管理職サクセッションプランに基づくサクセッション・マネジメント

管理職サクセッションプランに基づくサクセッション・マネジメント

サクセッションプランとは

サクセッションプランとは

サクセッションプラン(Succession Plan)は、組織の持続可能な成長と発展を目指し、重要な役職の後継者を計画的に育成して配置する一連のプロセスを指します。これは、将来のリーダーシップを確保し、組織の目標と価値を維持・拡大するために不可欠なものです。

サクセッションプランニングでは、主に組織内の人材の見極めと育成に焦点を当てます。重要な役職の候補者を早期に特定してその能力と適性を評価し、必要なスキルと知識を提供することで、彼らが将来リーダーとして成功する可能性を高めます。また、リーダーシップの連続性を保ち、組織が直面しうるさまざまなリスクを緩和する役割も果たします。

このプロセスは、組織の文化、戦略、そして目標と密接にリンクしており、経営陣と従業員の双方にとって明快なコミュニケーションや、互いの協力が求められます。サクセッションプランが成功すれば、不確実なビジネス環境でも安定と成長が担保され、従業員のモチベーションや満足度の向上につながると考えられます。

組織の持続的な成功には、サクセッションプランの設計と実施が重要となります。適切なプランを実施すれば組織のリーダーシップと人材の資質が強化され、競争力を向上させることができます。また、優れたサクセッションプランは、外部のステークホルダーや投資家に対しても信頼性と透明性を示す手段となり得ます。

管理職サクセッションプラン構築の課題・悩み

サクセッションプランの構築は、将来を見据えた戦略的な人材育成に求められる重要なプロセスであり、多くの組織で課題やお悩みを抱えています。ここでは、階層別において代表的なものを3つ紹介します。

管理職後継者候補の不足

管理職後継者候補の不足は、組織の持続的な成長と競争力の維持において、重大な課題といえます。この問題の背景には、多様な要因が絡み合っています。まず、組織内の人材開発プログラムの不備や欠如が、有能な後継者候補の育成を阻害している場合があります。人材の育成・評価のシステムが不透明であるか、適切に機能していないことが、後継者候補の特定や育成を難しくしているのです。さらに、組織のビジョンや戦略が明確でない、または変化している場合も、管理職後継者候補の適切な評価・育成は困難となります。

組織外の要因も考えられます。人材市場の競争は激化しており、優れた候補者を確保することは難しくなっています。また、世代交代や労働市場の変動により、組織内外で後継者候補の流動性が高まっていることも、その確保をより厳しくしている一因といえます。

管理職後継者候補に対する評価・選定の難しさ

管理職後継者候補の評価・選定には、個人の能力や適性と、組織の要求との微妙なバランスが求められます。候補者の技術的な能力やリーダーシップ資質が重要なのは明白ですが、それらを評価する基準や方法は慎重に確立する必要があります。さらに、企業文化や組織の戦略的な目標と候補者のビジョンとが合致しているかどうかを評価することも、非常に複雑で繊細なプロセスとなります。また、経営陣や従業員、そして候補者自身の期待と、現実とのギャップは、評価・選定を一層困難にする要因となっています。

さらに、人間関係や個人の感情、偏見などが客観的な評価を阻害することもあります。これらが組み合わさり、後継者候補の評価・選定は人事評価の専門家にとって厳しい課題となっているのです。

管理職後継者の選抜の難しさ

サクセッションプランの策定および管理職への移行プロセスは、組織の持続的発展と成功の鍵でありながら、多くの困難さを内包しています。その背景には、いくつかの原因があります。第一に、後継者の適切な選抜が挙げられます。適性と能力を的確に評価し、将来のリーダーとしてのポテンシャルを見極めることは、非常にデリケートかつ複雑なプロセスであり、多くの専門知識と経験を必要とします。また、組織のビジョンと戦略に沿ったサクセッションプランを策定し実行することも、一層の困難を伴います。組織の目標と個人のキャリア目標を調和させる巧妙なバランスが求められるからです。

さらに、管理職の後継者育成および移行のプロセスは、時に組織の文化や既存の慣行に対する挑戦となり、変化への抵抗や内部の摩擦を生む可能性があります。これらのプロセスには、組織内の明確で効果的なコミュニケーションが不可欠です。コミュニケーションの欠如は誤解や不信感を生み出し、後継者育成および移行の成功を危うくします。このような状況には、人事と経営層が連携し、戦略的かつ綿密なプランニングを通じて対処することが求められます。

以上のような課題とお悩みは、サクセッションプラン構築の過程で避けては通れないものです。しかし、これらの課題に対処し、効果的なサクセッションプランを構築することで、組織の未来を確固たるものにできるでしょう。

サクセッション・マネジメントのポイント

サクセッション・マネジメント(Succession Management)は、組織が将来のリーダーシップの変更や重要な役職の空きポジションに備えて人材を効果的に管理し、対処するための戦略的なプロセスです。このプロセスでは、適切な候補者を早期に識別して育成し、配置することに重点を置いています。サクセッション・マネジメントは、組織の持続可能な成長と成功を確保し、リーダーシップの連続性を保ち、知識と経験を継承する目的で実施されます。

事業戦略と人事戦略を連携させる

サクセッション・マネジメントでは、ビジネス戦略と結びついたリーダーの成功要因を定義することが重要です。MSC/DDIでは事業戦略の方向性を整理し、リーダーの成功要因へ転換する際、「サクセス・プロフィール」のフレームを活用し、主要なコンピテンシーを選出します。

▶【ソリューション】事業戦略と人材戦略を整合させるコンサルテーション ~ビジネス・ドライバー

「サクセス・プロフィール」とは、リーダーのパフォーマンスを包括的に定義し、優れたリーダー像を描くためのフレームです。

人材アセスメントで求めるリーダー像を把握する

人材アセスメントにより、理想的なリーダー像を把握することは、企業の存続に欠かせない要素です。そのためには、リーダーシップスタイル、問題解決能力、影響力、そして人間関係の構築能力など、幅広いスキルや特性を評価する必要があります。アセスメントを通じて、最適なリーダー候補を見極め、組織の進化に寄与することができます。

▶【ソリューション】MSCの階層別人材アセスメントソリューション

アクセラレーション・プール(AP)方式によるサクセッションプランの構築

将来の経営幹部となる人材を育成するために、MSC/DDIでは「アクセラレーション・プール(AP)」方式を提案しています。これは、短期育成グループ方式とも呼ばれ、対象となる経営管理階層(例:経営幹部、上級管理職)の後継者を準備するために、リーダーとしての将来性が見込まれる人材を特定して育成する体系的な仕組みです。

AP方式では、経営幹部それぞれが自身の後任予定者1~2名を指名するのではなく、経営幹部のポジション全般に対して複数の後継者候補を選び、候補者集団として育成します。

その名が示すように、APのメンバーはさまざまな能力開発機会により、短期間で速やかに育成されます。現有能力レベルを超える難しい仕事やタスクフォースへの任命などから最大限の学習ができ、社内で最も注目されるような場も与えられます。また、専任のメンターがつき、多様な研修、大学の経営者育成コース、社内のアクション・ラーニングなどの特別な学習機会も提供されます。

さらに、フィードバックやコーチングを受ける機会も増えます。そして、経営幹部は人事/人材開発部門の協力を得ながら、APメンバーの能力開発の進み具合や昇格への準備度を積極的にチェックしていきます。一般に、AP方式では、大勢の候補者を広く育成する従来のハイポテンシャル・リストと比較して、より少数の候補者を集中的に育成することができます。

AP方式では、経営トップのポジションを除き、経営幹部が誰をどのポジションの後任にするかを決める必要はありません。後任者計画関連の文書を毎年のように作成して提出するという煩わしい作業から解放され、候補者のスキルと知識の強化という、まさに「将来のリーダーの育成」に、より多くの時間をあてることができるようになります。

▶【コラム】AP方式による次世代リーダーの発掘と集中的育成~後継者計画(サクセッションプラン)

コンピテンシー強化による昇進・昇格

昇進・昇格は職場における重要なキャリアのステップであり、これには個人の「コンピテンシー」、つまり職務に対する能力が深く関わっています。昇進・昇格は、従業員が現在の職位からより高い責任や地位、時には報酬が伴う新しい役職へと進むことを指します。昇進・昇格に必要な職務遂行能力、技術的なスキル、専門知識が評価されます。これには、新しい役割で新しいコンピテンシーの強化が求められます。

コンピテンシーには、技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション、リーダーシップ、問題解決能力などのソフトスキルも含まれます。これらは、職場での成功を測る基準となり、昇進・昇格のプロセスで重要なファクターとなります。高いコンピテンシーを持っている従業員は、より責任のあるポジションに適していると判断されるでしょう。

昇進・昇格の過程では、従業員の過去の業績と将来の潜在能力が、そのコンピテンシーに基づいて評価されます。このため、昇進・昇格を目指す従業員は、自らの能力を継続的に向上させ、それをはっきりとパフォーマンスすることが重要です。さらに、昇進・昇格の可能性を高めるためには、求められるコンピテンシーの強化に注力することが必要です。

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MSC/DDIが提唱するサクセッション・マネジメントにおいて、適性評価は経営人材のプール作成に不可欠な要素です。適性評価を通じて、個々の能力、適性、およびリーダーシップ資質を詳細に分析し、組織の将来的なリーダーシップポジションに最適な候補者を特定します。これにより、多様なバックグラウンドと能力を持つ候補者群が維持されます。組織はリーダーシップの連続性を保ち、変化するビジネス環境に適応できるようになります。適性評価と経営人材のプールは、サクセッション・マネジメントの成功を保証するために相互に関連し、補完し合っています。

各階層における経営人材プールの重要性

経営人材プールは、企業の各階層において重要な役割を果たします。組織の経営層にとっては、将来のリーダーシップの安定供給源であり、ビジョンと戦略の継承を保証するものです。中間管理職にとって、この人材プールは、多様なスキルと経験を有する人材の存在により、日常業務の効率性と有効性を高める手段となります。つまり、組織がこれらの人材を確保することで、業務運営の質が向上するのです。さらに、初級管理職や一般従業員にとっては、自身のキャリアパスを明確にし、成長と昇進・昇格のチャンスを提供することで、個人のモチベーション向上にも繋がります。

経営人材プールの構築と維持は、組織の競争力を強化し、変化に対する適応力を高める要素となります。これは、長期的な成功と持続可能な成長の基盤を築く上で不可欠であり、人事部門にとっては重要な戦略的課題といえます。さらに、経営人材プールが適切に管理されていれば、組織の透明性と信頼性が向上し、内外のステークホルダーに対して組織の健全性とリーダーシップの資質を示す重要な指標にもなります。

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