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フィードバック文化を醸成する方法

フィードバック文化を醸成する方法

~リーダーシップ行動に基づく測定可能な方法とは~

効果的なフィードバック文化を醸成するにはどうすればよいでしょうか? また、どのようにリーダーシップ開発のROI(投資利益率)を測定することができるでしょうか?

 

職場におけるフィードバック文化の醸成に関する話題をよく耳にしますが、それには理由があります。フィードバックを求める人が多いということだけでなく、人は仕事で成功し、昇進していくためにはフィードバックが必要だからです。
フィードバック文化の醸成の仕方やその秘訣に関する下記のような記事は、数えきれないほどあります。

全社的な取り組みとしての重要性を伝える。
従業員の心理的安全性が担保されていることを共有し、フィードバックを受けられるようにする。
従業員が互いに、そして組織に対してフィードバックを与えたり、受けたりすることができるさま
 ざまな手段を提供する。

しかし、下記の重要な疑問に対応する資料はほとんどありません。

はじめに誰に焦点を当てるべきか?
うまく機能しているかどうかをどのように確認するのか?

 

適切な取り組みによるフィードバック文化の価値

多くの人事担当者にとって、2つ目の疑問は大きなハードルとなります。結局のところ、戦略的な取り組みは直感だけでは成り立たないうえに、予算を確保することもできません。効果測定ができないプロセスに賛同を得ることができるでしょうか? 従業員の定着率や収益などの重要な測定指標と結びつけずに、成功を立証する方法はあるでしょうか?

実際、効果測定の課題を残したままにすると、頻繁なフィードバックによる真のメリットが得られなくなります。しかし、これらの課題を克服することは可能です。

もう一つの疑問である「誰」から対応すべきかについては、組織に大きな影響を与えるグループ、つまり組織を方向づける初級・中級管理職、上級管理職、経営幹部といったリーダーに焦点を当てて、取り組みを始めます。そして、これらのリーダーの育成を具現化するフィードバックプロセスは、全社的なパフォーマンスに多大な影響を与えることになります。

 

フィードバックの影響を測定する3つのステップ

効果的なフィードバック文化を構築し、その影響を測定するための3つのステップに取り組み、効果を測ります。

 

1. 測定するリーダーシップ行動を決める。(例:組織のコアバリューとコンピテンシーから検討する)

コンピテンシーが組織の人事プロセスの基盤となっている場合、91%の組織が研修や能力開発がより効果的で、昇進昇格の制度がより公正であると報告しています。従って、コアバリューとコンピテンシーを基に、自社のフィードバック文化を形成しなければなりません。実際、私たちはそれらを「行動の青写真」に変える支援をしています。これにより、自社が求めるリーダーシップ行動や支援、報酬を明確にすることができます。

Feedback_91%.pngコンピテンシーが人事プロセスの基盤となっている組織の91%は、研修や能力開発がより効果的で、昇進昇格の制度がより公正であると報告しています。

DDI 職務/役割別コンピテンシー調査報告書

 

自社のコアバリューやリーダーシップ・コンピテンシーをリーダーがどのように示しているかを可視化する方法を考えてみてください。例えば、「ワークライフバランスに力を入れる」という組織バリューを支持していることをどのように証明することができるでしょうか? 勤務時間外にメールを送らない、大型プロジェクト終了後、チームメンバーに休暇を取るように勧めている、というようなことかもしれません。これらは、チームのワークライフバランスに積極的に取り組んでいるリーダーが示す観察可能な行動といえます。

同様に、コーチングに長けていることを立証するにはどうしたらいいのでしょうか? 仕事ぶりの改善に向けて、明確なフィードバックを提供したり、チームメンバーの仕事ぶりを的確に把握したりするための情報を探すことかもしれません。これらは確実に観察可能な行動でなければなりません。

コアバリュー、コンピテンシー、観察可能な行動規範を整えたら、リーダーが忠実にこれらの行動に従っているかについて、全員からのフィードバックを収集し始めることができます。 

前述の通り、新しい取り組みとその重要性を組織に伝えることが最初のステップです。また、組織にとって重要なバリューやスキルを支える適切な行動をどのように測定していくのかについても共有します。このようなコミュニケーションと具体的な行動に焦点を当てることにより、従業員とリーダーに対して、組織が期待する行動、支援、報酬、測定方法が明確になります。

 

 

2. 良いフィードバックの妨げになる感情的な障壁を回避する。

1on1ミーティングやエンゲージメント調査のような一般的なフィードバックは有用ですが、組織の力関係がその効果を阻害することがあります。挙句の果てに、直属の部下が上司に率直で批判的なフィードバックをすると、上司が威圧的になる可能性もあります。また、自分には関係ないと思っている同僚は、他のリーダーにあまりフィードバックをしたがらないことがあります。

これらの複雑な人間の感情は、しばしば成長の妨げになりますが、次のように対処することができます。はじめに観察可能な行動に関する匿名のフィードバックを収集することにより、上司、同僚、部下などの周囲からどのように見られているのか、率直で客観的な洞察をリーダーに提供することができます。例えば、週1回の頻度でフィードバックを収集して共有することで、リーダーは時間の経過とともにどのように行動が変容しているかを理解することができます。これは、人事や人材開発担当者が組織的な変化を測定するのにも役立ちます。

例えば、タンニャが7人の同僚や部下と仕事をしている場合、大型プロジェクトの後にチームメンバーに休暇を取るように促しているかなど、彼女の仕事ぶりに関する観察可能な共通の質問を設定して、7人それぞれから頻繁にフィードバックを提供してもらいます。ただし、主観を減らし、心理的安全性を確保して、協力してもらいやすくするためにも、書面によるフィードバックは避けた方が賢明です。

フィードバックの提供者に「まれに」「時々」「よく」といった頻度を問う質問に対する回答をもらうことで、タンニャの行動がどの程度当てはまるかを、心理学的に安心して率直に伝えることができるようになります。測定の観点からは、これらの客観的な回答を「数値化」することができます。これにより、人材開発担当者は、特定のコンピテンシーに対するリーダーの行動を測定することができます。

 

 

3. 新しいフィードバック文化がもたらすビジネスへの影響を時間の経過とともに測定する。

行動に関する客観的なフィードバックを収集することで、新たにピープル・アナリティクスの領域が広がります。リーダーへのフィードバックから得られるデータを活用することで、以下のような疑問への回答を得ることができます。

  • 従業員の定着率の高さと相関のあるリーダーシップ行動は何か?
  • どのような行動が効率性や生産性の向上につながるか?
  • リーダーシップ開発プログラム受講後に、どの程度、行動が変化したか?
  • コアバリューに整合した行動に変わることは、従業員のエンゲージメントに影響があるか?
  • 各拠点で共通のリーダーシップ行動をとることは、成功につながるか?
  • どの行動を改善し、優先順位をつけるべきか? どれを削るべきか?

ここでは行動の頻度に基づく客観的なフィードバックが重要になります。例えば、「ワークライフバランスを大切する」に対するリーダーの平均が55%だとすると、リーダーが健全なワークライフバランスを支持しているかどうかの質問に、フィードバック提供者が「時々」または「いいえ」と回答したことが多いことになります。そして、そのバリューを強化するためのリーダーシップ研修を企画することができます。

研修後の数週間で、時間の経過とともにフィードバックがどのように変わっていくかを追跡することができます。数値は週を追うごとに着実に上昇し、おそらく次の四半期の終わりには平均75%になるでしょう。また、同じ期間での定着率の変化を比較することもできます。ワークライフバランスの改善により定着率が向上すると仮定すると、そのワークライフバランスの研修から得られる投資効果(ROI)を算出することができるようになります。

 

適切な取り組みによるフィードバック文化の価値

リーダーシップ行動に関して、頻度に基づく客観的なフィードバックを重視する文化により、コアバリューとコンピテンシーが経営トップから一般社員まで確実に浸透します。さらに、効果的なフィードバック文化とフィードバック収集プロセスにより、長期的な影響を測定するために必要なものを得て、何がうまく機能して、何がうまくいかないかを把握することができるようになります。

 

原文はこちらをご参照ください。