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リーダーシップや対人スキルは常に重要
危機的状況において、基本原則は不可欠
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ほんの数週間前には想像もできなかったような状況に、私たちの職場を一転させました。
多くの職場において在宅勤務の推奨をしていますが、それでも大事な従業員をリスクある現場に送り出さざるを得ない状況や、場合によっては解雇通告を検討せざるを得ないなど、企業はこれまでとまったく異なる方向への転換を強いられています。多くのリーダーは、決断力ある行動をとっているでしょう。
しかし、危機的状況下でのリーダーシップは、丘を登るように指示するだけでは足りません。同僚、チームメンバー、友人や家族に対して、人としてのニーズを認識し、それを満たす必要があります。リーダーシップと対人スキルが、これまでになく重要になっているのです。
基本原則とは?
人は理解され、評価され、物事に関与し、支援されていると感じる必要があります。DDIの基本原則は、これらのニーズに対処する行動です。基本原則は、これまでも重要でしたが、今や「不可欠」なのです。
現在のような状況でも、基本原則を使用すれば、個人的なつながりや双方向コミュニケーションを促進し、人間関係を強化して、信頼を築くことができます。特に、人とリソースを動員する役割にあるリーダーには役立ちます。
- 自尊心を大切にする
- 共感的に聴き、反応する
- 協力を求め、参画を促す
- 考えや感情、結論の根拠を共有する(信頼を得るため)
- 責任をもたせたまま、側面から支援する(当事者意識を引き出すため)
1. 自尊心を大切にする
自分の価値が認められていると感じている人は、責任を共有し、課題に立ち向かい、変化に適応することをいとわないものです。自尊心を大切にするとは、優れた考えやアイデアを認めること、成果を認めること、信頼を言葉と表情で示すこと、具体的に心から述べることです。
さまざまな制約がある中で、創造的な回避策を考え出したチームメンバーに、素直に感謝してみましょう。
あるいは、「子供たちが家にいるにも関わらず、時間どおりに集まってくれたことに感謝しています。その“為せば成る”という前向きな心構えは、このような厳しい時期に、周りに勇気を与えてくれます!」と言ってみるのもよいでしょう。
こうした小さなメッセージであっても、とても影響力があるのです。
2. 共感的に聴き、反応する
相手の話を聴き、気持ちを理解する行動は、オープンで双方向なコミュニケーションを促します。それはお互いへの尊敬と信頼を作り出すのです。共感をもって耳を傾けて対応するとは、事実や感情に対応すること、否定的な感情を取り除き、肯定的な感情を認めることです。リーダーは、良い状況であれ、悪い状況であれ、共感を心がけましょう。
パンデミックの際には、さまざまな方法で相手の話に共感をもって耳を傾け、対応しましょう。例えば、「このスケジュールの中、この必須事項の調整は、とても困難で、イライラするのはよくわかります」「この突然の在宅勤務の状況にうまく順応していますね。また、同僚が新しいテクノロジーの習得を助けるのを楽しんでいるようですね!」と良い側面を付け加えて伝えるのも効果的です。
3. 協力を求め、参画を促す
多くの人は、仕事の内容や、自分自身に影響を与えるインプットがもらえることを喜びます。なぜなら、他の人を巻き込むことにより、より良いアイデアが生まれるからです。そして人は、自分で築き上げたことにはコミットします。 こうした動きは、人にアイデアや意見を促すことによって起こります。ただ、こういう時、リーダーは最初にアイデアを提供する側であってはいけません。リーダーは、他のメンバーが考えを表明した後で、自分の考えを伝えるべきなのです。
たとえば、今日のような危機的状況の際は、「このように在宅勤務をする際、どのようにしたらより良いコミュニケーションを作り出せると思いますか?」と投げかけてみてもよいでしょう。
「仕事中にマスクをするというアイデアが私にはありますが、まずは皆さんの考えを聞きたいと思います」と言って会話を始めてもよいかもしれません。
4. 考えや感情、結論の根拠を共有する(信頼を得るため)
信頼関係は重要です。これは、自分の考え、感情、および理論的根拠を適切に共有することで構築されます。私たちの会話も、考え、感情、根拠で成り立っています。これらは状況に適している必要があります。
「物理的に距離を置くために始めたこのプロセスに変えることで、昨日話し合った問題が解決されると思います…なぜなら…」など、さまざまなメッセージを通して、リーダーは危機の中でも考えを共有できます。
また感情は、「危機の中、出張ができないので、このプロジェクトを遂行できるかどうか、私も心配しています」と言って共有できます。
意思決定の根拠を表すことも重要です。「少なくとも2週間は、グループで行動しないためにも、休憩時間をずらす必要があります。そうすれば、私たちが安全でいられると、医療チームも言っていました」というようにです。
5. 責任をもたせたまま、側面から支援する(当事者意識を引き出すため)
オーナーシップをもたせることは、メンバーの自信と責任の維持に役立ちます。あるタスクや業務を、リーダー自ら担当するのではなく、あくまでも支援を提供するという立ち位置で関わる場合であっても、人を通じて結果を出すことにこだわれば、リーダーとしての役割を果たします。メンバーが自ら考えて実行できるように支援し、メンバーが成功や困難な状況から学んだりできるように、支援することができるからです。
危機的環境の中で直面する新たな課題には、オーナーシップは不可欠です。
リーダーは、危機の最中に従業員に次のように伝えることで、オーナーシップを築くことができます。
「あなたはこれまでに、バーチャル・トレーニング・セッションを主催したことがないと思いますが、それがうまくいくことを望んでいますよね。セッションの前に、一緒に簡単なリハーサルをしてみませんか? 私からフィードバックやヒントを共有しますよ」
「メアリーが異動したため、あなたがこのレポートを作成する担当者です。これまでに担当したことがないと聞いていますが、私は一部の内容に携わったことがあるので多少わかります。あなたがレポートを納期通りに完成させるためには、私からどのような支援が必要ですか?」
危機の際の基本原則は、用途が広い
基本原則は、さまざまな状況で使用できます。1回のコミュニケーションの中で、複数の基本原則が必要になる場合もあります。状況ごとに1つに制限せず、複数使用することをお勧めします。
基本原則は使いやすいうえに、効果的です。多くのリーダーにとって、とりわけ不確実で混乱のある職場や生活環境において、意図的に使用できるかがポイントとなります。
特に、日常業務の多くが対面からバーチャル環境へ突然切り替わった場合でも、状況を問わずに活用できる基本原則は、幅広い用途に利用できます。
行動志向の強いリーダーの中には、ソフトスキルや基本原則が念頭にない人もいるでしょう。ただ、リーダーの下した決定は、他のメンバーによって実行されます。多くの人は、リーダーのコミットメント(責任をもって約束する)を得たほうが、コンプライアンス(ルールを守って行動する)を得ることよりもはるかに良いと言います。基本原則は、リーダーがコミットメントを得るのに役立ち、最終的に実行力、俊敏性、適応性が向上するのです。
基本原則は、特にCOVID-19が大流行する現在の危機的状況に役立ちます。
職場だけなく、友人や家族との日々のやり取りでも大いに役立ちますので、ぜひ、今日から使い始めてみてください!