバル調査 第三弾


上司の本音


フロントライン・リーダーに関する最新の調査データは、人々が一般社員から管理職に昇進する際に感じるストレスを明確に示しています。これらの新任リーダーの心理や考えを理解し、彼らが最初の管理職の役割を引き受けた理由、どの階層までの昇進を望んでいるのか、最大のストレスは何かなどを把握するのに役立ちます。
管理職としての課題に関する本音や経験を収集するために、1,000人以上のリーダー、経営幹部と一般社員からの調査データを分析しました。

*本調査は、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2018に参加した9,700人以上のフロントライン・リーダーの調査結果と、DDIが実施した13,700人以上のフロントライン・リーダーのアセスメント・データに基づいています。


 

予期せぬ昇進!

調査によると、管理職に昇進した人の大半が「管理職になるつもりではなかった」、つまり管理職になるための準備が整っていなかったという懸念事項が示されています。実際、70%ものフロントライン・リーダーが、管理職への昇進を想定していませんでした。そのうちの20%が「驚きはしたものの昇進への期待が募った」、17%が「自分のキャリアにおける自然な流れととらえて役割を引き受けた」と回答しています。このように、ほとんどのリーダーが昇進時に、リーダーシップを発揮する準備ができていません。そのため、組織は彼らが成功するために必要な支援と、早期のトレーニングを提供することが重要です。

管理職の責務を引き受けるもうひとつの理由が昇給です。リーダーのうち5人に1人(19%)が、報酬がモチベーションとなったと回答しています。その一方で、昇進や昇給は喜ばしいと思いながらも、他者を率いることに対する意欲がなく、昇進したいと思えるほどの準備もできていなかったという報告もあがっています。総合的に考えると、他者を率いることに対するモチベーションのないリーダーは昇進にストレスを感じ、また何より職場において、リーダーとしてのスキルアップに時間を取られることにストレスを感じ続けています。組織は人選の際に、リーダーになることに対するモチベーションの有無を考慮しなければなりません。彼らはリーダーの役割にストレスを感じやすく、それが退職への引き金となりかねないからです。

「管理職など目指していませんでした。何というか自然の成り行きで昇進してしまったのです。」 – 製造/ツールデザインマネジャー

最高経営幹部職への躊躇

将来、最高経営幹部職になれると思っている管理職などほとんどいない ——組織が確固たる人材の供給体制を構築するためには、より上位階層の役割を担うポテンシャルをもつ初級管理職が必要となるので、これは組織にとって憂慮すべき状況です。

調査対象の管理職のうち76%は自身のキャリアにおいて、より上位の責務を担いたいと願っていることが明らかになっています。34%が現在よりも1段階上の、組織運営的な役割を担う上級管理職やディレクター、あるいは部門長を希望しています。さらに、31%は2段階上の、組織戦略を担うポジションを希望しています。ところが、最高経営幹部職(Cレベル)となると、フロントライン・リーダーのうち、わずか10人に1人(11%)しか、自身がそのポジションに昇りつめる姿を見据えていません。このような最高経営職に対する関心の欠如を解消するために組織がとるべき行動は、積極的に初級管理職層の中から上位職のポテンシャルをもつ人材を見極め、早期の段階で優先的にその人材を育成していくことです。

「管理職として昇進し続けたいです。いつかはディレクターになりたいとさえ思っていますが、会社全体の舵取りに興味はありません。」 – 薬品/研究開発部門 管理職

自然に受け入れるのは少数派、多くはストレスに

初めて管理職に昇進したときのことを振り返ってもらうと、みな異口同音に職務の変化を受け入れて行くのは容易でなかったと述べています。調査結果もそれは同様で、大半(84%)の人が「管理職として初の責務を遂行していくのはストレスだった」と回答しています。「職務の変化を自然に受け入れられた」と回答したのは16%のみでした。新たな役割に対する準備ができていたか否かとなると、「準備万端だった」と回答したのは10%にとどまる一方、残りの90%は「何かしらの準備不足があった」と回答しています。そのうちの75%は「著しくストレスだった」と述べています。このように準備不足では、長期にわたり理想の形で責務を果たしていくことは難しく、現にほとんどのリーダーが「できるようになるまでは、できているふりをしている」という状況に陥っています。管理職に昇進した人のうち60%が最初の2年で何らかの失敗をするのも無理ありません。結論として、昇進したてのリーダーはさらなる支援を求めているのです。

「私自身、管理職として初の責務を全うするのが非常にストレスだったので、むしろ過去の経験を共有することに対して、以前よりはるかにオープンになりました。昇進したての人に自分の失敗談も話しますし、こういったコーチングをする/しないで随分違います。十分に経験を積んだ人でも管理職への昇進が初めてであれば、今までとは異なる難題に直面するものです。」 – セールス・マネジャー

リーダーが夜、眠れなくなる要因は?

リーダーにストレスを与えている最大の要因として、「社内の力関係をうまく使うこと」「すべての業務を完遂させるための時間を確保すること」「スキルアップのための時間を見つけ出すこと」の3つが挙げられています。2019年に実施されたLinkedInラーニングの調査も、学習を阻む大きな要因は「時間」だと指摘しています。リーダーは最も時間に縛られており、日々急ぎの仕事の処理に時間を取られ、自分の能力開発のためにはほとんど時間を割けないリスクにさらされています。さらに調査結果では、週に5時間以上の学習時間を確保できた人は、自分がキャリアの中で目指す姿がより明確に見えており、大きな目標をもち、ストレスも少ない確率が高いことが示されています。計画的な能力開発はリーダーの継続的な成長に不可欠であり、従業員のスキルアップや育成の時間を就業時間として組み入れている組織は、昇進の準備を万端に整えるために必要なことをリーダーに提供しているといえます。

「新しい職務に就いたとき、これまで気にしなくてよかったような社内の力関係に慣れていくのに、ほぼ丸半年かかったことに驚きました。」 – 金融/営業管理職

リーダーとしての職務を楽しむか、後悔するか

新たな責務を引き受けるのがストレスであれば、その仕事を好きになれないのは当然です。リーダーとしての職務が好きだと回答した人でも、そのうちの40%には苦労している分野があり、複雑かつ不明瞭な管理職業務に対処することや、上級管理職と働くことは難しいと述べています。このことからも、従業員満足度が高い組織であっても、能力開発領域がないかを精査することは非常に重要です。一方、ほぼ5人に1人(18%)が、「新しい職務を引き受けたことをまずは後悔した」と述べています。また、5人に2人(41%)は、「確信をもてないこともあったが、概ね管理職業務を楽しんでいる」と回答しました。これらの人たちは、管理職としての士気は非常に高いものの、様々な難局において組織が適切な方向づけや支援を提供できないと、新たな機会を求めて退職してしまう可能性があります。

「管理職は好きです。特にチームの全員が十分に機能して、すべてがうまくいっているような時は。まるで、急カーブにアクセルを踏めば踏むほど加速していくみたいに、みんなの仕事が次々成功して、楽しいです。でもすべてがうまくいかないとき、自分のコントロールを超えた無理難題に対処しなければならないようなときは、ただただきついですね。」 – 消費財メーカー/マーケティング・ディレクター

ワークライフバランスをとるミレニアル世代

圧倒的に多かった回答として「リーダーシップ・スキルによって人間関係の質も向上した」というものが挙げられます。個人的な趣味の追求に割く時間や労力はなかなかないものの、友人や家族に自分の仕事について話すことを誇りに感じている人は多いようです。ところが、ワークライフバランスの取り方となると、世代間で違いが出てきます。調査対象のうち、X世代(※)の23%が「いつ何時でもメールを確認し、会社と連絡できる状態でないとならない」と感じている一方、ミレニアル世代で同様の回答をしたのは13%にとどまりました。この結果は、常にデジタル世界と繋がりながら育ってきたミレニアル世代のイメージと矛盾しているように思われます。各世代のうち、ミレニアル世代が最も家でストレスを感じており、仕事とプライベートを完全に分けて生活を送っているようです。ストレスを最小限に抑えてバランスを取る対策として、デジタル世界から離れてみるということをリーダーがチームのために実践してみるのもひとつの手段です。

(※)1960 年代半ばから 1970 年代半ばに生まれ、高度成長期に育った世代

「仕事で身につけたリーダーシップ・スキル(相手の自尊心を大切にし、共感を示すこと)は、プライベートで家族や友人と会話する上でとても役に立っています。」 – 行政機関/管理職

リーダーを駆り立てるものは?

リーダーにとって「ストレス」は共通のテーマですが、それでも60%の人は自分の役割を肯定的に捉えています。あらゆる管理職層、性別、世代を通じ、「自身のリーダーとしての経験をどのような言葉で表現しますか?」という質問に対し、上位3つの回答は「刺激的」「誇り」「自信」でした。リーダーは、チームや同僚の仕事の成功を支援したり、他者とのつながりを感じたりすることに突き動かされています。また、組織内で起きている出来事に対し、以前より影響を与えられることにやる気を感じているのです。

「チームメンバーにモチベーションを与えることに、やりがいを感じています。新たな仕組みで難題を乗り切るようにやる気を与えたり、育成に必要な様々なことに取り組ませたりして、それで彼らがうまく実践しているのを見ると、自分の励みになりますね。」 – ヘルスケア部門長

原文はこちらをご参照ください。

人材開発に関することは、お気軽にお問合せください
お電話でのお問合せ
03-6625-5953
(平日10:00~17:00)
フォームでのお問合せ
お問合せフォーム

レポート・講演

お電話でのお問合せ
03-6625-5953
(平日10:00~17:00)
フォームでのお問合せ