Cases / Surveys / Reports 事例・調査・レポート

必見! 2021年の3つのリーダーシップ・トレンド

新型コロナウイルス感染症がリーダーシップにどのような影響を与えたのかを明らかにしたDDIの最新調査から、3つの重要なリーダーシップのトレンドをご紹介します。

必見2021年3つのトレンド01.png

2020年は厳しい1年でしたが、この間に受けたストレスにより、誰もが予測できなかった形でリーダーシップの強みや弱み、変化の必要性が顕在化しました。

私たちは、2020年前半から、リーダーシップに関する世界最大規模の動向調査である「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」を開始しましたが、調査過程において、コロナがどのようにリーダーを変えたのかを目の当たりにしました。今回の調査は、2月から7月に実施したことから、コロナ前、危機の発生時、そして世界が新たな日常に適応した時期という、3つの異例な時間軸で回答の違いを見ることができました。

このデータを見ていくと、時間の経過につれ、リーダーの反応に興味深い変化が示されています。私たちは、これらの変化をわかりやすいインフォグラフィックで示し、所見をまとめました。
本コラムでは、これらのリーダーシップ・トレンドに対処するためにすべきことと、主要なポイントをご紹介します。

リーダーシップ・トレンド#1: 次期リーダーは空席状態

必見2021年3つのトレンド02.png

人事は今日のリーダーの職務を充足する準備をどの程度、整えているでしょうか? 一言でいうと、「あまり整っていない」状況です。2020年はリーダーの供給体制が過去最低を更新し、自社のリーダーの供給体制が優れていると回答した人事担当者はわずか11%でした。そして、長年にわたるグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト調査において、その割合は着実に低下しており、2011年は18%、2017年には14%になっています。

なぜ企業はいまだにリーダーの供給体制に悩まされているのでしょうか? これには理由が2つあります。まず、リーダーに求められる役割が、これまで以上に難しくなっていることです。業務規模や難易度が増し、さまざまなストレスを抱えているリーダーに、より多くのことを求め続けています。2つ目に、即戦力になるリーダーを語る際に、「何の準備ができているリーダーを指すのか」という点も考えなければなりません。このことから、リーダーがうまく機能していないというだけではなく、自社のリーダーが今後のビジネス状況に対応する準備ができていないと人事が見なしているということがいえます。リーダーは、今後の課題に対処する準備ができていないのです。

実施すべき3つの取り組み:

1.自社のビジネス・ドライバーを特定する。自社における成功とはどのようなものかを定義してください。現在と将来の戦略を推進するために必要なリーダーシップ・スキルは何でしょうか?

2.ビジネス・ドライバーを実行するためのリーダーの準備度に関するデータを入手する。リーダーシップ・アセスメントは、あらゆる階層のリーダーに関する客観的なデータを得るための最適なツールです。

3.リーダーシップ開発、特に経営幹部の能力開発を成り行き任せにしてはならない。自社のリーダーの強みと能力開発領域を特定すると、個々人のニーズに合わせて意図的に能力開発を行い、求められる能力とのギャップを埋めることができます。経営幹部の能力開発には、特に留意してください。経営幹部への昇進は、最も難しいキャリアの移行だからです。困難の多くは回避できるにもかかわらず、あまりにも多くの経営幹部が失敗しています。

リーダーシップ・トレンド#2: 切迫した状況下でスキルに亀裂が生じる

必見2021年3つのトレンド03.png

コロナの影響により、短期間で多くの企業がリモートワークに移行しました。そして、誰もがリモートワークの仕方を学ばなければならない中で、リーダーは新たな課題に直面し、一夜にしてリモートで働くチームを率いる術を学ぶ必要に迫られました。

さらに、パンデミックによって生じた新たな要求にも直面しました。まず、リーダーは、競合対策と、製品やサービスの改善に向けたイノベーションを起こすことに緊急性を感じていました。危機への対応において、78%のリーダーが同業他社との競合に対応するために、より多くの準備をしなければならないと回答しています。また、61%のリーダーは、製品やサービスの改善に向けたイベーションを起こす準備が必要であると答えています。このことは、パンデミックにより、ビジネスが急速に様変わりしていることを反映しています。リーダーは、自分たちのチームも迅速に適応し、変化をリードしなければならないことを予期しています。

同様に、パンデミックにより、リーダー自身が自信をもっていたリーダーシップ・スキルにも急激な変化が起こりました。危機が訪れると、リーダーが優れていると感じていたスキルに対する評価が劇的に低下したことが明らかになりました。そして、すでに述べたように、リーダーは自分たちがいかにリモートで働くチームを率いる準備ができていないかに気づいたのです。危機への対応において、20%のリーダーがリモートで働くチームをうまく牽引できていないと回答しています。

また、共感を示すスキルについても、自信を失っていました。リーダーの15%が、効果的に共感を示すことができていないと回答しています。通常、リーダーが自分自身を高く評価するスキルです。この低下は、彼らが特にリモート環境に置かれたときに、自分自身に自信がもてないことを示しています。ビデオ通話で共感を示すには、対面よりもはるかに洗練された手段が必要なのです。

実施すべき3つの取り組み:

1.リーダーにEQ(感情的知性)の基礎を提供する。彼ら自身がこのスキルを十分に発揮できていると思っていたとしても提供してください。私たちのデータによると、このスキルは危機的な状況に陥ったときに、プレッシャーの下で亀裂が生じたスキルだからです。特に、リーダーにはリモート環境において、効果的にEQを発揮するスキルの開発が必要とされています。

2.バーチャル・リーダーシップ・スキルを磨く支援をする。チャットやメールでのコミュニケーションが増す職場環境において、関係構築を図るためのコミュニケーション・スキルとコーチング・スキルをリーダーに習得させましょう。これらのコミュニケーション手段で誤解が生じるのを回避する方法を伝えてください。また、リモートでのミーティングの進行中に、信頼を築き、全員を巻き込むために必要なインタアクション・スキルを提供することも忘れないでください。

3.変化を推進するために必要なスキルをもったリーダーを備える。緊急事態から抜け出すであろう2021年は、パンデミック後の市場がどのように変化を遂げたかが示されます。自社のリーダーに、この変化を推進する準備が整っているかを確認してください。

リーダーシップ・トレンド#3: 不確実な状況下で学習意欲が高まる

必見2021年3つのトレンド04.png

危機の最中、リーダーは学習に週6時間弱の時間を費やしていたと回答しています。しかし、実際はそれよりも3時間近く多い時間を費やしたいと思っています。学習したいと思う時間が大幅に増えたのはなぜでしょうか?

リーダーが一時的に時間を持て余していたことも考えられますが、より現実的には、不確実な状況が学習意欲を掻き立てたということもあります。人は不慣れなことばかりに囲まれていると、命綱を求めて必死になるものです。

また、オンライン学習に対する意欲が大幅に上昇しました。リーダーは、共に学び、つながりをもつことの大切さを再三にわたり言及しています。しかし、私たちの多くがリモートワークに適応したのと同様に、彼らもオンラインでの学習に適応しました。

彼らの多くは、「オンライン」形式による学習とは、単にウェブを介して自分のペースで学習できるコースとは異なり、バーチャル・クラスルームで同僚と共に学びながら、予想以上に、非常に貴重な人脈を作ることができるものだと理解しています。

実施すべき3つの取り組み:

1.危機が発生した時に迅速に展開できるリーダーシップ開発を確実に備える。 その時こそ、リーダーが最も学習を必要としています。

2.リーダーがバーチャル・クラスルームで快適に学べるようにする。 バーチャル・クラスルームは、ウェブ上でクリックするだけで実施するものではありません。従来の集合研修と同じように、実際に対話をしたり、演習に参加したりすることができます。リーダーは、特にリモートで仕事をしている場合、この学習形式を体験する必要があります(リーダーもそれを切望しています)。

3.個々のニーズに合った学習を提供する。 リーダーは、膨大な学習コンテンツに目を通す時間がありません。彼らが真に必要としている学習だけにアクセスできるようにして、彼らが望む適切なコンテンツを提供してください。それが従来の学習形式であっても、チャットボットを使ったスキル演習であっても、彼らにとって最適な方法を伝えてください。

難しい状況でも進み続ける

これらの傾向は、パンデミックにより生じた多くの課題とリーダーシップの変化を示しています。しかし、世の中を揺るがすようなことや大きな転換から得ることは多く、何が機能し、何がそうでないかを学ぶことができます。2020年を教訓にして、新しい年のリーダーシップ開発の成功に向け、真に必要なことは何かを検討してください。

 

リーダーシップ・トレンドに関する詳細にご関心のある方は、ウェビナー(英語のみ)をご視聴ください。

また、
グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021の5つの所見の資料もダウンロードすることができます。

 

■ 原文はこちらをご参照ください。