Cases / Surveys / Reports 事例・調査・レポート

より優れたリーダーになるための25の問いかけ

25-Questions-1.png

ジャーナリストであり作家でもあるマルコム・グラッドウェル(Malcolm Gladwell)氏によると、スキルや行動に関する専門知識を身に付けるには約1万時間かかるということです。しかし、今日のリーダーはますます忙殺されており、自己の能力開発に時間を割くことが非常に難しいと言えます。一方で、様々な研究者によると、「習慣化」に必要な日数は21日以下であるとも言われており、この考え方は、様々な能力開発のプログラムに取り入れられています。(例えば、私は最近「オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)氏」が提供している「21日間の瞑想」に取り組みました)。さらに、行動変容に向けた能力開発に最も適した方法はOJT(実務を通した能力開発)であることは、すでに定説になりつつあります。これら3つのこと(スキル習熟には1万時間/習慣化には21日/能力開発にはOJTが最適)を念頭に置いて、私はリーダーが彼ら自身の役割責任を異なった視点から捉えるのに役立つ25個の短い質問を書き、1日1問ずつ、25日間続けてSNS(LinkedInとTwitter)に投稿し、好評を得ました。特に、このシリーズを始めて良かったと思えたことは、この質問シリーズを読んだ多くの読者が、自分の組織内のリーダーに向けて質問を再送して、日々の習慣化の取り組みを広げてくれていたことです。好評だった25問の質問を、「より優れたリーダーになる」ことを目指しているより多くの方々に届けたいという思いから、質問25問全てを共有したいと思います。



1. 謙虚さ

変化の激しい時代において、リーダーが、力強いリーダーシップを発揮しつつ、同時に謙虚でいることは非常に困難なことと言えます。あなたは、職場で、どのように謙虚さを示していますか?

2. EQ(感情的知性)
勤勉さと知性だけに優れていても、EQ(感情的知性)が欠けていては、十分に良いリーダーとは言えません。あなたは、自分自身も含め、人の感情的側面に、どれだけ察知することができていますか?

3. 効果的なフィードバックの提供
フィードバックは相手への贈り物です。しかし、その贈り物も、上手に贈らなければ、相手に受け取ってもらえません。フィードバックは①タイムリーで、②肯定的/否定的の内容のバランスのとれた、③具体的なものであるべきです。これら3つの要素が1つでも欠けていると、あなたのフィードバックは相手に効果的に受け止められていないかもしれません。あなたは今日、誰かに贈り届けるべきフィードバックを持っていますか?

4. 混乱、摩擦、期待はずれの成果への対応
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)氏曰く、「組織内で自然に生じるものは、3つしかない。混乱、摩擦、期待はずれの成果である。それ以外のものを生み出すには、リーダーシップが必要である。」これら3つの要素のうち、現在あなたのチーム内で最も顕著に生じている要素はなんですか?また、それに対してどのように対応しますか?

5. リーダー像
あなたは、周囲からどのようなリーダーだと言われたいですか?自分のリーダーシップがレガシーとして語り継がれるとしたら、それをどのようなものにしたいですか?短文で構いませんので、今すぐに、回答を書き留めてください。そして、書いた内容を実践してください。

6. 弱さ/脆さ(Vulnerability)
あなたは、自分自身の弱さや脆さを周囲に示すことができていますか?自分自身の能力開発の取り組みとして、20分程度の時間を確保し、自身のチームに、取り繕っていないあなた自身の本当の姿を共有しましょう。ヒントが必要な場合は、弱さ/脆さ(vulnerability)に関するブレネー・ブラウン(Brené Brown)氏による「TED Talk」をご覧ください。

7. 後継者育成
あなたは、自分自身の後継者を育成していますか? MSC/DDIが実施している調査「Global Leadership Forecast 2018」によると、自社の戦略を実行できるリーダーがいると回答したCEOは14%のみという結果も出ています。事業の継続に必要なリーダーシップ・パイプライン(リーダーシップ人材の継続性)を、どのように構築していくことができるでしょうか?

8. フィードバックの提供と受容
ランディ・パウシュ(Randy Pausch)氏の「最後の授業(The Last Lecture)」という動画を見たことがない方は、YouTubeで視聴してみてください。この動画からの素晴らしい言葉を引用します。「あなたが何かで失敗しても、誰からも何も話しかけられなくなったとき、それはあなたが、周囲の人から諦められてしまっていることを意味します。誰かからの助言やたしなめなど、あなたは聞きたくないかもしれませんが、あなたに対して耳の痛い助言をしてくれる人たちは、あなたのことを大切に想い、気遣い、あなたを良くしたいと思っている人たちです。」あなたは、自分のチームにフィードバックを提供していますか、それとも、彼らを諦めているでしょうか?あなたが最後に、自分自身について、誰かにフィードバックを求めたのは、いつでしたか?

9. 「なぜ WHY」の問いかけ
あなたの中にある「なぜ(Why)」は何ですか? 「何(What)」「どこ(Where)」「どのように(How)」などは、気にしないでください。「なぜ(Why)」はインスピレーションを与えるリーダーシップにとって最も重要な要素です。

10. ジェンダー・ダイバーシティ
あなたは、自分のチームにいる女性に力を与えていますか?リーダーシップを発揮する際に、ジェンダーの多様性を促進するには、意図的に推進する必要があります。DDIのCEOであるテイシー・バイアム(Tacy Byham)氏は次のように語っています。「あなたが幸運に恵まれてトップにまで駆け上がった女性リーダーである場合は、あなたが指揮している組織を見渡し、あなたが駆け上がった道を、他の人たちも登ってこられるように導いていくことの重要性を強く意識してください」。

11. 仕事の優先順位
就業時間が3時間だと想像してみてください。オフィスを出る前に何を達成する必要がありますか?それに最初に着手してください。

12. チームメンバーへの対応
著者スティーブン・R・コヴィー (Stephen Covey)氏は、「まず相手を理解するように努め、その後で、自分を理解してもらうようにする」と語っています。あなたは自身が率いるメンバーをどのくらいよく理解していますか?それとも、あなたはチームメンバー全員を一体として扱い、彼らひとりひとりの特有なスキル、モチベーション、能力を見逃していませんか?

13. 心理的ニーズと実質的ニーズ
今日のストレスの多い世界では、リーダーは迅速に結果を出すことを求められています。つまり、相手の実質的ニーズ(タスクニーズ)に焦点を合わせることは多いのですが、相手の心理的ニーズ(ヒューマンニーズ)を見逃しています。言い換えると、実質的な側面に対処することはできても、人が大切にしたい価値観や尊重して欲しいと思う願望を完全に見逃してしまいます。このような状態にあなたは陥っていませんか?どのようにすれば、あなたのチームメンバーの実質的ニーズと心理的ニーズの両方に対処できますか?

14. 失敗を恐れない
マイケルジョーダン(Michael Jordan)氏は、次のように述べています。私は9,000以上のシュートをミスしました。 また300試合近く負けています。私はゲームの決勝点となるシュートを確実にきめると信頼されたにもかかわらず、逃したことが26回あります。私は人生で何度も何度も失敗したゆえに、成功を手にしました。あなたは自分の犯した間違いや失敗からどう学びますか?あなたはチーム内での失敗を楽しみとしますか、失敗は恐れですか?

15. ダイバーシティ&インクルージョン
あなたは会社のダイバーシティ&インクルージョンを活かすことによって、社内に埋もれて隠されたポテンシャルを引き出していますか?詳細については、DDIの人気レポート「Unleash Hidden Potential: Build Your Competitive Edge Through Diversity and Inclusion」をご覧ください。

16. 傾聴力
デイビッド・ウルリッチ(Dave Ulrich)氏は、「従業員に声をかけると同時に彼らの話に耳を傾けるリーダーは、従業員の心に響くコミュニケーション方法を学びます」と述べています。チームメンバーとコミュニケーションする際のあなたの聴く/話す割合は、どのようなバランスですか?

17. ソフトスキル
LinkedInのCEO、ジェフ・ウェイナー(Jeff Weiner)氏によると、米国での最大のスキルギャップはコーディングではなくソフトスキルなのだそうです。リーダーシップ開発に関しても、テクニカルスキルに焦点が向き、「ソフトスキル」を軽視しがちです(実際に難しいのもソフトスキルです!)。あなたはインタアクション・スキル(ソフトスキル)をどのように開発していますか?

18. 共感力
Wall Street Journal誌は最近、リーダーにとって最も重要なスキルの1つとして「共感」を取り挙げています。また、冒険家のベア・グリルス(Bear Grylls)氏は、これは状況の異なるリーダーシップにも当てはまると言及しています。「誰かとともに3ヶ月間登山をする際にもっとも重要なのは、テクニックではなく「共感力」だ」と。あなたはどの程度の「共感力」がありますか?

19. チームの多様性
シェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg)氏の女性リーダーに関するTED Talkを見たことがないのであれば、すぐに見ることをお勧めします。チームの多様性を活かしたいリーダーにとって、必見です。中でも私の大好きな箇所の1つは、「トップだけでなく、すべての女性が、社会の力学を変え、会話を構築し直して、女性の意見に耳を傾けられ/聞き入れられて、見過ごされない/無視されないよう、する必要がある」。これをあなたのチームにどのように適用しますか?

20. 対話 vs 仕事の成果
あなたは、あなたのチームメンバーと対話することと仕事の成果を上げることの間のギャップを埋めるために、「共感」を効果的に示していますか?このトピックに関する更なる情報はこちらをご覧ください。

インタアクションスキルと業績.png

21. 多様性の尊重

あなたは、「はみ出し者」や「反抗的な人」を受け入れようとしますか、それとも恐れますか?有名なApple社の「Think Different」という広告キャンペーンは、これらの人々を「チェンジメーカー」や「革命家」として世に示しました。チーム内に存在する個性や価値観の違いをより強力に活用して、変革を推し進めるために、あなたはどのようなことができるでしょうか?

22. 集団的リーダーシップ
近年注目されているトピックのひとつに、「集団的リーダーシップ」というものがあります。あなたは自身のチームにおいて、集団でパフォーマンスを最大化するマインドを、どのように醸成していきますか?

23. データの活用
組織内におけるリーダーシップの育成を促進するために、あなたは「データ」をどのように活用していますか?Harvard Business Reviewの記事を参考にして、データ活用の方法の理解を深め、実践してみましょう。

24. VUCAへの対応
あなたは、ビジネスの不確実性と複雑さをどのように管理しますか?嵐のような混乱のまっただ中でも、自分の針路を見失わないためのリーダーシップスキルを持っていますか?

25. リーダーの能力開発
あなたは、自分自身の能力開発をどのように継続しますか?また、あなたの組織はどのようにリーダーを育成していますか?リーダーシップ開発に関する弊社のウェブセミナーに参加して、インスピレーションを得てください。このウェブセミナー「現場のリーダーの重要性を軽視する危険性(Ignore Frontline Leaders at Your Peril)」では、リーダーシップ開発に関する新たな気づきを提供します。

著者:DDIヨーロッパ Verity Creedy氏

原文はこちらをご参照ください。