ハイポテンシャル人材診断ための人材アセスメント

ポテンシャル診断ための人材アセスメント

ポテンシャルとは

ポテンシャルとは

「ポテンシャル」とは、個人や組織の潜在能力を示す言葉として広く使用されています。特に人事領域では、このポテンシャルの発見と育成が重要な課題となっています。これは、現在の実力や成果だけではなく、将来にわたって発揮され得る能力のことを意味しています。

ポテンシャルの高い人材は、単に現在優れた成果を上げているだけでなく、将来的にも組織や社会に大きな貢献をする可能性を秘めている人のことを言います。こうした人材は、柔軟な思考力、学習への意欲、逆境に強い精神性、創造力など、多岐にわたる資質を兼ね備えていることが一般的です。

人事担当者にとって、ポテンシャル診断に通じて、ハイポテンシャル人材を見極め、適切に育成し、適材適所に配置することは、組織の持続的な成長に不可欠なことです。そのためには、単に過去の実績やスキルだけではなく、個人の成長意欲や将来性を見据えた評価が重要となります。

また、組織内でポテンシャルを最大限に引き出すためには、適切な研修やキャリア開発の機会を提供し、継続的な学習と成長をサポートする文化を育むことが求められます。これにより、個々の能力を組織全体の成長につなげ、より高い目標達成に寄与することができるのです。

このように、ポテンシャルとは、目に見える成果のみならず、将来に向けた成長可能性を含意する重要な概念です。人事担当者は、このポテンシャルを見極め、育成することで、組織の長期的な成長に大きく貢献することができるのです。

ポテンシャル診断の活用方法について

ポテンシャル診断は、昇進・昇格や採用活動などに欠かせない診断ツールとなっています。特に、ポテンシャル採用において、ポテンシャル診断の重要性は益々高まっています。ポテンシャル診断は、候補者が持つ潜在能力や将来性を評価し、現在の能力・スキルや経験を超えた能力を見極めるプロセスです。ポテンシャル診断は、人材が将来にわたってどのような組織貢献(行動変容)の傾向を予測するために用いられます。

新卒採用活動の支援

●潜在能力評価:
新卒採用では、候補者が持つ学歴やアルバイト経験だけでなく、将来の可能性や適性を重視します。ポテンシャル診断は、コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決能力などの非技術的なスキルを評価します。

●企業文化フィットの確認:
企業文化との適合性を確認するために、価値観や行動特性も評価します。

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中途採用活動の支援

●キャリアの将来性評価:
中途採用では、採用候補者のこれまでの経験だけでなく、将来のキャリアの可能性も重要視されます。ポテンシャル診断により、候補者が新しい環境でどのように適応し、成長できるかを予測します。

●ポジションマッチング:
採用候補者の強みや弱みを明確にし、組織内のどのポジションが最適かを判断します。

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人員配属・昇進・昇格の判断の支援

●適材適所の実現:
適性配属の基に、従業員の適性を評価し、最もパフォーマンスを発揮できる部署や役職に配属します。さらに、昇進・昇格判断のサポート材料として昇進・昇格候補者のポテンシャルを評価し、昇進に適したタイミングやポジションを決定します。

●異動のサポート:
キャリアパスのアドバイスとして社員のキャリア志向やポテンシャルに基づいて、異動やキャリアチェンジのフォローを行います。さらに、新しいポジションや役職へのスムーズな適応を支援するため、適切なサポートを提供します。

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人材育成・キャリア開発ための個別育成プランの策定

ポテンシャル診断の結果を基に、従業員の強みや改善点を特定し、それに基づいた個別の育成プランを作成します。 さらに、各従業員のニーズに合わせた研修プログラムを設計し、効果的なスキルアップを支援できます。

リーダーシップ開発の支援

潜在的なリーダーシップ能力を持つ従業員候補を発掘し、リーダーシップ開発プログラムに参加させ、実践的な成長体験を提供し続け、リーダーシップスキルの向上を図ります。

ポテンシャル診断は、組織の長期的成長において、真の人材価値を見極め、人事業務の質を高める不可欠なプロセスです。ポテンシャル診断を通じて、人事担当者は将来性豊かな人材を発掘し、組織のイノベーション推進にも役に立ちます。

隠れたポテンシャルを引き出す4つの取り組み

ダイバーシティ&インクルージョンを重視することは、組織の隠れたポテンシャルを引き出し、新しいポテンシャルを活性化させるための鍵となります。ダイバーシティ&インクルージョンを目的とする取り組みが、「意識啓発」で始まり、そして残念なことに、それだけで終わってしまう ことが頻繁にあります。たとえば多くの組織では、多様な人材が 共通の体験を共有する取り組みとして、社員グループ(様々な多様性に基づく従業員グループ)を編成しています。

一般的なのは 「女性社員グループ」や「多文化グループ」などで、アジア系やイ スラム系、兵役経験者、LGBTQ(生まれた性と異なる性で生きる 人、性自認や性的指向を定めない人)などのサブグループを設けることもあります。通常、こうしたグループを対象としたイベントで は、経営幹部が自身の不利な状況や弱い一面の話や、組織で出世する自信のなさをいかに克服したかなど、人を惹きつける話を 共有するパネル・ディスカッションを主催したり、新刊の著者を招き、心を動かす感動的な基調講演を行います。

こうしたアプローチ は聞き手を惹きつけますが、「意識啓発」だけでは、実際の変化を もたらす計画や行動には踏み込むことができていません。 啓蒙活動そのものには何の害もないと主張する人もいますが、変化をもたらすという本来の意図を曖昧にして、あたかも「進歩」しているという勘違いを生み出す危険があります。

隠れたポテンシャルを引き出す4つの取り組み


取り組み①:既存の人材システムにおける強みと弱みを特定する

多様性の向上に関する課題はいくつかありますが、見落としがちなポイントの一つに、自組織の取り組みが実際よりも優れていると思いこんでしまうことが挙げられます。マッキンゼーとリーン・インによる最近の調査では、経営幹部のうち、女性が占める割合は10人中 1人のみであるにもかかわらず、男性のほぼ50%は女性がリーダーの役割に十分に登用されていると認識していることが報告されました。

確固たるデータと根拠がない場合、多様性を高めるため の取り組みが軽視されることや、誤った方向に進むことがありま す。このため組織では、複数のステークホルダーから、客観的な データや視点を収集して、既存のシステムやプロセス、組織風土に おける強みと弱みを判断する必要があります。これらのデータを得るためには、組織サーベイや、インタビューやフォーカス・グループ といった手法を活用します。

参考:Women in the Workplace 2023 October 5, 2023 | Report/リンク:https://www.mckinsey.com/featured-insights/diversity-and-inclusion/women-in-the-workplace

取り組み②:人選における無意識の偏見(バイアス)を軽減する

組織が多様な候補者を受け入れなければ、リーダーシップ・ポテ ンシャルの多様な源泉を活用することは不可能です。残念なが ら、人選時の面接のプロセスは、無意識の偏見(バイアス)に大きく影響されます。 しかし幸いなことに、偏見(バイアス)を減らすためにできることはいくつかあります。

●求める人材像を明確に定義する
組織が多様な候補者を受け入れなければ、リーダーシップ・ポテ ンシャルの多様な源泉を活用することは不可能です。残念なが ら、人選時の面接のプロセスは、無意識の偏見(バイアス)に大きく影響されます。 しかし幸いなことに、偏見(バイアス)を減らすためにできることはいくつかあります。

●「面接」における偏見(バイアス)を減らす
人材選抜や昇進の判断において、現在も含めて、最も使用されている診断方法は「面接(インタビュー)」です。面接においても、コンピテンシーに着目 し、候補者の過去の言動から将来の行動の予測精度を高める 手法を導入することで、多様性を制限する主観的な判断や無意 識の偏見(バイアス)を減らすことができます。さらに、各コンピテンシーを複数の面接官が評価することで、候補者の全体像を多 様な視点から見ることができ、個人的な偏見(バイアス)を取り除くのに役立ちます。人材選抜/昇進の判断に関与する人には、 偏見(バイアス)を減らすために有効な、上記のような面接技法を習得させることが有効です。

取り組み③:昇進と能力開発の判断における客観性を高める

昇進や能力開発プログラムの候補者を決める際に、「ポテンシャ ル」のある人材の選定をマネジャーに一任していることがよくあります。残念ながら、この非常に主観的なプロセスでは、隠れたポテ ンシャルが見落とされる可能性が高くなります。

●昇進と能力開発に行動に基づくアセスメントを使う
客観的なアセスメントによって、固定観念や無意識の偏見(バイアス)から生じる主観性を最小限に抑え、人材に関する判断の質を組織全体 で大幅に高めることができます。このアセスメントには、特定の課題に直面した際にどのような行動をとるかを診断するシミュ レーション型の演習も加えることで、より客観性の高いデータを取得できます。

●ハイポテンシャル人材を客観的に診断する
多くのハイポテン シャル人材プログラムにおいて、ポテンシャルをもつ人材の特定 を個々のマネジャーに一任しており、その結果、マネジャーの独 自の基準により、多くの人材が見落とされるリスクがあります。 有効性が実証されているツールを、ポテンシャルの明確な定義 と組み合わせて導入することで、ハイポテンシャル人材に関する 判断の客観性を高めることができ、診断ツールがなければ見出されなかったであろう人に機会を与えることができます。

●マネジャーが人材の発掘者になる
マネジャーは、人材に関する判断において、今後も主要な役割を果たします。ここで重要な のは、より優れた人材の発掘者になるためのツール、情報、スキルをマネジャーに提供することです。

取り組み④:能力開発の機会をあまり与えられていないグループや個人に対して、その機会を増やす

MSC/DDIが示したとおり、多くの組織において、特定のグループがリーダー層に少ないという状況が見受けられます。リーダーの多様化 を促進するには、特定の個人やグループに対する能力開発の機 会を積極的に増やす取り組みを考案することが重要です。これは、 数値目標や指標で設定することではなく、見過ごされている個人 に、自らのポテンシャルを十分に引き出し、自分自身や組織にもたらす価値を高められるようにするための気づき、スキル、機会を与えることを意味します。そのためには、以下のことが重要です。

●グループや個人に、自らの認知度と機会を高めるためのスキルと見識を身に付けさせる。
見過ごされる恐れがある、または機 会を得ることに消極的な個人やグループの自信と認知度を高めるための取り組みを通して、隠れた人材の表出を推進します。たとえば、女性は任務や昇進への自信を積極的に示さない 傾向があること、また、他にも機会に対して自己アピールをしない傾向があるグループが存在することなどが知られています (内向的、違う文化の出身など)。

●リーダーをあまり輩出していないグループに焦点を当てる
たとえば、女性や特定の人種または文化的背景をもつグループな ど、特定のグループに焦点を当てたハイポテンシャル人材の取り組みを実施することができます。

●コーチングとメンタリングを通じて成長を積極的に支援する
リーダーをあまり輩出していないグループは、自身のメンターを探すという状況にはまだ至っていません。MSC/DDIが行った女性とメンタリングに関する調査では、63%の女性が、公式なメンター がいたことが一度もないと報告しています。これは、キャリアの 向上と育成を支援するうえでメンタリングが非常に重要であると認識している女性が67%いることを考えると、能力開発の大きなギャップを示しています。


※引用:隠れたポテンシャルを引き出す実践的なガイド/リンク:https://www.msc-net.co.jp/download/unleashing-hidden-potential-j/

ポテンシャルに対する視点を変え、 アプローチを広げる

多くの組織では、リーダーシップ開発やハイポテンシャル人材の取り組みに多大な投資をしているにもかかわらず、リーダーとなる人材を揃えることや、その人材の継続的な供給体制を構築することが、課題として残っています。

ハイポテンシャル人材の取り組みは、うまく機能すると、人材の準備度とパフォーマンスを大きく向上できる可能性があります。しかし、これまでに組織が行ってきたリーダーシップとポテンシャルを特定し育成するための取り組みの多くは、効果的に機能しているとは言えない状況です。

組織は、ビジネス環境が大きく変化している今こそ、リーダーシップとポテンシャルに対する考え方とアプローチも変える必要があることを認識すべきです。つまり、現在のアプローチを変えて、今行っている取り組みに見落としている部分がある可能性があることを理解しなければなりません。

リーダーシップとポテンシャルを組織全体で引き出すための考え方とアプローチを取り入れることで、ハイポテンシャル人材の取り組みの成功を加速させていくことが可能になります。

そのためには、見落とされがちな人材(隠れたポテンシャル)を見つけ出していくことが重要です。また、優れたアセスメントとフィードバックを通じて、各自が自らの強みと能力開発領域を認識し、それぞれのポテンシャルを伸ばしていくことを支援する必要があります。さらに、将来的なキャリアや、新たに生じるビジネス課題に準備するべく、様々な社員に対して幅広い能力開発の機会を提供し、成長を加速させる必要もあります。

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