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バーチャル・クラスルーム成功のための5つの重要なステップ

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新型コロナウイルス感染拡大により、多くの事業所で従業員の退避を余儀なくされています。オフィスはもぬけの殻、従業員は自宅待機という状況でも、多くのビジネスにとって事業の継続は必須課題です。このような局面において、人材育成を滞りなく遂行するための鍵となるのは、バーチャル・クラスルームを確実に成功させることです。

サムソナイトCEOのカイル・ジェンドロー氏は最新のインタビューで『事業の継続』について、次のように述べています – 「従業員の健康と安全は目下の最重要事項で、そのための適切な取り組みを行っています。そのうえで、我々はこの逆境を乗り越えるでしょう。サムソナイトは今なお長期的な目標や理想の実現に注力し続けていると、誇りをもってお伝えしたい。」

また、人材育成や能力開発について、ジェンドロー氏は次の2点を指摘しています。

  • まず大事なのが、短期と長期のバランスを取ることです。戦略目標を達成できないからと、安易にすべてを中止や保留にしてはなりません。この危機が過ぎ去った時、組織にはのんびりと回帰する余裕はありません。通常のビジネスに即座に戻るには、リーダーの手腕が適所に必要となります。
  • 次に、リーダーはむしろ今こそ能力を発揮しなければなりません。リアルタイムで危機管理の場面に直面する中、リーダーはこの現場のトップに立つ必要があります。遠隔でチームを率いるのが初めての場合、これまで必要のなかった新しいスキルが必要となります。

多くの組織がクラスルーム形式のトレーニングや対面学習の中止を余儀なくされている中、学習の流れを断ち切らないための救世主となるのがテクノロジーです。そして、テクノロジー対応の対面学習代替手段として、バーチャル・クラスルーム・トレーニングが数多く活用されています。幸い、DDIの調査では、バーチャル・クラスルーム・トレーニングは対面学習と同様に行動変容に効果的であることが示されています。対面学習の実施が難しい現状において、これは励みになる見解といえます。

しかしながら、自分で選んだテクノロジー・プラットフォームに、ただスライドをアップロードしただけでは、自動的に「同様の効果」は得られません。すべてのバーチャル・クラスルームから同等のソリューションが生み出されるわけではないのです。さらに、バーチャル・クラスルームの成功は複数の要因によって決まります。

DDIは、過去10年以上にわたり、お客様が効果的にバーチャル・クラスルームを実施する支援をしてきました。その事例を共有します。この中には、我々が遭遇した落とし穴と、最善の回避策も含まれています。


 

留意点

バーチャル・クラスルーム・トレーニングを活用して、現在リーダーが最も必要とするスキルを学習するにあたり、以下の点に留意が必要です。

1.目的に対する適合性

バーチャル・クラスルームは素晴らしいトレーニング手段ですが、常に適切な解決策になるとは限りません。例えば、トレーニングの目的が大量かつ複雑な情報の提供である場合、文書形式による配布の方が望ましいこともあります。

決め手となるのは、何を達成しようとしているのかということです。従って、バーチャル・クラスルームに取り組む前に、以下について自問するとよいでしょう。

  • バーチャル・クラスルームを活用する相応の理由があるか
  • 双方向のやり取りを伴うものか、あるいはメールや文書で代用できるか
  • 達成しようとしている成果は何か

これらの問いに明確な回答を見いだせる場合にのみ、バーチャル・クラスルームの成功への一歩を踏み出すことが可能です。

2. 双方向性

バーチャル・クラスルームの一番の長所は、参加者が物理的にどこから参加しようと互いにやりとりできる点です。技術の進歩により、今ではほぼすべてのバーチャル会議プラットフォームに音声、ビデオカンファレンス、およびリアルタイムのチャット機能が備わっています。DDIのバーチャル・クラスルームのソリューションには、さらに画面上のアノテーションツール(注釈ツール)、投票機能、小グループでのディスカッションやブレーンストーミング、実践演習などを可能にするバーチャル分科会室なども備わっています。

機能性としては強力ですが、現実的にこのレベルの双方向性が自身の学習設計に必要なのか確認してみてください。これほどのデジタル双方向性が不要であれば、オンラインセミナーを用意するだけでも十分かもしれません。いったん立ち止まって自問するとよいでしょう。

3. 多様性

バーチャル・クラスルームはあたかも実体験のように感じられる(前項参照)とはいえ、単独で十分な結果を得られると考えてはなりません。物理的な教室の代用品とはいえ、優れたトレーニング・デザインを決定づけるすべての要素に取って代わるわけではないのです。事前準備、自己診断、テキスト、ジョブエイド、フォローアップのアクティビティやその他さまざまなマテリアルが、コースの効果を高めます。いかなるコースも、これらを正しく組み合わせることで、本来の目的や目標を達成することが可能となります。

4. 技術的な不具合を最小限に

コース内容や設計がバーチャル・クラスルームの成功に大きく寄与する一方で、技術面も非常に重要となります。すなわち、使用するバーチャル・クラスルームの性能の問題です。また、それを適宜操作することができ、回避可能な不具合に対処する力量も必要となります。我々の経験則上、不具合を避ける最善の方法は、対象のプラットフォームを適切に扱い、参加者の技術サポートができる要員を各コースに1人配置することです。これにより、ファシリテーターが学習コースの進行に集中することが可能となります。

5. 優れたファシリテーター

上述のとおり、バーチャル・クラスルームは物理的に教室で行われる学習と同様に効果的です。しかしながら、参加者にとっては同様の学習でもファシリテーターにとっては異なる体験となります。バーチャル・クラスルームにはこれまでとは違う形の課題が存在するためです。技術面はその一つですが、リアルタイムのフィードバックやリアクションが得られないというのも顕著な課題です。ファシリテーターは参加者のボディランゲージや表情から、その集中や理解の度合いを量りますが、バーチャル・クラスルームの場合、彼らの様子を読み取るのは難しく、また動画を使わない場合は、まったく見えません。

優秀なファシリテーターは皆、練習の大切さを理解しています。バーチャル・クラスルームによる講義の場合、さまざまな機能を最大限に活用し、確実にインパクトのある講義を提供するには、なおさら練習が重要になってきます。このため、ファシリテーターには、事前に練習を行い、随時フィードバック(ペースはよいか、もう少し明確にした方がよい部分はあるか、全員このスライドが見えているかなど)を求めることを奨励しています。

計画が成功の鍵

以上がバーチャル・クラスルームを成功させるために留意すべき5項目ですが、難しく考えないでください。効果的なバーチャル・クラスルームの実践は十分可能です。ただ、計画を綿密に練れば、それだけ行動変容を得られるということです。

DDIは、これまで数限りないバーチャル・クラスルームを世界的な組織に提供しており、非常に励みとなるフィードバックを定期的にいただいています。

「eラーニングは弊社でも一般的ですが、今回受講したバーチャル・クラスルームのアプローチはとても刺激的で興味深かったようです。従来型のeラーニングを大きく進化させた感じでした。」 – HR管理職/世界的企業

「もう11年もバーチャル環境でリーダーをやっているので、この分野でそれほど学びはないと思っていました。でもDDIのプログラムを通じて、今まで注意を払いきれていなかった課題が数々見つかりました。例えば、バーチャル環境下の部下たちを単に信頼するだけでは不十分で、それを明確に表現する努力をしなくてはならないと気づいたのです。」- チームリーダー/ソフトウェア企業

何かと不安定な時期ですが、それでも刺激や有益な進化をもたらすことは可能です。長期戦略を推進するために不可欠なスキルを身につけた即戦力となるリーダーを育成しましょう。それが、今、必要なことです。そして、バーチャル・クラスルームというオプションを吟味することで、その実践におけるあらゆる障壁を取り除けることでしょう。

バーチャル・クラスルームの詳細は、こちらをご参照ください。

原文はこちらをご参照ください。