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総合メディカル株式会社様

総合メディカル株式会社様

「4つの育成視点」をベースに体系立ったリーダーシップ開発を推進


人事本部 人財育成部長/薬剤師 水口真一様

人事本部 人財育成部 リーダー/薬剤師 白濱ちさと様

 


ヘルスケア業界のフロンティアカンパニーとして、医療機関への経営サポートや調剤薬局の運営などを行う総合メディカルグループは、「よい医療を支え、よりよい社会づくりに貢献する」を企業理念(社是)として、「人財」の育成に力を入れてきた。事業変革のさなかにある同社が今、どのような問題意識を持ち、どのような育成を行っているのか。人財育成に関する基本的な考え方と、優れたリーダーを継続的に輩出し続けるための育成策について、弊社取締役の脇田幸子が伺った。(文中敬称略


 

 

「4つの育成視点」を基に人財育成を推進

脇田:御社は、人財育成の基本的な考え方として、「4つの育成視点」を中心に据えて体系化されていますね。

水口:はい。①マインド、②専門性(知識・スキル)、③コンピテンシー(能力)、④経験の4つです。根底にあるのが、医療に携わる者としてどうありたいか、自分が何をしたいかという「マインド」です。職種・職務に応じた「専門性(知識・スキル)」も重要です。また、知識やスキルがあっても、それをうまく使う能力がないと適切にアウトプットできませんので、「コンピテンシー(能力)」を同時に強化する必要があります。そして、さまざまな「経験」を通じて成長していくことで、個々のキャリア実現につながります。

脇田:どのような背景でこの4つの視点を定められたのですか。

水口:当社は医業支援事業と調剤薬局の運営を行っており、薬剤師であれば、薬剤師としての専門性を身に付けるための「GOES(Gradable OJT Educational System)」という階層別の社内教育制度があります。医薬品に関する知識やスキル、患者さんとのコミュニケーションなどを学ぶもので、社内の認定制度として運用しています。一方、医業支援については、「PPI(Process Practice Innovation)」という教育制度があり、同様に、医業支援に従事する者に必要な知識とスキルを体系化してレベル認定しています。このように、専門性の教育は以前から充実しており、社員から見ても、何をどうすればレベルアップしていけるかが分かりやすくつくられていました。

一方、リーダーシップ教育については、従来から行ってはいましたが、体系化されていませんでした。近年おかげさまで会社が成長し、10年ほど前から社員数やグループ会社の増加が加速しています。。そのタイミングで人事制度を見直し、社員にとってより公平・公正な昇格を行うため御社にご協力いただき、能力を昇格要件に入れ、アセスメントを導入しました。

ただ、このアセスメントについては、昇格要件としても使うなかでアセスメントの中身を消化しきれず、「何のためにやっているのか」という声もありました。

脇田:アセスメントは、自分がまだ経験していない1つ上のリーダーの職位という状況設定でチャレンジしていただくので、既にリーダーシップを発揮する機会に恵まれてきた方や、リーダーの役割について学習する機会があった方、つまりリーダーシップ発揮の準備が整ってきている方は比較的前向きに受けていただけますが、そうでない方はストレスに感じることもあるようですね。もちろん全員ではなく、アセスメントを受ける経験の中で開眼される方も多いのですが。

水口:教育的視点でいうと、キャリアの節目でしっかりと振り返ってもらい、強みを伸ばしていくのがあるべき姿です。そのために、事前に能力開発した状態でアセスメントを受けてもらい、そのうえでさらに成長サイクルを回す一つの機会としてほしいと考えていましたが、昇格審査というところだけが切り取られてしまっている面がありました。

どうやっていくべきか自分の中でも悩むところがありましたが、御社に情報提供いただき、私の中でも調べていくなかで、『次世代リーダーシップ開発』という書籍の中に「4つの領域に分けてリーダーシップを開発していく必要がある」という考え方が示されおり、それをヒントに「4つの育成視点」を定めました。

これにより、リーダーシップ開発を体系化でき、「どう組織や社員に周知していくのか」という方向感がクリアになりました。リーダーにとってこの4つはいずれも欠かせませんので、まず、本人たちに意義付けができます。また、所属長にも4つの育成視点を共有することで、現場で何を教育すればよいかを考えてもらうことができます。私たち人事部門にとっても、これがあることで計画的にバランスよく育成施策を企画できます。

脇田:意義や動機付けを含めて考え方を整理し、実施されていらっしゃるのですね。

◎水口さま右_025.JPG

 

社員の成長実感を伴った事業成長を目指す

脇田:御社は一昨年(2020年4月)あえて上場を廃止されて、ビジネス戦略の変更などもおありになったかと思いますが、今後の人財開発を考えるうえで、どのようなところを重要課題(ビジネス・ドライバー)と捉えていらっしゃいますか。

水口:ヘルスケアの分野はこの40年、右肩上がりで市場が伸びてきました。それとともに当社も成長してきましたが、創業から44期目を迎え、事業モデルを再編すべき時期にあります。そこで、上場をいったん廃止し、スピード感を持って事業変革を進めています。

そうしたなか、2021年4月に本格スタートした中期経営計画で人事戦略の基本方針が示されました。そこでは、社訓の1つである「社員の豊かな人生を願い、社員とともに成長します」という考え方を基本に置いています。社員が成長実感を持たないと事業も成長しない。だからこそ、ただ事業の成長を目指すのではなく、「社員の成長実感を伴った事業成長」を目指そうという考え方です。そのために、人財育成と社員の働く環境の整備に力を入れています。

脇田:成長実感というのは大事な点ですね。特に若手の方々には、組織を選ぶ理由として、自分が成長できるかどうかを重視する方が増えています。白濱さんは、どのようなところで成長実感を持ってほしいとお考えですか。

白濱:自分の仕事がどのようなところにつながっていて、どこに貢献しているかを意識したうえで、自分に何ができるか、どう成長していきたいかを実感してほしいです。

脇田:自分がどういう価値を提供しているかを認識するのは大事なことですね。

白濱:はい。環境は目まぐるしく変わっていきますので、自分の在り方や存在意義にアンテナを張っていくことが重要だと思います。

 

 

これからのリーダーに必要なのは「変革推進」「意思決定能力」「人財活用力」

脇田:環境が大きく変化し、会社もスピード感を持って変革を進めるなか、リーダーにはどのような能力が求められるとお考えですか。

水口:マネジメント職の登用に際して、4年前から御社の「CAP(Career Achievement Portfolio)」を実施していますが、そこで特に重視している項目が3つあります。1つは「変革推進」。当社は変革期にありますので、変革推進の力は最も必要です。2つ目は「意思決定能力」。今後さらに事業を発展させていくためには、経営層だけでなく、ミドルが自分たちで意思決定していくことが求められます。3点目は「人財活用力」。特に権限委譲によって人を育てることを重視しています。

脇田:他社の場合、例えば、「社員のエンゲージメントが低下し、理由を分析すると、一人ひとりに仕事が任されていないために仕事へのオーナーシップが薄れてしまったと分かった。そこで、権限委譲を進めることにした」とか、「権限委譲はされているが、意思決定をする力がないので及び腰になっている。これでは仕事へのコミットメントが高まらないと分かったため、意思決定力を強化する」といったケースがあります。御社がこの3点を重視されるのは、どのような問題意識からですか。

水口:当社も、エンゲージメントサーベイで、ミドルマネジメント層への権限委譲がうまくいっていないという課題が出ています。これまでは経営トップが示したビジョンをどう実行するのか、この「実行力」がミドルに求められていたフェーズだったと考えています。一方で、変革期において新たなリーダーを育成していくなかで、社長の坂本はボトムアップを重視しています。ミドルが自分からビジョンを描き、自分で旗を立てて周りを率いていかなければなりません。事業環境を見ても、市場が成熟期に入り、自分たちの強みをしっかり磨いていく必要があります。ですから、ミドル層の変革推進や意思決定の力を高め、権限委譲をしながら育てていくことが重要だと考えています。

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変革を進める今だからこそ、拠り所となる企業理念を重視

水口:1つ補足させていただくと、事業構造は変えますが、一方で企業理念はこれからも大事にしていきます。我々が価値高い人生を歩むために守るべき指針である「わたしたちの誓い」、目指すべき使命としての「社是・社訓」は、社長の坂本も不変だと話しています。

脇田:環境が大きく変化し、会社の中でも再編が起こるからこそ、拠り所が必要ということですね。

水口:はい。人財育成としても、そこがもっとも大事だと考えています。多様な価値観を活かすことも大事ですが、拠り所の考え方は共通でないと、社員の力を1つのゴールに向けて集中させることはできません。

脇田:いいですね。どの会社も、自社の企業理念は採用活動などで伝えますが、実態はさまざまです。入社した後、本当にその企業理念が大事にされているかどうかということは、社員の会社に対するロイヤルティにも影響を与えますよね。

水口:社長の坂本は、新しく入った社員全員に直接、理念に込められた考え方を1時間半にわたり話し、その後に対話をします。また私自身も歴代の経営者から「自分が天職と思える仕事を見つけて、会社を使って価値高い人生を歩んでほしい」と言われ育ってきました。こうした考え方は、経営トップだけでなくミドルのマネジャーにもしっかり理解してもらい、つないでいってほしいと思います。

 

 

体系立ててリーダーシップのパイプラインを整備

脇田:御社は、若手からリーダー、ミドルマネジメント層、さらには経営層へと、体系立ててリーダーシップのパイプラインや研修体系を整備されていますね。

水口:はい。これも「4つの育成視点」に基づいて整理しており、一般社員層については、「GOES」や「PPI」によって専門性を磨き、まずは実務レベルの仕事をしっかりできるようになってもらいます。    

リーダー登用前には、「シードリーダー研修」を受講いただきます。ここでは、リーダーとしての「マインド」、求められる役割が変わることを自覚してもらう機会を設けています。また考える力とコミュニケーション(コンピテンシー)を磨くことや、普段交流機会の少ない他部署やグループ会社のメンバーとともに議論を交わすことで多様な価値観に触れていきます(経験)。

ミドルマネジメント層は、約1年半かけて「経営基礎プログラム」を受講し、経営戦略やアカウンティングなど経営リテラシー(専門性)の教育を行うとともに、リーダーとしての自己理解を深めるプログラムにより、使命感・志(マインド)を深め、並行してアセスメントも行いながら教育していきます。「総合メディカルMBAエッセンシャルプログラム」という社外ビジネススクールへの派遣型研修も新たにスタートしました。今後は、部長・執行役員レベルの研修もより拡充していきます。

 

 

リーダー候補の女性をメンターが後押し

脇田:非常につながりがありますね。ただ、一般社員からリーダーになるときは、意識の面でもスキルの面でも大きな飛躍が必要です。「私はリーダーなんて」と躊躇する方もいらっしゃると思いますが、いかがですか。

水口:当社では、「自分のキャリアは自分でつかむ」という考えから、昇格はエントリー制にしており、本人の意思がなければそもそも対象にはなりません。研修参加も、基本は手挙げがメインです。

脇田:一方で、ポテンシャルはあるものの本人はそこに目が向いていないという人に対しては、何か工夫をされていますか。

水口:たしかに及び腰の方はいます。特に女性の昇格へのチャレンジなどについては課題感がありました。一般的に男性は、社内外を含め様々なコミュニティのなかで薫陶を受け、リーダーを目指そうといった気づきを得る機会も多いと思います。一方で、女性には、まだそうした機会が多いとはいえず、人事としても環境づくりが必要だと考えています。

そのための施策として少し芽が出てきたのが、2年前に始めたメンター制度です。普段接する機会のない別部署の部長層とリーダー候補の女性をマッチングさせて、2年間にわたり、2~3カ月に一度、web面談をお願いしています。社内における“越境交流”として、違う価値観に触れる機会になっています。所属長側にとっても意義が大きいと感じます。白濱も昨年スタートしました。

脇田:忙しくしていると2~3カ月なんてあっという間ですから、頻度としてはちょうどよいくらいでしょうね。白濱さんのご感想はいかがですか。

白濱:非常にいい機会をいただいています。やはり、「私なんて」と自分の中でのブレーキがかかってしまいがちですが、「(いい機会だから)1回乗ってみたらいいんじゃないか」「シニアマネジャーになるまで面倒みるよ」などと言っていただけて、あらためて内省する機会になっています。

水口:女性活躍推進に関しては、5~6年前から女性リーダー研修をしていますが、当時はリーダー候補層の女性の数がそもそもあまりいませんでした。しかし候補者層も増えており、これから女性管理職が増えてくると思っています。

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リーダーシップを発揮する機会の変化

脇田:その他の課題感についてはいかがですか。

水口:リーダーの育成環境について、企業規模が大きくなったが故の課題があります。私が入社したころはまだ組織規模も小さく、20代でも責任のあるポジションを任され、現場運営からスタッフの採用と評価、医療機関との折衝、新店舗の開設業務など多様な経験ができました。それが、企業が大きくなってきたことで、一人のリーダーが得られる経験値は、以前より限定的になった面もあります。だからこそ、「4つの育成視点」に基づいて教育しないと、バランスを欠いてしまう懸念があります。

脇田:組織の機能が整備されてくると役割も細分化して、ダイナミックにリーダーシップを発揮する機会が減っていくということがあります。逆にいうと、役職に就くまでにリーダーシップを発揮する機会が十分に得られないからこそ、準備のためのトレーニングが重要になります。

 

 

社内ファシリテータの価値

脇田:お二人には、当社のファシリテータ認定プロセス(FCP)を受けていただいていますね。ご感想はいかがですか。

白濱:(教材が)エビデンスに基づいていて説得力があると感じました。自分自身の学びにもなりましたし、学んだことを受講者に伝えることもできます。一方、「FCP」のファシリテータガイドにはあえて余白があると感じました。ファシリテータとして何を伝えるかを自分で設計しなければいけません。主体的に学んで現場で実践してもらうためにどう設計するかを考えることができたのが、自分の中で一番大きかったです。

脇田:そうなんです。ファシリテータガイドやテキストはかなり綿密に構成しているものの、それをコピーして運営するのでは認定が通らない仕組みになっていて、受講者のビジネス状況や特性に合わせてファシリテータ自身に味付けしてもらう必要があります。水口さんはいかがでしたか。

水口:以前から社内で講師をしていましたが、属人的なスキルにとどまっていたと思います。あらためてチェックポイントを学び、ファシリテーションの気付きがありました。私自身、感覚的な教育は避けたいという思いがありますし、エビデンスがあることで受講者にとっても腹落ちになります。

脇田:認定プロセスで用いるコンピテンシーやキーアクションは、当社のコンサルタントも、時々振り返ってみると、「一方的な説明が続いて相手の話を引き出せていなかった」とか、「理解の確認が少なかった」などと、改善ポイントが明確になります。。

水口さんは相当な数の研修をされていますが、社内ファシリテータだからこそ提供できる価値とはどのようなことですか。

水口:当社は、DDI認定のファシリテータが8名在席しており、約2年前に「SCHOOL(Success Communication Human resource Organization Leader)」という講座体系としてリリースし、階層別研修に加えカフェテリア研修など社員が自由に受講できる環境を作っています。こうした取り組みのなかで、ヒューマンニーズに応えるための「基本原則」(「自尊心を大切にする」「共感的に聴き、反応する」「協力を求め、参画を促す」「考えや感情、結論の根拠を共有する」「責任をもたせたまま、側面から支援する」)を共通言語にしようと取り組んでいます。また、目標設定に当たっては、測定評価(進捗を管理し成果を評価する)、フォーカス(優先して取り組むべきことを決める)、アカウンタビリティ(仕事を割り当て、責任を担う意志を定める)、SMART(具体的、測定可能、達成可能、整合している、時間条件がある)といったポイントを意識させています。

こうした考え方を徹底するため、「SCHOOL」では、ミドルマネジメント層に「成果を生み出すリーダーのコミュニケーション・スキル(CLS)」や「目標設定と達成状況の振り返り(SGRR)」、リーダー層には「影響を及ぼすコミュニケーション(CI)」と「効果的なフィードバックと傾聴(HIFL)」を必須の研修とし、カフェテリア研修にも講座を用意して重層的に教育していますが、社外の先生にお願いするだけでは回数も限られます。また、我々自身が社員であり、相手のキャリアも分かりますので、相手の腹落ちしそうなエピソードを伝えることができます。

脇田:「4つ育成視点」のうち「経験」というのは、我々社外のコンサルタントですと、かなり念入りにインタビューさせていただいてようやく理解できるものですが、社内の方だと想定が付きやすいですよね。

オンラインアセスメント「Manager ReadyⓇ」の結果を見させていただきましたが、御社の社員はスコアが驚くほど高いんです。社内で研修を重ねてこられて、準備が整っていらっしゃる方が多いのだと思います。

水口:「CAP」を導入して4年目になりますが、初年度は先生にいろいろとリーダーシップに関する組織的課題を指摘いただきました。それが今期は、先生の評価が甘くなったのかなと感じるような良い評価をいただいています。実際の受講者インタビューにおいても、リーダーに求められる役割とスキルを理解し、現場で発揮していることがわかるエピソードが多く出てきており、これまでの取り組みが徐々に定着してきた実感があります。

脇田:コロナ禍で人と人との接点が持ちづらくなったり、オンラインとリアルとのバランスが崩れてきたりと、気持ちのケアが重要な時代と言われています。「基本原則」は気持ちのケアをするためのスキルですよね。それが浸透していらっしゃるのは、御社の強みの基盤になると思います。

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運用面を含め、さらにリーダーシップ開発を進めていく

脇田:最後に今後の展望をお聞かせください。

白濱:リーダーシップというのは実践を積んでいかないと身に付きませんので、実践と学びを短いスパンで結び付け、いろいろな支援を受けながら成長できる環境づくりをしたいと考えています。

また、私はもともと薬剤師として入社しましたが、今後は、スペシャリストもリーダーとして立ち回らないといけない場面が増えてくると思います。いわゆるリーダー層だけでなく、少し対象を広げてリーダーシップの教育を行っていきたいです。

脇田:2択のように捉えられがちですが、リーダーのスキルを身に付けることは専門性を捨てることではないですからね。

水口:当社は、マネジメントに就くコースと専門性を発揮するコースにキャリアを複線化していますが、専門性を発揮する人にはリーダーシップは必要ないなどということはありません。最近、そちらの上位層にもリーダーシップの育成プログラムを適用し始めたところです。今後人事制度改定を行う予定ですが、そのなかでも、時代に合わせて変えていくべきことは変えていきます。

制度面だけでなく、ソフト面でどうやってチャレンジを促すかも重要です。「キャリア自律」をキーワードにし、社員一人ひとりの成長が見えるように、タレントマネジメントシステムの導入も決めました。

一方、先ほど申し上げた、変わっていこうとしているからこそ変えてはいけない共通の拠り所も大切です。経営層との直接の対話機会やタウンホールミーティング、トップ講話なども行い、経営層と現場、そしてそれをつなぐミドルがしっかりと価値観を共有していきます。

人財育成の観点では、いわゆる「ロミンガーの法則」――リーダーとして成長するうえで重要なのは7割が経験、2割が薫陶、1割が研修という考え方を意識しています。特にリーダー層に上がられる方は、会社を使って多様な経験をしてほしいですね。どちらかというとこれまでは、会社のレールに乗って自分のキャリアをつくってきましたが、今後は公募制度なども高度化し、いろいろなチャレンジができる機会をつくっていきます。

所属長による薫陶も大事です。所属長がどういう仕事を与えるかは大きく影響しますので、しっかりとチャレンジを後押しし、いいことも改善点も伝えてほしい。お互いの成長のために言うべきことを言える関係をつくることも大事だと捉えています。

脇田:箱をつくって終わりではなく、運用面まで考えて取り組まれているのですね。

水口:まだまだ課題は多くあり、この先も、一つひとつしっかり運用していかなければなりません。それらが重なっていけば、いい方向に変わっていくはずです。

脇田:お話を伺って、明確な目的意識を持って能力開発の方向性を描いていらっしゃるとあらためて感じました。いろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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対談者プロフィール

総合メディカル株式会社 人事本部 人財育成部長/薬剤師
水口 真一 氏
富山医科薬科大学(現富山大学)薬学部卒業。1999年総合メディカルに入社。薬剤師として勤務後、関東・近畿・福岡地区でブロック長として調剤薬局の運営・開設等に従事。人事部門に異動後、能力開発、アセスメント、人事制度企画に従事し、DDIファシリテータとしても社内研修を実施。2017年より現職。

総合メディカル株式会社様 人事本部 人財育成部 リーダー/薬剤師
白濱 ちさと 氏
九州大学大学院薬学府修士課程修了。2011年総合メディカルに入社。薬剤師として勤務後、採用部へ異動し、リクルーターとして新卒採用業務に従事。病院出向を経て、人財育成部に異動後、薬剤師専門教育、若手フォローアップ企画、研修のオンライン化等に従事し、DDIファシリテータとしても社内研修を実施。2019年より現職。

株式会社マネジメントサービスセンター 取締役
脇田 幸子
広告代理店に勤務後現職。HRコンサルタントとして、ビジネス戦略を実現するための人材像の特定、採用、アセスメント、能力開発まで、一貫したコンサルテーションを提供。DDIラーニング・システム認定マスタートレーナーとしてファシリテータの養成も行っている。コンサルタント、プロダクツサービス、LDX(Learning Design &DX)部門の総責任者として、リーダーシップ開発のサービス提供を総合的にマネジメントしている。

会社名
総合メディカル株式会社
設立
1978年6月12日
資本金
10億円
従業員数(連結)
16,188名
事業内容
医業経営コンサルティング、医療モールの開発・運営、医療機関への医師の紹介、医師の転職・開業支援、医業継承支援、保険調剤、一般薬・介護用品の販売、医療機器などのリース・販売、入院患者向けテレビのレンタル