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TOTO株式会社様

昇格者研修に上司を巻き込み、OJTと連動。次のステップに向けた成長を見える化


人財本部 人財開発部 部長 中野浩司氏

人財本部 人財開発部 人財育成グループ グループリーダー 籔野浩亘氏

人財本部 人財開発部 人財育成グループ(東京) 大塚志朗氏

 


衛生陶器やウォシュレット®などをはじめとして、世界を市場に幅広く事業を展開する住宅設備機器メーカー、TOTOグループ。同社が構築した昇格者研修の特長は、研修の前後で受講者の上司が深く関わり、研修のOff-JTと上司によるOJTを連動させていること。そして、上司が伴走しながら実務のなかで本人の成長を促したうえで、次のステップに向けた成長を見える化していることだ。「研修をするだけではダメ」と分かっていてもなかなかうまくいかない企業が多いなか、同社が効果を上げている秘訣はどこにあるのか。今回は、同社の北九州市小倉にある本社と、主要拠点である東京・汐留をオンラインで結び、人財育成の基本となる考え方や昇格者研修の特長などについて、弊社常務取締役の脇田幸子が伺った。(文中敬称略)


 

100年を超える歴史のなかで受け継いできた「先人の言葉」

脇田:本日は御社の人財育成についてさまざまな角度から伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。まずは、御社の企業理念や全社方針が教育とどう結び付いているのか伺えますか。

中野:TOTOは1917年に北九州、小倉の地で創立しました。初代社長の大倉和親が、「健康で文化的な生活を提供したい」との想いから、まだ下水道も整備されていない状況のなか、衛生陶器の普及に着手したのが始まりです。

大倉は、次の社長である百木三郎に継承する際に、「先人の言葉」というものを書簡として残しています。「どうしても親切が第一、良品の供給、需要家の満足が掴むべき実体で、その実体を握り得れば、結果として報酬という影が映る」という考え方です。

この言葉は、17代目に当たる清田(徳明代表取締役 社長執行役員)に至るまで、社長から社長へと受け継がれてきました。また、我々社員一人ひとり、派遣社員を含む全員が、TOTOグループの経営の根幹になる言葉として大切にしています。事業を行っていくのはあくまでも人なので、教育だから事業だからと分けず、人づくりにおいてもこの言葉を根底に置いています。

「先人の言葉」は、昇格者研修でも取り上げます。社員はその時々で与えられる役割も変わりますし、本人の視座も変わりますので、それぞれのタイミングで「自分はできているだろうか」と振り返ってもらいます。

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理念は「浸透」させるのではなく、皆で「共有」する

中野:「先人の言葉」など創立時からの思想は、社是・企業理念に落とし込まれています。我々が今日、何をすべきか、あるいは、課題に直面したときにどういう心構えで対処していけばよいのかが、ここに集約されています。

これらの言葉は、額縁に入れて掲示したり、毎日唱和したりするなど、海外を含むグループ全体で共有しています。ちなみに、私は「浸透」という言葉があまり好きではなく、「共有」と言うようにしています。「浸透」というと上から押し付けるイメージがあるものですから。押し付けるのではなく、皆で共有していきたいととらえています。

企業理念は5項目あり、毎朝、順繰りに唱和します。海外では、日本の言葉の趣旨と本当に合っているかをよく吟味したうえで現地の言葉に翻訳し、共有しています。

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脇田:御社は今後も海外で収益を上げていく方針と伺っていますが、海外でも自社の理念が拠り所になっているのですね。「共有」という言葉を大事にされているというのは、御社の姿勢がよく表れていてとても分かりやすいです。

唱和する以外では、どのような形で共有を図っていますか。

中野:社員については、昇格試験に必ず出題し、本当に腹落ちしているかをその都度確認します。毎回出題しているので答えは分かっているのですが、大事なことだと示す意味でも毎回試験に出しています。昇格後も、昇格者研修で振り返る機会を設け、ステージが変わったタイミングで必ず立ち戻ってもらいます。

脇田:分かりきったことだとしても、繰り返しその言葉に触れる機会を設けて共有していくことは大事ですよね。

中野さんご自身は、お立場が変わられるなかで、社是や理念をどのようにご自身の拠り所にされてこられたのですか。

中野:五つの企業理念は、どんな職種でも必ずどこかに当てはまると思います。私ども人財部門にとって特に大事なのは、五つ目の「一人ひとりの個性を尊重し、いきいきとした職場を実現します」です。これが人財育成や人事制度を検討するうえで一番のベースになっており、立場は変わっても必ずここに立ち戻ります。

先ほど初代社長の「先人の言葉」をご紹介しましたが、2代目の百木三郎も非常にいい言葉を残してくれていまして、「良き品物を作る前に良き人を作るのが理想」と言っています。この「良き人を作る」というのがまさに人財部門の役割であり、身の引き締まる思いで、この言葉を胸に育成に励んでいます。TOTOグループが「人財」の「ざい」を材料の「材」ではなく、財産の「財」にしているのも、こうした思想が根底にあるためです。

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「強い母集団」の早期形成を目指し、育成体系を整備

脇田:そうした御社の基本的な考え方や企業理念が実際の育成策とどう結び付いているのか、もう少し詳しく伺えますか。

中野:今の育成体系の元をつくったのは、2010年のことです。当時の張本邦雄社長の下、「Vプラン2017」という中期事業計画を立て、それに合わせて「人財育成Vプラン」をつくったのがきっかけです。当時はまだ、リーマンショックの傷が癒えていない状況でした。初めて赤字を経験し、社員が自信を失っているととらえ、経営計画のビジョン(“強く・明るく・美しい会社”)にもある「強い」という言葉をあえて用いて、「強い母集団」を早期に形成していくことをキーワードに見直しを図りました。

当時の人員構成では、40代前半にバブル期入社世代の山がある一方で、バブル崩壊後に採用を控えた年代がありました。10年後にはその層が課長クラスになるため、若手を早期に育成し、抜擢していくことが必要でした。

一方で、バブル崩壊以降、経費削減のために研修を減らした時期もありました。部門ごとの教育は行っていたものの、全社横串を通した形の研修は、入社から3年間の教育を終えると、新任課長になるまで空白になっていました。

そこで、昇格者研修と手挙げ式の本人選択型オープン研修を整備し、それぞれの昇格のタイミングで次の社員資格に求められるものは何か、今の自分に足りているもの・足りていないものは何かに気付いてもらい、通信教育や選択型オープン研修でスキル・能力を磨き上げてもらう――ということを、グループ全体でスピードを上げてやり始めました。

 

 

リーダー育成のすそ野を広げるため、若手~中堅層の研修を拡充

脇田:景気の影響を受けて人財開発の費用を抑えざるを得ないということは、過去には他社でもよく起こっていました。ただ、人が成長するのには時間がかかりますので、手付かずのまま置いておくと何年後かにしわ寄せがくることを体験し、最近は、あまり極端に研修費用を削減せず、育成体系の強化を進める企業が増えてきたように感じます。先行きが不透明な世の中で、リーダー不足を大きな課題として受け止める企業が多くなってきたことが背景にあります。

中野:当社の場合、リーダー育成(サクセッションプラン)としては、国内グループ全体で「経営塾」という選抜型の幹部育成プログラムを20年ほど前から実施しています。経営の基礎から応用までを1年かけて学ばせて、最後は、社長・副社長の前で今後に向けた提言をしてもらいます。

ただこれは受講できる人数が限られますので、すそ野を広げるため、MSCさんにご協力いただき、社員資格(*)のL3でリーダーシップ、L4でマネジメントを学んでもらうことにしました。

また、何と言ってもOJTが大事だと思っています。現場任せにせず、我々も寄り添いながら、集合研修が終わった後もしっかりとフォローしていきます。

(*社員資格(階層):TOTOグループ人財育成体系図「昇格者プログラム」をご参照ください)

 

TOTOグループ人財育成体系図 ・・・ 赤枠が昇格者プログラム 

TOTOグループ人財育成体系図キャプチャー.png

 

 


昇格者研修とOJTを連動させるとともに、実務を通じた成長を見える化

脇田:今のお話とつながりますが、御社は、2018年に昇格者研修の内容を見直されました。そのねらいについて、企画から運営までを担当されている大塚さんからご説明いただけますか。

大塚:私たち人財部門では、人財のマネジメントサイクルを回し、最終的には、全社方針である「マネジメントリソース革新」―多様な人財が集まり、安心して働き、いきいきとチャレンジできる会社をつくる、社員が誇りに思える会社をつくることを目指す姿として研修を行っています。

昇格者研修では、Off-JTとOJTが連動していることを大事にしています。研修はあくまでも機会であり、最終的には、上司のバックアップの下、それぞれの組織の中で仕事を通じて学び成長していくことが大事だと考えているからです。

そのために、昇格者研修では、受講者の上司に深く関与してもらっています。これまでの研修は本人が受講して終わりでしたが、受講前に本人と上司とでコミュニケーションを取る形にしました。受講者の強み・弱みを本人と上司が確認し、次のステップに移るためにどんなところを伸ばしていくかを話し合ったうえで、研修に参加してもらいます。

さらに、研修で学んだことを具体的な業務に落とし込みます。上司からは一つ上のステップを目指すための新たな役割付与や業績目標のテーマを一つ選んで具体的な活動として取り組んでもらいます。

そして、半年後、1年後に、受講者の強み・弱みが実務を通じてどう成長したかを本人と上司で

確認・評価し、成長を見える化しました。

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業績目標・評価と育成の項目を結び付け、上司を巻き込む 

脇田:「研修の前後のプロセスにしっかりと上司が関わり、約1年間、成長が見える化できるまで伴走できている」というのは、驚くべき成果だと感じます。

私どもでも、いろいろなお客様に、研修を実施するだけでは不十分で、現場の上司の関与がいかに大事かというお話をさせていただきますが、その必要性を理解していても、実際に上司を巻き込めている企業はさほど多くはありません。どんなところに秘訣があるのでしょうか。

大塚:人事制度と連動している役割遂行度評価と育成の項目を結び付けたことが一つのポイントだと思います。企画段階で各部門の部門長や課長にヒアリングし、部下育成についての考えや、こういう制度を入れたときにどこまで負担になるかを聞いたのですが、「部下を評価する項目と育成の項目が結び付いているので分かりやすく、運用しやすい」という声をもらっていました。

当社では、業績目標の面談、キャリア申告の面談など、上司と1対1で話す機会が年に数回あります。それをさらに落とし込んで本人の強み・弱みを掘り下げて話す機会になりますので、業務と結び付いた運用がしやすく、定着につながったのだと思います。

脇田:上司の皆さんが協力的なのは、企業理念や会社の風土も影響しているのでしょうか。

大塚:そうですね。やはり人を大事にする企業文化がベースにあると思います。私は、一人ひとりの心の中に企業理念の考え方が入っていることがTOTOグループの強みだと考えています。それが上司のOJTにも表れているのではないでしょうか。

脇田:先ほど中野様から、企業理念について「浸透」ではなく「共有」という言葉がふさわしいととらえていらっしゃるというお話がありましたが、上司が組織からやらされてやるのではなく、部下育成が大切だということを「共有」し、納得しているので、積極的に取り組まれるのでしょうね。

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本人の成長を本人・上司に評価させて、研修の成果を数値化

脇田:成長を見える化したのも大きなポイントですね。

大塚:はい。私は2017年に人財本部に異動して来たのですが、ちょうど現社長の清田が人財部門の担当役員に就任したときで、これまでの研修の経緯を説明してほしいと言われ、私自身、過去の研修の成り立ちやねらいを知るきっかけとなりました。

当時も研修後のアンケートは行っていたのですが、どちらかというと受講者本人に評価してもらうものでした。それはそれで研修運営に活用できますが、こうしたアンケートは、受講者の受け止め方によって評価が変わります。研修の成果を数字で表せないかということが、宿題として与えられました。

そのときに考えたのが、人事制度と結び付いた評価のなかで成長を見える化することです。

脇田:研修当日の評価だけではなく、全体の効果を測るわけですね。

業績目標と結び付いているので、出てきたデータはかなり実際的なものでしょうね。

大塚:本人は自分の強み・弱みを認識しながらどう成長したか振り返ることができますし、上司もバックアップしながら部下の成長を評価することができますので、皆さん、ポジティブに受け止めています。1年後のデータを見ると、上司から見て、強みは88%、弱みは80%が伸長したと回答しています。

 

 

広がる研修の効果

脇田:この研修が組織にもたらすプラスのインパクトとしては、他にどんなことがありますか。

大塚:研修に参加された人がOJTを通じてさらに一つ上へと成長を目指しますので、その組織の他のメンバーにも影響があります。「この人はこう変わった」「ここを目指しているんだな」ということが周りにも見えますので、それが相乗効果となり、組織が強くなっていく一つのきっかけになります。

また、研修を企画するうえでは、階層や部門・グループ会社別の課題があります。これまではそこがなかなか見えない面がありましたが、本人の強み・弱みや一定期間後の成長を見える化したことで、属性別の課題が見えてきました。4つの階層で年間1100人程度が受講しますので、4年経って約4500人分のデータが集まりました。階層別の課題に加えあらためて部門別やグループ会社別の傾向を掘り下げることで、新たな課題も見えてきます。

脇田:分析する材料が大分そろってきたところですね。

大塚:はい。また、強み・弱みを明らかにして成長を見える化する仕組みは、私たちがサポートしながら、海外のグループ会社でも取り入れています。部長層、課長層が対象ですが、最初に私たちが一人ひとりと面談をして業務内容やどんなことを課題に思っているかをヒアリングし、考え方・物の見方を把握します。そして、上司と目線合わせをしながら強み・弱みを確認し、年4回程度研修を行ったうえで、1年後、どう成長したかを上司とともに本人へ伝えます。

脇田:海外では日本とまったく別のやり方にする企業や現地任せにするケースも多いですが、御社は基本となる考え方は日本と同じなのですね。

大塚:はい。基本的な評価軸は同じです。当社は、ベトナムやタイなどに工場を増設し、現地で社員を採用しています。その社員をマネジャークラスがどうマネジメントしていくかは大変重要です。先ほどの企業理念の話も含め、TOTOグループ全体としての考え方を共有する必要があります。一度にはできませんが、1年間かけて一つの国という形で順次取り組んでいます。

脇田:海外の地政学的なリスクなどが働く人に影響を与えることもありますが、理念や基本的な考え方がしっかりと共有できているかどうかでトラブルが大きくなるか小さく収まるかも変わってくるかもしれませんね。

籔野さんは、リーダーシップ研修、ヒューマン・アセスメントなど全体をご覧になっていらっしゃいますが、そのなかで、昇格者研修の効果や特長をどのようにとらえていらっしゃいますか。

籔野:その社員資格に必要なことを学ばせるだけでなく、次のステップを目指す建付けになっているところがよいと思っています。これは、他の会社にはあまりないのではないでしょうか。

脇田:おっしゃるとおり、そこは御社の特長だと思います。昇格直後に次のポジションへのチャレンジのためにどんな能力開発をすればよいかを上司とともに確認し、1年がかりで行動を変化させていくというのは、御社ならではだと思います。

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世の中の変化をとらえながら、さらなる変革を目指す

脇田:お話を伺って、これほどの研修体系が、単に枠組みとして設けられただけでなく、考え方を社員の皆さんと共有し、目的を果たす運用につながっていることがよく分かりました。今後の展望についてはどのようにお考えですか。

大塚:やはりベースになっているのは、企業理念や社是です。また、昇格者研修は、役割遂行度評価など人事制度とも深く結び付いています。人事制度の部分は時代の求めで変わる面もありますが、基本はこれらをベースに研修体系を組み立てています。

一方で、私たちを取り巻く事業環境は大きく変化します。私たちは、時代の変化をとらえながら、そして少し先を見据えながら、変わらないものと変化していくもののバランスを取りつつ、育成施策の設計・企画をしていく必要があると思っています。

昨今はグローバルで大きな影響を受けますので、国内や業界内だけにアンテナを張るのではなく、視野を広くもっていろいろな企業様の取り組みを把握し、研修や育成の企画に取り入れるとともに、社員にも伝えていきたいと考えています。

脇田:先を見通す目線と広い視野で体系を見直していくことが必要になっていくのですね。籔野さんはいかがですか。

籔野:私はもともと人財部門の人間ではなく、数年前にここに来たのですが、外から来た素人目で見て、今の育成体系はよくできていると思いました。

ただ、改善は必要です。今、私が考えているのは、一つは若年層の研修機会の拡充です。入社から3年間の教育を終えると、次はL3の昇格者研修になりますが、L3に昇格するのは7年目くらいなので、その間、少し空く印象があります。育成のスピードを上げるためにも、例えば5年目に研修を加え、てこ入れをするのもよいかと考えています。

また、G職(管理職)で昇格者研修はいったん終わりになります。今までは、管理職になったら自身の責任で学んでもらうことが基本でしたが、今年10月に人事制度が変わり、定年が65歳になります。G職に対しては、今後に向けて、新しくリスキリングにチャレンジしていただくことも必要かと考えています。

脇田:この先、日本では労働力が減少していきます。そのなかで、若手の能力を高めてやりがいをもって働いてもらうことも大事ですし、定年が延長されることも踏まえ、いきいきと働き続けていただくためのリスキリングもテーマになってくるのですね。最後に中野さん、総括をお願いいたします。

中野:今の世の中は、本当に目まぐるしいスピードで変化しています。そうであれば、我々も変わっていかないといけないし、そのスピードを上げていかないといけない。これまでは10年前につくった育成体系をベースとして改善を続けてきましたが、これでよいのかということは常に自問自答し続けています。

籔野も申し上げたように、大きな節目として、今年、定年延長がスタートします。人生100年時代に向けて、65歳で終わらせるのではなく、学ぶ習慣を身につけ、その先も充実した人生を送ってもらえるようなシステムをつくっていきたいですね。我々だけでは限界がありますので、御社のようなプロフェッショナルの皆さんに引き続きご支援いただき、アドバイスをいただきながら充実させていければと思います。

脇田:こちらこそ、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

他社の状況について少しお話しさせていただきますと、私どもで長く行っているヒューマン・アセスメントなどでも、もはや、たくさんの候補者の中から会社側がリーダーを選抜すればいいという時代ではなくなってきています。候補者が潤沢にいるわけではないので、候補者となった方々にポジションにあった能力を早めに準備していただくために、そして過度に精神的なストレスを抱えることなくいきいきと働いてもらうために、どうすべきかを考えなければいけない。これは、日本だけでなく世界のトレンドです。

では、その問題意識を研修体系に落とし込んで運営までできている企業がどれだけあるかというと、決して多くはありません。御社には、ぜひこのまま先頭を走り続けていただきたいと願っています。

皆さんのお話を伺って、私も人財開発に携わる者として仕事の意義をあらためて感じることができました。本日はいろいろなお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

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対談者プロフィール

TOTO株式会社 人財本部 人財開発部 部長 
中野 浩司 氏
1990年東陶機器株式会社(現TOTO株式会社)に入社。社会人としての第一歩は人事本部 教育課(現人財本部 人財育成G)。以来、給与計算等のオペレーション業務や人財育成、人事制度企画・労務など一貫して人事畑を歩み、国内および海外(台湾)グループ会社のコーポレート部門担当を経て、2018年より現職。モットーは向き不向きより前向き。

TOTO株式会社 人財本部 人財開発部 人財育成グループ グループリーダー
籔野 浩亘 氏
1996年東陶機器株式会社(現TOTO株式会社)に入社。日本各地で営業を経験した後、2008年より海外事業に携わり、インドで営業・事務所運営・現地法人立ち上げなどを担当。この時、部下を持つようになったが、初めての部下がインド人。日本に帰任後、グローバル営業・営業管理に従事。2016年より、TOTOの社会貢献活動(TOTOギャラリー・間やTOTO出版)をグローバル展開し、2019年から現職。 人財本部にて、TOTOグループ(国内・海外)の人財育成企画・運営を担当。

TOTO株式会社 人財本部 人財開発部 人財育成グループ(東京) 
大塚 志朗 氏
1989年東陶機器株式会社(現TOTO株式会社)入社。旗艦ショールームTOTOスーパースペースの開設スタッフとして運営に携わり、その後全国ショールーム拠点展開、新設業務を担当。2004年TDY(TOTO・DAIKEN・YKK AP)最初の広島コラボレーションショールームの開設・企画、運営を担当。その後、営業所長として初めて営業の第一線を経験。2011年より販売部門の課長層・リーダー層の人財育成の業務を経て、2017年より人財本部にてTOTOグループ(国内・海外)の人財育成企画・運営を担当。

株式会社マネジメントサービスセンター 常務取締役
脇田 幸子
広告代理店に勤務後現職。HRコンサルタントとして、ビジネス戦略を実現するための人材像の特定、採用、アセスメント、能力開発まで、一貫したコンサルテーションを提供。DDIラーニング・システム認定マスタートレーナーとしてファシリテータの養成も行っている。コンサルタント、プロダクツ・サービス、LDX(Learning Design &DX)部門の総責任者として、リーダーシップ開発のサービス提供を総合的にマネジメントしている。

会社名
TOTO株式会社
設立
1917年(大正6年)5月15日
資本金
355億7,900万円
従業員数
連結34,614名、単独7,984名(2022年3月末現在)
事業内容
トイレ、バスルーム、システムキッチン、洗面化粧台など、特に水まわり製品を中心とした住宅設備機器の研究・開発・設計・製造・販売