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従業員の定着率を上げるためのダイバーシティ&インクルージョンのベストプラクティス

組織のリーダーシップ文化の強化と収益向上に役立つダイバーシティ&インクルージョンの7つのベストプラクティスをご紹介します。

従業員01.png何十年にもわたり、組織は徐々にダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のベストプラクティスを人材戦略に取り入れてきました。 DDIのDiversity and Inclusion Report 2020の中で、これらのベストプラクティスの効果について、データを検証しています。この種のレポートには、朗報と凶報がありますが、良い点として、マイノリティの人種・文化的背景をもつリーダーが、より早く昇進していることが挙げられます。しかし残念な点は、女性やマイノリティのリーダーは、他のリーダーよりも早く離職しており、上位職になればなるほど、離職率が高まっていることです。実際、4人に1人以上のマイノリティの経営幹部は、昇進するために転職するつもりであると回答していますが、マイノリティ以外のリーダーはわずか12%にとどまっています。

過去5年間に昇進した回数(平均):マイノリティリーダーとマイノリティ以外のリーダーとの比較

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離職による財務的なリスクは膨大です。また、本調査において、業績上位10%の組織は、圧倒的に多様性に富んでいることが示されています。

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業績上位10%の組織は、圧倒的に多様性に富んでいる。
DDI Diversity and Inclusion Report, 2020

組織における最大の機会損失は何でしょうか? 多様な背景をもつリーダーの定着率を向上させるために、ダイバーシティ&インクルージョンのベストプラクティスを社内でどのように適用すればよいでしょうか? DDIの調査に基づき、より多様なリーダーシップ・パイプラインを推進するためのダイバーシティ&インクルージョンの7つのベストプラクティスをご紹介します。

ダイバーシティ&インクルージョンの7つのベストプラクティス

1. リーダーに個々人のニーズに応じた質の高い能力開発計画を提供する。

リーダーにスキルアップのための計画とツールを提供してください。それに加えて、社内でうまくキャリア形成につながる最適な職務や役割も提供してください。

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2. 個々人の能力開発に重点を置いた継続的な業績管理の話し合いを奨励する。

業績管理の話し合いは、管理職が継続的かつ適時に行うべき責務です。これは、個人の能力開発を支援するためにも、成長の機会を見極めるためにも役立ちます。

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3. 全リーダー向けに中核となるリーダーシップ開発プログラムを構築する。

リーダーの行動が組織文化の促進要因となります。インクルーシブな(多様性を受容する)文化を実現するためには、リーダーが共通のスキルとツールを身につける必要があります。中核となるプログラムをもつことは、よりインクルーシブな文化を醸成するのに役立ちます。さらに、人材とインクルージョンを構築する上で、リーダーの役割の重要性が高まります。

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「働きがいのある会社」として認定されている組織は、ダイバーシティを受容している割合が75%高くなっている。
DDI Diversity and Inclusion Report, 2020

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4. 従業員の健康とウェルビーイングに投資する。

柔軟な働き方の確立は、リモートワークを導入する組織が増える中で特に重要です。これにより、インクルーシブで支援的な職場の雰囲気が醸成されます。

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5. 優れたリーダーに求められる要件と昇進に必要なコンピテンシーを明確に定義する。

リーダーは成功するために何が必要かを理解しなければなりません。そのためには、コンピテンシーを定義することが重要です。しかしながら、多くの女性やマイノリティのリーダーは、成功するために必要なことがまったく明確になっていないと感じていることが、私たちのデータから示されています。このことは、自分たちが正しい方向に向かっているかどうかわかりにくくなる要因になっています。

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6. 全階層に対し、昇進したリーダーが新たな役割に円滑に移行できるようにするための、公式なプログラムを取り入れる。

多様性に富んだ確固たる将来の人材の供給体制を構築するためには、多様な背景をもつリーダーのプールを作ることが唯一の手段です。最も重要なことは、フロントライン・リーダーから最高経営幹部まで、リーダーシップ・パイプライン全体にわたり、昇進したリーダーが円滑に新たな役割を遂行できるようにするためのプログラムを用意することで、あらゆるリーダーが成功するのに必要なツールと支援を得ることができます。

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7. 公正な採用や昇進の決定をするためにデータを活用する。

実証されたアセスメントと体系的なシミュレーションを使用することで、より客観的で公正な採用を行うためのデータを得ることができます。

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ダイバーシティ&インクルージョンのメリットを得るには

どれだけ多様な人材を採用しても、その人を組織に定着させるためには、公正でインクルーシブな文化が必要です。そうでなければ、何のメリットも得られずに、人の入れ替わりの激しい組織になってしまいます。

今こそ、自社の現状をじっくり見直す時です。自社のリーダーや、ハイポテンシャル人材のプールはどのくらい多様性に富んでいますか? これらのリーダーは、次の経営幹部になり得る人材です。将来に向けて、優秀な人材を育成するためには、今すぐ人材の定着と育成に取り組む必要があります。

 

詳細につきましては、DDIの最新の調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」の特集Diversity & Inclusion Report(英語)をご覧ください。

 

原文はこちらをご参照ください。