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フロントライン・リーダーに関するグローバル調査 第四弾


フロントライン・リーダーは何を求められているのか


フロントライン・リーダーに関する調査の一環として、このセクションでは、周囲がフロントライン・リーダーをどのように見なしているのかについての見識を提供します。
DDIでは、二つの観点からデータを分析しました。一つ目は、上司としてのフロントライン・リーダーに対する一般社員の見解、二つ目は、経営幹部が初級管理職にこれまでとは異なるやり方を望んでいることの見解です。
これらの二つの観点からの考察は、フロントライン・リーダーが他者から受けるプレッシャーの全容を把握するのに役立ちます。
管理職としての課題に関する本音や経験を収集するために、1,000人以上のリーダー、経営幹部と一般社員からの調査データを分析しました。

*本調査は、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2018に参加した9,700人以上のフロントライン・リーダーの調査結果と、DDIが実施した13,700人以上のフロントライン・リーダーのアセスメント・データに基づいています。


 

退職理由、それは上司

「人は会社から去るのではない、上司から去るのだ」と昔から言われていることが調査でも明らかになりました。上司が原因で会社を辞めた経験はない、少なくとも辞めようと考えたこともないというラッキーな人はわずか12%で、実に57%もの人が過去に上司が原因で退職した経験を持っています。さらに14%に至っては、同様の理由で複数回、会社を去った経験があることが判明しました。その他の32%は、同理由での退職経験はないものの、真剣に考えたことがあると回答しています。

部下を辞めさせてしまう理由は何でしょう? 最もよく挙げられるのは、上司が「仕事を評価してくれない」「プロフェッショナルでない」「懸念事項を聞いてくれない」という点です。加えて「共感してくれない」という意見も挙げられています。「共感」は管理職の基本原則であり、管理職として成功するためには不可欠な要件です。このスキルは幸い、練習することで身につけることが可能なため、優れたリーダーになる一助となります。

「上司と共通の理解を得ることができませんでした。昇進しなければ辞めていたところですが、幸いにも昇進して、別のとても良い上司と一緒に働けることになったのです。辞めなかった理由はそれだけです。」 – 製造/技術管理職

困難な話し合いに苦戦

経営幹部は、自社のリーダーの最大の弱点を、直属の部下と業績に関する難しい話し合いを行う能力に欠けることだと述べています。加えて、部下のコーチングやエンゲージメントの強化、彼らを鼓舞して奮起させる能力が低いことを挙げています。彼らの指摘は適切で、実際にフロントライン・リーダーもこれらの能力の欠如を自覚しています。特に難しい対話を部下としなければならない点については、支援が必要だと感じているようです。

これらの調査結果は、部下が自分の評価面接をどのように受け止めているかに反映されています。ほとんどの組織で毎年行われている評価面接について、76%の部下はそのやり取りを肯定的に捉えています。そして「上司は自尊心を大切にし、方向性を明確に示すが、改善に向けたコーチングには苦心しているようだ」と回答しています。

この問題の解決策の一つは、コーチングの頻度を上げることです。頻繁にコーチングを行えば、部下たちも少しずつ仕事のやり方を調整することができ、時間をかけて最適な結果に繋げていくことが可能です。また年に一度、期末だけに、しかも昇進や昇給の判断に直結しそうな重要なミーティングの機会を待つより、はるかにプレッシャーが軽減されます。

「新任管理職としては、業務管理がどれほどになるか予想していませんでした。評価面接や一対一の面談、ふと思い立って立ち寄ってくれる機会、どれをとっても部下との対話は、私自身その日が良い一日だったかどうかの基準の一つとなっています。また、自分自身の一番の課題とも言えます。」 – データサイエンス・マネジャー

時間は重要な要素

10人に9人の一般社員が職場でストレスを感じています。彼らの最大の問題は「全ての業務を完遂させるための時間を確保すること」と「社内の力関係をうまく使うこと」です。これはフロントライン・リーダーのストレスと類似しており、リーダーにストレスを与えているのと同じストレス源がチームにも影響を与えているようです。

社員は、時間の確保が厳しい局面において、業務のやり繰りにはさらに多くの労力を割かねばなりません。彼らは週平均46時間就労していますが、経営幹部はこの点に気づいていないことがあります。これはリーダー層の就労が週45時間程度だと思われていることが大きな要因です。部下の時間と業務の優先順位付けを支援することが、フロントライン・リーダーのみならず組織における全ての管理職層にとって喫緊の課題となっています。

「日々職場で水の中に沈められている気分です。出勤してどうにか水の中から顔を出して、でも一日が終わっても仕事が追いつくことはないんです。先週の木曜からTO DOリストの一行目にある業務すらまだ終わってないんですから。」 – システムエンジニア

理由を伝える

組織が従業員エンゲージメントの向上に継続して取り組む中で、リーダーが逸している最大の機会として、意思決定の際にメンバーを参画させることが挙げられます。
部下との会話には頻繁に努めるものの、決定事項の根拠を説明したり、重要な決断に関与させたりすることにはあまり長けていません。

部下は、「上司は決定事項の理由を常に説明してくれるわけではない(51%)」「自分の仕事に関連する決定に関与させてくれない(60%)」と述べています。これでは自分の業務の背景や目的がよくわからず、従業員エンゲージメントが下がる可能性が非常に高まります。

フロントライン・リーダーはあらゆる管理職層と同様に、バランスを見て責任や当事者意識を持たせたまま、部下を様々な意思決定に関与させる必要があります。部下は自由に任せてくれる上司を称賛しますが、重要な決定に関与させてくれなかったり、自分に関連する変更事項の背景を教えてもらえなかったりすると、心が離れてしまうことがあります。

「上司は細かいことまで口を出しすぎるタイプというほどではありませんが、何か意思決定する場合に私の意見を聞いてくれません。次のプロジェクトが決まるとそれを伝えてくれるだけですよ。」 – 金融/アナリスト

必要な支援は明確にもかかわらず、得られない理由

経営幹部は、フロントライン・リーダーの成功を妨げている四つの障壁として、「責務が多すぎる」「ひとりで取り組み方を考えている」「スキルアップの時間が不足している」「昇進時に準備が整っていない」ことを挙げています。98%の経営幹部はフロントライン・リーダーが自身の能力開発のための時間を確保したり、支援を得たりするのに苦心しているのを認識する一方で、リーダーシップ研修に投資することに価値があるとも述べています。同様に78%が「優れたリーダーになるためには、リーダーシップ・スキルは不可欠であり、彼らが初めて管理職に就いた時により多くのガイダンスを得ることができれば良かった」と回答しています。

経営幹部は初級管理職の育成支援の責任が自分たちにあることを認識しています。2019年のLinkedInラーニング・レポートでも、能力開発の促進に上司の関与がいかに重要かということが示されています。初級管理職が自身の役割における成長に必要なスキルに気づくのは、上司が具体的な方向性やガイダンスを提供してくれた時です。

「上司はリーダーシップ研修への参加を促してくれましたが、結局抱えている全ての責務を考慮すると、研修参加に時間を割けるとは思えないのです。」 – 保険/サービス・マネジャー

従業員エンゲージメントの向上

世代を問わず、「目的」は大切ですが、ミレニアル世代より上の世代の方が、さらに重要視しているようです。X世代の41%およびベビーブーマー世代の約半数(49%)が自分の仕事が世の中の役に立って欲しいと答える中、ミレニアル世代の同様の回答は31%に留まっています。
経営幹部が示唆するように、初級管理職の最大の弱みはチームのエンゲージメントを高めたり、彼らを鼓舞したりすることです。事実、部下が選ぶ「上司は日々あなたをどのような気分にさせてくれるか?」の問いに対し、「鼓舞される」という表現はかなり低い位置付けです。とは言え、奮起させることに長けていなくとも、部下が上司に望む下記の5項目を実行していくことで、チームにとって一番重要なエンゲージメントを高めることもできます。

・彼らはとても影響力があるのだと伝える
・仕事の支援をする
・努力に対して敬意を表する
・彼らがリーダー職に昇格する支援をする
・最大のモチベーションの要因は報酬ではなく他者からの承認であることを認識する

「管理職になってから、自分のチームをいかに鼓舞できるかを習得するのに数年かかりました。皮肉にも部下からそれを学んだのです。とても落ち込んでいる時に、彼と一緒にオフィスを出たのですが、『チームは難しい局面だけど、あなたはとてもよくやっている』と言ってくれました。その時の私にとっては、かけがえのない言葉でしたし、続けていく上で本当に励まされました。」 – 小売/シフト・マネジャー

原文はこちらをご参照ください。

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