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【コラム】なぜリーダーにEQが重要なのか?EQを高める方法


リーダーの感情知性(心の知能指数=EQ)の高さとは何か、なぜそれがリーダーとしての成功に不可欠なのか、そしてどのようにEQを高めることができるかについて、ご紹介します。

優れたリーダーはどのような特徴があるでしょうか? 人とのつながりを大切にすることができる、つまり、自分の感情をコントロールすることができ、社会意識が高く、人の感情を的確に判断する能力がある人です。これらの特性は、リーダーシップにおける感情知能(心の知能指数=EQ)の基盤となるものでもあります。

ではEQとはどのようなものでしょうか? なぜそれが職場で重要なのでしょうか? そして、どうすればリーダーはその能力を高めることができるのでしょうか?

 

 

EQとは?

「The EQ Difference: A Powerful Plan for Putting Emotional Intelligence to Work」という書籍の中で、著者のアデル・リン氏は、「EQとは自分の意図したとおりに生きるために、自分の感情と他者との関係を管理する能力である」と定義しています。

「感情知性(EQ)」という言葉は2005年頃に作られたものですが、世界経済フォーラムは、2020年に成功するために最も重要な職場のスキルとして、EQをトップ10に挙げています。また、優れたリーダーシップを発揮するための重要な要素としても、EQが挙げられています。仕事においてEQが重要であり続けることは明らかです。

 

 

EQが職場において重要な理由

数年前、私は最高経営幹部の候補者に挙がっているシニアリーダーと仕事をしました。当時、会社は彼の昇進を再考し始めていました。彼の事業部はすべての目標を達成していましたが、離職率は過去最高となり、さらに上昇していたのです。彼の事業部には、親会社の社員と最近の買収で新たに加わった社員が混在していました。

このような状況の中、彼は数字を上げることに注力して、新しいチームを知る努力をほとんどしておらず、また、チームに自分のことを知ってもらう努力もしていませんでした。チームメンバーから見ると、彼は自分たちをまったく気にかけず、唯一の関心事は、数字を出すことだけでした。

会社はこのリーダーに、チームの離職率を改善するためのチャンスを与えることにしました。彼はアプローチを変え、チームメンバーに注力する時間を増やしたのです。彼らがどう感じているかを尋ね、彼らに意見を求めました。そして、自分の考えや気持ちを伝えながら、どうすれば彼らが任務を遂行できるかを尋ねたのです。

その結果、離職率はすぐに低下しました。そして、他の成果指標も改善され続けました。彼は、典型的なミスをしていました。数字にばかり気を取られて、リーダーとしてのEQの重要性を忘れていたのです。

 

 

リーダーシップにおけるEQとはどのようなものか?

EQの高いリーダーの代名詞として、アマゾン社のジェフ・ベゾス氏がよく挙げられます。ベゾス氏は自虐的なユーモアを用いて相手に安心感を与えるリーダーシップ・スタイルで知られています。テスラ社のイーロン・マスク氏は、専門家が彼の会社はうまくいかないと言ったことに対し、我が社の車にチャンスを与えてくれたと、テスラの所有者に向けて、ツイッターで感謝の意を表しました。そして、フォード社の元CEO、アラン・ムラーリー氏は、従業員に手書きのメモで彼らの功績を褒め称えました。

肝心なことは、どのようなビジネスや業界であっても、人と人とのつながりを作ることが重要だということです。人は信頼できる人と働きたいと思うものだからです。

 

 

EQを構成するスキルとは

アメリカの心理学者であるジョン・メイヤー博士とピーター・サロベイ博士による感情知性の定義「感情的に知的な人は、”感情の認識能力”、”感情の利用能力”、”感情の理解能力”、”感情の調整能力”の4つの分野に長けている」から、EQのスキルとは何かを理解することができます。成功するリーダーは、4つの分野すべてに精通しています。

では、リーダーシップの中でどのようにしてEQを発揮するのでしょうか? リーダーがEQを発揮するのは、心を開いているときです。また、他者のアイデアや視点を思慮深く配慮しています。また、自分の返答や感情的な反応に偏った判断をしていません。

EQの高いリーダーはしっかりと存在感を示し、相手の心をよく読むことができます。そして、他者の感情や行動に応じて、自分の考え方やアプローチを調整することもできます。その結果、より良い成果が得られることが多いのです。

 

 

難しい状況において、EQが重要な理由

困難な状況に対処する際にEQが重要である理由のひとつは、EQの高いリーダーは、逆境にあっても冷静に考えて対応することができるからです。彼らはストレスやプレッシャーがかかったときに、自分と他者の両方の感情を上手にコントロールすることができます。

しかし、今日のリーダーが考慮しなければならないことは、燃え尽き症候群のリスクの増加です。MSC/DDIの「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021」調査では、ハイポテンシャルリーダーの86%が燃え尽き症候群のリスクを抱えていると報告しています。本調査によると、燃え尽き症候群に影響を及ぼす要因の第一位は、リーダーが共感を示す能力であることが判明しています。共感力の源は、より人間的な側面で人とつながることができる能力です。

これは、今日のリーダーが対応しなければならないことの一例です。しかし、リーダーにEQが必須ではないとしても、重要となる状況は多くあります。今日、危機はあらゆるリーダーの”ニューノーマル”の一部となっています。

 

 

危機において、リーダーはどのようにEQを使うべきか?

ここでは、危機的状況下でEQを活用する際に、リーダーが念頭に置くべき4つのポイントをご紹介します。

  1. 従業員の安全を確保し、気を配る。これは、特に困難な時期にリーダーが最初にすべき最も重要な仕事です。
  2. 全体像と戦略的な懸念事項を把握する。チームメンバーには、短期的な問題と長期的な問題のバランスをとることに、最善を尽くすように伝えてください。長期的な視点をもたずに短期的な問題を解決しようとすると、チームを誤った方向に導くような決定をしてしまう可能性があります。
  3. EQの対人関係の側面を意識する。 例えば、コミュニケーションの際に、できるだけ共感を使います。人間関係を構築し続けることは、危機的な状況下でもリーダーの日常業務の一部でなければなりません。また、特に難しい対話の際には、傾聴することが重要なリーダーシップ・スキルとなります。リーダーのEQを測る良い指標となるのは、フィードバックに耳を傾け、相手の話を忠実に反映した形でフィードバックを返す能力です。
  4.  楽観的な見方と現実的な見方のバランスをとりながら、レジリエントな考え方を身につける。レジリエンスを高める考え方は、マインドフルネスに始まり、マインドフルネスに終わります。マインドフルネスとは、自分の思考を中心に置き、ネガティブな出来事への過剰反応を避け、あらゆる混乱に対処する際に思慮深く対応する能力です。

 

 

リーダーにEQとIQのどちらが重要か?

このような質問をリーダーシップ・コンサルタントにすると、多くの場合、”状況次第”と回答するでしょう。その答えを裏づけるような調査結果が出ています。

15,000人のアセスメントデータを分析したMSC/DDIの「High-Resolution Leadership」調査によると、リーダーが人脈を広げたり、実行を促したり、チームを率いたり、説得力のあるコミュニケーションをとる必要がある場合、EQがIQに勝ることが判明しています。また、ビジネスの知識や財務的な洞察力を必要とする場合には、IQがより重要になります。

リーダーに求められるのは影響力か実行力かを問う調査結果から、意外な所見がありました。影響力は、EQよりもIQに大きく関係しているようです。人を説得する場合には、EQよりもビジネスケースと確固たる論理的根拠の方が重要なのかもしれません。

一方で、ある方向性に向けて人に影響を与えた後は、その実行においてEQがはるかに重要な役割を果たします。全員が同じ方向に向かって進むためには、EQが必要だからです。

結論として、EQもIQも重要です。しかし、リーダーシップを発揮するうえで、失敗の原因の多くは、無神経さにあると言っても過言ではないでしょう。このことを踏まえると、リーダーシップにおけるEQは開発することができるということは朗報です。

 

 

リーダーがEQを高める方法

リーダーは、EQのトレーニングや能力開発の取り組みを通じて、EQを開発することができます。MSC/DDIのリーダーシップ開発プログラムであるインタアクション・マネジメントの5つの基本原則は、あらゆる対話においてEQを発揮するための学びと実際に適用できるフレームワークです。

5つの基本原則を役員にまで導入している企業もあります。また、MSC/DDIの上級管理職向けリーダーシップ開発プログラムの「EQを高める」を導入している企業もあります。このコースでは、人がなぜ特定の行動や反応をするのかを探求することで、このテーマにより深く取り組みます。リーダーは、自分自身と相手の両方の感情のトリガーについて学びます。

しかし、EQを容易に習得できるリーダーは何が違うのでしょうか? EQを高めるには、リーダーが真摯に能力向上に向けて尽力することです。さらに、リーダーが安心して練習できる環境があり、フィードバックが組み込まれていれば、より効果的です。

例えば、ある人事部の役員は、自分が変わることを決意しました。彼は、EQを発揮する機会を逃すたびに、直属の部下に「痛い」と言ってもらうようにしました。チームとの最初のミーティングで、彼は300回「痛い」と言われました。その3週間後に行われた次のミーティングでは、1回も「痛い」と言われませんでした。EQを意識し、改善するための方法を実践することで、彼は大きく改善することができたのです。

 

 

リーダーの階層が高くなると、EQはどのように変化するか?

High-Resolution Leadership調査から得られたもう一つの興味深い所見は、リーダーが昇進するにつれて、実行の行動が多くなり、エンゲージメントが少なくなる傾向があるということです。EQがなければエンゲージメントを高めることは困難です。

このブログの冒頭で紹介した例を思い出してください。そのリーダーは、実行に傾きすぎていました。解決策として、自分のチームが大切にされている、感謝されていると感じられるように、チームとの対話に時間をかけることで、エンゲージメントを高めたのです。

しかし、リーダーシップにおけるEQは、組織のあらゆる人に重要です。ジェフ・ベゾス氏、イーロン・マスク氏、アラン・ムラーリー氏の話から、CEOであっても、高いEQをもつメリットがあることは明白です。

つまり、高いEQをもつには、使うか、失うかです。他のスキルと同じように、練習しても活用しなければ、EQに関連する行動は時間とともに減少していきます。

そのため、EQを高めるだけでなく、リーダーが常に最高の状態を維持できるようにするための時間を確保することが重要です。EQを高めるための時間を確保しないと、リーダーは成長が滞ったり、悪い習慣に戻ってしまったりする可能性が高くなります。例えば、あるCEOは、困難な会議に臨む際、「成功を生み出すリーダーのコミュニケーション・スキル」コースの対話シミュレーションを使って練習し、EQの準備ができているかどうかを確認しています。

 

 

自社のリーダーはどれだけEQに優れていますか?

手がかりとなるのは、従業員エンゲージメント調査、360度評価アセスメント、退職者インタビュー、業績データなど、さまざまなものです。これらのデータを利用して、改善の取り組みに焦点を当てることが肝要です。

しかし、ピアニストやスポーツ選手が自分の技術の基礎を毎日練習するように、リーダーも同じように練習すべきであることを忘れないでください。毎日480分の時間を、EQのようなコア・リーダーシップ・スキルの維持・開発に充てる必要があるのです。

 

リーダーのEQの向上に関心のある方は、リーダーシップ開発プログラムをご参照ください。。

 

原文はこちらをご参照ください。

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