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デジタルリーダー: リモート環境において、人とのつながりを保つ

デジタルリーダー: リモート環境において、人とのつながりを保つ

~今日のリーダーが直面している最大の課題~

パンデミックの影響でリーダーはチームの働き方の見直しを余儀なくされ、出社する必要がある従業員とリモートワークができる従業員を決めなければなりませんでした。しかしワクチンの普及に伴い、リーダーは従業員をオフィスワークに戻すか、あるいはリモートワークを続けるのかといった新たな決断を迫られます。

リーダーは、リモートで働くことのメリットを実感すると同時に、課題も抱えています。MSC/DDIのグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021調査には、デジタルの世界で人と人とのつながりを保つことは今日のリーダーが直面している最大の課題の一つであることが示されています。

 

チームメンバーとの関係が希薄

リモートで仕事をするようになるにつれ、多くのリーダーがチームメンバーとの何気ない会話の機会を失われています。カフェスペースでの世間話や廊下でのちょっとした会話は、これを利用して他者とのパートナーシップを強化していた多数の人々にとって過去の習慣となりました。

グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021調査では、リーダーはリモート環境でこうしたつながりを持つことに苦労していると示されています。ほとんどのリーダーは、チームメンバーをリードしたり対話したりすることよりも、仕事を確実にこなすための管理や実務に多くの時間を割かざるを得ないと感じています。実際に、リーダーは自分の時間の半分近くを他者との対話に使いたいと考えていますが、そのために使える時間は約4分の1しかありません。つまりリーダーは、良好な人間関係を築く代わりに、業務の管理に集中せざるを得ない状況なのです。

リーダーシップとマネジメントはどちらも重要ですが、リーダーシップの欠如が負の結果を招くことは多くあります。リーダーシップが欠如したリーダーの下では従業員のエンゲージメントが低下し、人とのつながりが希薄になり、影響力を発揮する機会も少なくなります。また、リーダーとメンバーが関係を築くために費やす時間が減少します。本調査では、人との対話よりも管理業務に費やす時間が多いリーダーは、エンゲージメントが32%低下し、1年以内に離職する確率が2倍、燃え尽き症候群になる確率が1.5倍高くなっています。

あらゆる階層のリーダーが、ここ数年で最も高い確率で燃え尽き症候群のリスクに直面しています。これは、リーダーが他の組織に機会を求めて転職するリスクをさらに高めるものとなります。今回の調査では、「1日の終わりに疲れ果てたと感じる」と回答したリーダーは、「1日の終わりに疲れを感じない」と回答したリーダーに比べて、今後1年以内に退職する確率が2倍高くなることが明らかになりました。

対話と管理_キャプチャー.png

しかし、燃え尽き症候群を経験している人には朗報があります。本調査では、リーダーが共感を示し、心理的な側面でつながりを持つことが、燃え尽き症候群を緩和させる最大の要因であることも判明しています。

 

社外コーチによるコーチングを切望

人とのつながりでリーダーが求めるのは、単なる交流だけではありません。今回の調査では、リーダーは社外の人によるコーチングの機会の増加を強く望んでいることが明らかになりました。

学習手法の好みは人それぞれですが、新たな視点を得るために社外の人との関わりを希望しているのかもしれません。今回の調査では、リーダーが望む能力開発機会として、社外コーチング(48%)、能力開発を目的とした任務(48%)、アセスメント(42%)が上位3位となっています。リーダーは、特に危機的な状況下で、自身のスキルや経験が他の人と比べてどの程度なのかを確認するために、客観的な検証や学習の機会を求めているのではないでしょうか。

リーダーが望む学習手法_キャプチャー.png

 

 

デジタルの世界をリードする

従来のオフィスワークに戻るかどうかはまだ不明瞭ですが、リーダーは当面の間、継続してリモート環境でチームを率いる準備をしなければなりません。リーダーは、リモートチームでつながりを持つための重要な取り組みを検討する必要があります。

 

  1. チームメンバーと個別につながりを持つ時間をとる
    リモート環境で仕事をする場合、人とのつながりを保つためにより多くの時間と労力が必要になります。リーダーは個々のメンバーとの対話に時間を割くことで関係を維持し、これまで以上に意識的にチームと話し合うよう努力することが不可欠なのです。

  2. 共感を大切にする
    リーダーは共感の力を過小評価してはなりません。今回の調査で約半数のリーダーが共感を示すことに優れていると感じていることが判明しましたが、パンデミックの際にはこの割合が著しく低下しました。調査では、リモートワークの状況下で共感力を発揮するリーダーは、自身の仕事により積極的に従事し、1日の終わりに疲労を感じることが少なく、離職の可能性も低いことが明らかになっています。

  3. 人とのつながりを大切にする環境をつくる
    人とつながりを持つことに苦心しているリーダーは、組織を成長させることにも苦労しています。コーチングの話し合い、共感の促進、影響力を高めるための関係づくりの基盤は、リーダーが他者と対話することで整いますが、影響力を発揮できないと、エンゲージメントや部門を超えた協力関係に支障をきたす可能性があります。本調査では、「自社は人との対話を大切にしている」と回答したリーダーは、自社のリーダーの質を高く評価する傾向にあることが判明しました。また、自身の仕事に意義を感じている割合も高く、その結果、リーダーが離職する確率が低くなっています。

パンデミックにより、多くの組織において仕事の仕方や運営方法が変わりました。組織が従業員の一部、または全員に対しリモートワークを続けるか否かを決めるとき、リーダーは自分自身のスキルを評価し、同僚やチームと良好な関係を築くことに注力しなければなりません。対話の仕方は今までとは異なるかもしれませんが、組織もリーダーも、人とのつながりを大切にする優れた従業員を持つことで、多くのメリットを享受できるようになります。

グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021のレポートは、こちらからダウンロードください。

 

原文はこちらをご参照ください。

 

執筆者:
DDI (Development Dimensions International, Inc.)

組織調査/ピープルアナリティクス
ロージー L. リズム