Cases / Surveys / Reports 事例・調査・レポート

NTTコミュニケーションズ株式会社 様

NTTコミュニケーションズ株式会社 様

マネジメントスタイルの変化に合わせて、オンライン・アセスメント「Manager Ready」を採用

ヒューマンリソース部 人事・人材開発部門
担当課長 渡辺俊史(わたなべ としふみ)様〔画面左〕
担当課長 安永卓司(やすなが たくじ)様〔画面右〕

 


ICTの活用により、顧客企業の経営課題の解決とスマートな社会の実現に貢献し、ネットワーク社会を支えるNTTコミュニケーションズ。同社は、2020年春、マネージャを目指す120人の社員を対象に、オンライン・シミュレーション・アセスメント「Manager Ready(マネジャー・レディ)」を実施した。いち早くアセスメントのオンライン化に着手したことで、新型コロナウイルス感染症の影響により集合研修が困難となる中でも、アセスメントおよびフィードバック・セッションを滞りなく実施することができた。
今回のプロジェクトを主導した、同社の渡辺俊史様と安永卓司様に、「Manager Ready」の採用に至った経緯や、実施した感想などについて伺った。(文中敬称略)


マネジメントスタイルの変化に着目

松榮:本日はどうぞよろしくお願いいたします。まず、最近のビジネスの状況についてお尋ねします。新型コロナウイルスによって、御社を取り巻く環境にも変化があったと思いますが、いかがですか。

渡辺:働き方のスタイルが、ここまでリモート中心になるとは、我々も想定していませんでした。弊社はネットワークサービスを提供する会社でありますが、指定公共機関としての役割を担っており、重要なインフラを守るため、使命感をもって取り組んでいるところです。

松榮:ビジネスの面では、今まさに求められている分野ですね。一方、人事含めた業務運営の側面ではいかがでしょうか。

渡辺:人事としては、入社式をストリーミング配信したり、新入社員向けの研修を全てリモート対応に切り替えたりするなど、継続的な業務運営を行うために様々な取り組みを短い期間で検討・実行する必要がありました。
また、今回、オンライン・アセスメントを採用した理由ともつながりますが、マネージャのマネジメントスタイルが大きく変化しています。これまでのように、その場の空気を感じ取り、会社帰りに飲みに誘うといった日本的なコミュニケーションができなくなっています。以前から、オンラインでのコミュニケーションは進みつつありましたが、新型コロナウイルスの影響で、その流れが一気に加速しました。

0023.jpg

安永:私自身の話になりますが、この数か月でチームメンバーとのコミュニケーションを通じてメンバー間コミュニケーションスタイルが大きく変化してきていることを実感しています。

これまでのオフィスワークでは、目の前にいるメンバーの表情や言動を見ながら、その場の状況に応じたコミュニケーションを取ることもできましたが、リモート環境下では、チャットや電話会議を通じたコミュニケーションが中心となり、従来のスタイルが通用しなくなりました。オフィスでは、自身のタイミングでちょっとした相談をしたり、オフィスで会話した雑談の中で新たな発想や意図していなかった周囲の協力を得られることもありました。リモートのコミュニケーションが中心になると、直接自身の業務に関わるコミュニケーションが主体となり、コミュニケーションを取る相手に自然と偏りが生じてきます。社員のアウトプットをしっかり見ていくことはもちろんですが、チームやプロジェクトのメンバーに不安感や疎外感を与えないように、コミュニケーションが偏らないよう心がけています。
リモートのコミュニケーションは、効率的である反面、オフィスワークでできていたことができなくなる面もありますので、今の環境下に合ったマネジメントスタイルを意識的に作り上げていく必要があります。ウィズコロナ、アフターコロナにおいて、弊社としては単純に従来のスタイルに戻すことはなく、むしろ新たなワークスタイルを発展させていきたいと考えておりますので、環境の変化に応じたマネジメントスタイルの確立も重要な課題となります。

松榮:入社式や研修などに大きな影響が出ている一方で、マネジメントのスタイルに関しても、これまでのやり方が通用しなくなってきている側面があるのですね。

0037.jpg

個々人の強み・弱みを客観的に把握するため、アセスメントを復活

松榮:今、コロナの問題が起きたことで、オンライン・マネジメントやリモート・コミュニケーションという課題がクローズアップされていますが、それ以前の人材開発ニーズ・人材育成上の課題としては、どのようなことがあったのでしょうか。

渡辺:「人材をどう育てるか」という観点と、「どういう人材にマネージャになって頂くか」という観点がありますが、育成の観点では、強み・弱みを客観的な評価に基づいて認識をする機会が少ないということと、マネージャになって頂く方の判断という観点では、面談や過去の評価だけでなく、外部の目も活用してより多角的・多面的に評価したいというところに課題感をもっており、アセスメントを導入することにしました。 

松榮:外部の評価も取り入れ、判断材料にしていこうというお考えですね。

渡辺:はい。社員本人に向けたフィードバックの面も意識しました。1on1によるフィードバックも行っていますが、多くは上長からの評価や、業績目標を達成できたか等、業務中心の内容になります。コミュニケーションの活性化という点では有効ですが、より社員の成長を促すには、自分の行動のどこに強みがあり、どこが弱みなのかというコンピテンシーを理解してもらうことが大切です。客観的なコンピテンシー評価を適切なタイミングで行い、本人にフィードバックしていくことで社員の成長につなげていきたいという狙いがありました。

松榮:昇格の材料としてだけではなく、能力開発、人材育成の色合いを強める意図があったわけですね。

渡辺:その点は大きいです。

新しいマネジメントスタイルに合わせて「Manager Ready」を採用

松榮:そのような中、今回、弊社のオンライン・アセスメント「Manager Ready」をご採用いただきましたが、まず、従来型のアセスメントにはどのような課題があったのでしょうか。

渡辺:運営面では、回数を分けたとしても、100名以上の対象者を一ヵ所に集めて研修を行うのは、手間とコストがかかります。
また、内容面では、実際に集まってグループディスカッションやインバスケット演習、模擬面接などに取り組むことも、もちろん意味はあると思いますが、弊社の目指している現在のワークスタイルとは差異があるのも事実です。例えば、インバスケット演習では、手書きで一つ一つ処理シートに記入していきますが、実際の職場では、コロナの問題以前から、メールやチャットを使用して仕事をすることが一般的になっています。より今のワークスタイル、マネジメントスタイルに合った形でアセスメントができないかと考えていたところ、「Manager Ready」をご提案いただき、試してみることにしました。

松榮:なるほど、「Manager Ready」によって、手間とコストを抑え、実際の職場のスタイルにより近い状況設定でアセスメントを実施できたということですね。御社では、これまでこのようなオンライン・アセスメントを採用された実績はございますか。

渡辺:eラーニングは積極的に活用していましたが、アセスメントをオンラインで実施するのは初めてです。研修サービスを行う他の会社にも話を聞いてみましたが、オンラインでのアセスメントはあまり例がないと言われました。検討時は、「本当にオンラインでできるのか?」「実際に会って行わないと難しいのでは?」という懐疑的な意見もありました。

松榮:その懸念をどのようにして払拭されたのですか。

渡辺:懐疑的な意見以上に今の会社を変えていきたいという声も多かったこと、また、弊社のHRは新しいことに積極的にチャレンジしていく方針でもあり、周りも背中を押してくれました。

オンライン環境と実施場所の確保が大事

松榮:今回、アセスメントとグループ・フィードバック・セッションをすべてオンラインで実施されました。対象は、課長登用前に当たる方々ですか。

安永:はい。マネージャとして将来の活躍を期待している社員が対象となります。

松榮:御社の中でもコアとなる人材ですね。オンラインで実施する上での課題はありましたか。

渡辺:環境面の事前準備は意識しました。弊社のネットワーク環境で問題なくアクセスできるか、社内IT部門にも確認して準備しました。それから、受講者一人ひとりに実施する場所を確保してもらうことですね。アセスメントには半日ほどかかりますので、集中して時間を取れるように配慮してもらいました。

安永:受講者にも話を聞きましたが、集中して取り組むための場所を自身で確保していくのには苦労したとの声はありました。ただ、集合研修のように研修会場への移動時間がなく、期間内の受講であればいつでも受講できる点については非常に好評でした。

0093.jpg

アセスメント、フィードバック・セッションともに、従来方式から無理なく移行

松榮:オンライン・アセスメントに対して、受講者の反応はいかがでしたか。

安永:違和感なく取り組めたという声が大半でした。 

松榮:職種によって、向き不向きはありそうでしょうか。

安永:弊社においては職種による差は特にないと考えております。普段フェース・トゥ・フェースでのコミュニケーションを主とした業務に携わる社員にとってはうまく対応しきれないのではないかという懸念もありましたが、結果としては杞憂に終わりました。

松榮:昨年までとはコンピテンシーも変わりましたが、受講者に戸惑いはありましたか。

渡辺:受講にあたって社員の戸惑いはほとんどありませんでした。ただ、結果のレポートを受け取っただけでは、どういう行動をとれば良いのかわかりづらいとの声はありました。フィードバック・セッションで「どういう場面でどういう行動をしたから、このように評価した」と説明していただくと理解が進みますので、フィードバック・セッションとセットで行うことが必要だと思います。

松榮:仰る通りです。私どもは、フィードバック・セッションで受講者本人がレポートを読み解いて自分なりに課題を発見することに意義があると考えています。単に他者から啓発点を指摘されるよりも、自分で課題を見つけ出すプロセスを踏むことで、その後の能力開発に対するコミットメントが高まります。フィードバック・セッションは、もともとは集合型で行う予定でしたね。

渡辺:はい。ただ、コロナ問題が発生したため、緊急事態宣言が出る前ではありましたが、御社にもご協力いただき、急遽、オンラインに切り替えました。良いタイミングだったと思います。

松榮:フィードバック・セッションは、各回10名前後がオンライン上で集まってセッションする形で実施しました。受講者の反応はいかがでしたか。

安永:コロナの影響での急な対応ではありましたが、反応は好評でした。弊社では、Office365を導入しMicrosoft Teamsを積極的に活用しており、コラボレーションツールを活用した研修は社員にとってもなじみやすかったのだと思います。集合型に戻して欲しいという声も特にありませんでした。

渡辺:海外で活躍している社員と一緒にフィードバック・セッションを受けたグループもあり、社内のつながり、人脈づくりの観点でも良かったと思います。

0075.jpg

グローバルな観点でのベンチマークも魅力

松榮:オンライン・アセスメントを振り返って、印象に残っていることはありますか。

渡辺:実は、事前にデモで自分が体験させていただいたとき、結果が思いのほか良くなかったのです。

松榮:受講者の中にも、そういう感想の方は多かったです。基準を高くもたれているので、そう感じるのだと思います。その点は、フィードバック・セッションでもお話しさせていただきました。

渡辺:私の場合、だからこそしっかり診断し、評価してくれていると感じました。

松榮:そうでしたか。ありがとうございます。

安永:私が面白いと感じたのは、グローバルマーケットから見て弊社のマネジメント層のレベルがどういうポテンシャルをもっているかを分析していただいたことです。社内での比較や国内企業のベンチマークは一般的だと思いますが、弊社の方針でもあるグローバルで通用する人材育成を進めていく上でも、非常に示唆に富んだ情報でした。社員のモチベーション向上や成長を促すためのフィードバックにも役立つと考えております。

松榮:ありがとうございます。「Manager Ready」は、どの国も同じ基準でアセスメントの結果が出ますので、グローバルで比較できるのが特徴の一つです。
今後、外国籍の社員をアセスメントの対象に加えるお考えはありますか。

渡辺:今回は対象に入っておりませんでしたが、今後は当然あると思います。

松榮:「Manager Ready」は多言語・オンラインで実施しますので、海外の方も対象にしていただけると、よりメリットを享受できると思います。

変化に対応し、変革をリードできる人材を育成

松榮:今回は、新型コロナウイルスの問題が発生し、リモートワークに移行する中での取り組みでしたが、ある意味、御社の先読みが当たったといえますね。

渡辺:新しいワークスタイルに見合うアセスメントを試みるという点では、手ごたえを感じています。大事なのは、今回実施した結果を実際の業務に生かしていくことです。アフターコロナ、あるいはウィズコロナの環境で、HRとして社員をどのようにサポートしていけるかは、今後の重要な課題です。研修や多面評価などとも組み合わせて、リモート環境下でのマネジメントを進化させていく必要があります。そのファーストステップとして、一定の目標は達成できたととらえています。オンライン・アセスメントについては、部長候補者など上位の管理者層や、逆に一般社員を対象に加えることも検討の余地があると考えています。

松榮:御社のビジネスを推進していくうえで、今後、キーとなるスキル・能力は、どういうものだとお考えですか。

渡辺:コロナの件もそうですが、環境変化のスピードが速くなっていますので、そうした変化に対応できる能力が必要です。特に上位のマネージャ層に対しては、変化に反応する、もしくは自ら変革をリードしていく能力を意識して伸ばしていくべきと考えています。

安永:これを実現していくための手段として、社員自身が今の立ち位置を知り、変革をリードするにはどのような取り組みをすべきか、気づきを得るきっかけとしてフィードバック・セッションを活用していきたいと考えています。

松榮:御社のフィードバック・セッションを担当させていただいた際、受講者の中に、「変革」や「変化」というキーワードを今後の課題として挙げられた方が多い印象を受けました。HRの皆さんの課題感と現場のリーダーの皆さんの課題感が、共通認識として浸透できているのだと思います。「Manager Ready」のコンピテンシーの一つに「変革の推進」という項目がありますが、大きな環境変化が起こっている中、変革を推進する行動発揮が強く求められると感じました。

渡辺:弊社は、標準で貸与されているPC、ネットワーク環境でスムーズに進行できましたが、PCのスペックやネットワーク環境は、事前によく確認する必要があると思います。

安永:その点、重要ですね。弊社においてはICT環境が導入にあたっての障壁にはなりませんでしたが、企業によっては、ICT環境の整備とともに一定のセキュリティを担保した上でのアセスメントを実施できる環境を用意できるかが導入検討にあたってのポイントになるのではないかと思います。

松榮:本日は、貴重なお話をありがとうございました。

(聞き手:コンサルタント統括本部 チーフコンサルタント 松榮英史)

0112-e1592453530353.jpg

会社名
NTTコミュニケーションズ株式会社
営業開始
1999年7月1日
資本金
2,309億円
社員数
5,500人(NTT Comグループ:11,500人、2020年 3月現在 )
事業内容
電気通信事業等