自動車業界向け人材アセスメント
─ 重厚な過去から斬新な未来へ!自動車業界の人材転換の変革期 ─
自動車業界の現状と動向
自動車業界は今、歴史的な変革の渦中にあります。化石燃料を利用する従来の自動車にかわり、電気自動車(以下BEV)や自動運転車といった新技術、新サービスが続々と開発されています。さらに、自動車産業は地球環境への影響も大きいため、各社は脱炭素化や環境負荷の低減に向けた取り組みを重ねることも必要です。
この状況を好機と見た新興BEVメーカーやIT業界からの参入が相次いでいます。特に、BEVの製造においては、電池メーカーも重要なプレーヤーとして位置づけられます。
既存の自動車メーカーは、これら業界外からの新規参入者と協働すること、あるいはM&Aや中途採用により専門性の高い人材を獲得することで、今までとは異なる領域への対応を模索しています。
出典:経済産業省「第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」(2022年4月25日開催)「資料3 事務局参考資料」 p.7 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mobility_kozo_henka/004.html
自動車業界人事戦略上を取り巻く課題・悩み
こうした状況のもと、人事戦略の見直しも喫緊の課題となっています。自動車産業では、BEVやAI技術への対応に、高度な知識を持つ人材の確保、既存社員の再スキル化、若手・中堅社員の定着促進、中途採用増加に伴う人事制度の見直し、評価基準の再定義が急務です。異業種からの人材引き寄せや社内のスキルアップ、多様なキャリア観への対応、新たな職種や評価制度の設定、そして求められる能力の変化への対応が必要なのです。
高度な技術に対応する人材確保の必要性
最初に挙げられるのが、人材確保の重要性です。BEVや自動運転車への適応には、洗練されたソフトウェア開発とAIの専門知識が不可欠となります。同様に、電池の開発および製造には高度な化学的知識が求められます。現在、自動車メーカーはIT企業をはじめ多岐にわたる業界から人材を引き寄せており、人材確保に関する競争の激化が見られます。
既存社員のリスキリング
さらに、既存の社員に対する再スキル化は、人材育成上の最優先課題といえます。高度な専門性を持つ人材を中途採用する一方で、従来の技術と新技術を橋渡しする人材の育成や、ベテラン社員によるデジタル技術の習得も不可欠です。このような社内人材のスキルアップは早急に対応すべき課題となっています。
若手・中堅社員のリテンション(定着)
若手・中堅社員の流出抑制も大きな課題です。特に若手社員を中心として、キャリアに対する価値観が多様化しているためです。さらに、新型コロナウイルスの影響で広がったリモートワークの導入により、地方在住でも多くの職種でリモート勤務が可能になるなど、転職へのハードルは低下しています。企業は、一人ひとりの若手社員の価値観やキャリア観を理解し、その成長を支援することで、彼らの定着を図る必要があります。
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中途採用増加に伴う人事制度の見直し/面接スキルの平準化
伝統的に、自動車メーカーでは新卒一括採用が中心でした。しかし、専門的知識を持つ人材獲得のため、近年、中途採用の比率が急速に高まっています。このような高度専門人材の評価・処遇は従来の人事制度では困難であり、新たな職種の設定や評価制度の見直しが求められます。また、中途採用の増加と、これまでの延長にはない人材を確保する必要性から、面接官の評価眼や人材要件設定を含むスキルトレーニングがますます必要となってきています。
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評価基準(コンピテンシー、ディメンション)の再定義
従来の自動車業界では、技術の研鑽と改良を重ね、良質かつ経済的な製品作りが経営戦略上の主要課題でした。そのため、新卒採用を中心に、縦割り組織における細分化された業務の遂行が重要視されていました。
しかしながら、これからは不透明な状況や展望の中で、異なる専門性を持つ人材や自動車業界外の他社と協働しながら、試行錯誤を繰り返す力が求められます。必要とされる能力が変わるため、人材の評価基準(コンピテンシー、ディメンション)も見直す必要があるのです。
自動車業界の人材の特徴(人材アセスメントの結果より)
前述の通り、従来の自動車業界では縦割り組織で細分化された担当業務をやりきり、改善を積み重ねることが重要視されていました。
現在、研究開発から販売に至るまで、全てのバリューチェーンにおいて効率化を図る取り組みが進んでおり、従来の業務プロセスや仕組みを見直すことが必要とされています。長期的な視野で目的や目標を明確に設定し、業務の流れを可視化しながらオペレーションを再構築することが重要です。
そのため、人材アセスメントの結果を見ても、多岐にわたって情報を収集、緻密に分析し、課題遂行する力に長けていることが分かっています。特にその遂行において、責任感をもって最後までやり遂げる力は特筆すべきものがあります。ただし、中長期な視点で課題を創造し、ビジョンを打ち出すことは不得手な傾向にあります。
これまでは「与えられた仕事を確実にやりきる」という仕事の進め方によって成長してきた自動車業界ですが、VUCAに代表される正解のない時代には、これまでとは違った仕事の進め方や発想が求められるのです。
自動車業界における人材アセスメントの重要性
自動車業界では、中途採用の増加と求められる人材像の変化に対応するために、公正な人材評価が不可欠となっています。人材アセスメントの活用は、その解決策として有用であり、個々のキャリア形成や能力開発においても、自己の特性を理解する手段となります。
公正かつ客観的な人材評価
自動車業界においては、中途採用の比率が大幅に増加したことにより、既存の社員と中途採用の社員を公平で客観的な基準に基づいて評価するという課題が浮き彫りになっています。また、求められる人材像も変化しており、既存社員も含めて新たな基準で人材を評価し、マネジャーや経営幹部の選抜を行う必要性が生じています。この課題への対処策として、人材アセスメントの活用が有効といえます。
自己の特性を理解し、キャリア形成や能力開発を進める
社員一人ひとりのキャリア形成やスキルの再習得を推進する初めの一歩は、各自の現在の能力(強みと改善点)や特性を正確に理解することです。キャリア形成や能力開発に向けて社外の専門家による人材アセスメントを受け、その結果を自己認識の一助とすることは、大いに有益な機会となるでしょう。
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