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セルフアウェアネスによるリーダーのレジリエンスの高め方

~リーダーがレジリエンスを高め、困難な状況下で成功するための3つの方法をご紹介~


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レジリエンスは、生まれつきもっている人もいれば、そうでない人もいるという、自分では直接コントロールできない特性だと思われがちです。人はある程度のレジリエンスをもっていますが、その後の対応力には限界があります。レジリエンスに影響を与える要因の中には、不安を感じやすい、感情的になりやすい、といった先天的な資質もありますが、内省と訓練によって改善できるスキルの側面もあります。

レジリエンスを高めるためのアドバイスには、あまりにも常識的で画一的なことがよくあります。(例えば、もっと運動しましょう! よく食べましょう! 十分な睡眠をとりましょう! など)。

レジリエンスを高めるには、個々人に合わせた繊細なアプローチが有効です。自己認識(セルフアウェアネス)を深めることで、自分のエネルギーを消耗している要因は何かをよく見極めることができます。また、自分のエンゲージメント、目的、ウェルビーイングの源を自覚することができます。

しかし、実際には、セルフアウェアネスが欠如しています。最近の調査によると、実際にセルフアウェアネスのある人は10〜15%のみであることが明らかになっています。DDIのリーダーシップ開発コース「Leading Self: Turn Awareness into Impact」(自分自身を率いる:自己認識を影響に変える)において、リーダーのセルフアウェアネスを高めるための3つの重点分野を紹介しています。これらの分野に焦点を当てることで、リーダーはレジリエンスを向上させ、困難な状況下でも成功する力を身につけることができます。


 

1. 自分のコア・バリューを明確にし、それに沿った行動をとる

レジリエンスを高めるためには、まず自分のコア・バリューを理解し、それに沿った行動をすることが必要です。しかし、コア・バリューをどのように見極めればよいのでしょうか。

1つの方法は、時間とリソース、エネルギーの優先順位のつけ方を見直すことです。プライベートな時間を犠牲にして夜間に大学院に通うことをいとわない人は、達成感と成長を大切にしていると思われます。将来のために家賃の安い家に住むことを選ぶ人は、安定して暮らせる生活を大切にしている証です。

もうひとつの方法は、理想の自分を思い描くことです。自分の可能性を最大限に引き出しているとしたら、どんな人生になっているでしょうか? 地位や富、出世を考えていますか? クリエイティブな人生を思い浮かべますか? 自分がレガシーを残すことを想像できますか?

自分のコア・バリューが明確になると、それに合った人生を歩むことができます。このことが重要な理由は、私たちの行動に緊急性、明確性、そして意義が加わるからです。

しかし、その価値観にそぐわない行動をするとどうなるでしょうか? このような行動は、「ディール・ブレイカー(実現を妨げる重大な障害)」となり得ます。

 

価値観がレジリエンスに重要な理由

なぜ、価値観がレジリエンスにとって重要なのでしょうか? 価値観は、自分たちが何に楽しみを感じ、何から活力を得ているかを認識するだけでなく、アイデンティティの鍵でもあります。コア・バリューに沿った行動をとることで、「あるべき姿」の自分になることができます。

プレッシャーや曖昧さが増す変化の激しい時代には、自分の行っていることと、大切にしていることとのギャップが広がるのは当たり前です。ここで2つの例を見てみましょう。

  • グレッグは、家族との時間を大切にするために、ワーク・ライフ・バランスを重視しています。しかし、企業再建の影響により、長時間労働を余儀なくされるようになり、家族とともに夕食がとれなくなったり、子どもの宿題を手伝うことができなくなったりしました。
  • コミュニティとチームワークを大切にするカルメンは、リモートワークになったことで、自分が満たされていないことに気づきました。彼女は人との対話を求めていますが、延々と続くZoomミーティングに嫌気がさしています。日々何度も行われるリモートでのミーティングでは、オフィスで慣れ親しんだようなつながりを感じることができません。彼女が最も望んでいるのは、オフィスで立ち話をするような交流です。

価値観が、自分のアイデンティティの延長線上、あるいはそのものであるとすると、自分のコア・バリューを理解し、それに沿った行動をしなければ、真の意味で自分らしい成長を遂げることはできません。それにより、少しずつでも意味のある変化をもたらし、大きなインパクトを与えることができるのです。

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グレッグとカルメンは何をすればよいのか?

グレッグは、刺激的ではあるが先鋭のプロジェクトを見送るかもしれません。この余分な任務によって、深夜、あるいは休日返上で働かなければならなくなることが明白だからです。

カルメンは、リモートワークになってから連絡が取れなくなったメンバーと近況報告をするために、毎週時間を割くことにしました。このような電話から、彼女は活力を得て、つながりを感じることができます。そのために、始業を早めて電話をする時間を作ることをいといません。


 

2. 緊張感の高まる中での感情のコントロール

レジリエンスを高めるセルフアウェアネスのもう一つの側面は、自分の感情トリガーを理解することです。このトリガーを理解すれば、後で後悔するような対応をしてしまうリスクを減らす自己調整のテクニックを身につけることができます。家庭、仕事、世界的な出来事などのストレスが重なると、他の人がいつ感情の頂点に達するかを予測するのは難しいものです。また、自分自身の限界すらわからないかもしれません。レジリエンスを高めるには、どのような状況で強い感情を抱きやすいのかを理解することが大切です。どのような状況でどのような場合に起こりやすいのかを知っていれば、「感情の高まりを弱める」ことが容易になります。自分の意にそぐわない反応をしようとしているときに、それがわかります。

 

トリガーを特定する

では、どうすれば自分のトリガーを特定できるでしょうか? 過去に感情的な反応をしたときのことを考えてみてください。どんな話題やパターンが頭に浮かますか? 職場におけるトリガーの例として、無礼な態度、話を聞いてもらえない、他人が自分の時間を無駄にする、職場のえこひいきなどが挙げられます。

自分のトリガーを特定するもう一つの方法は、自分のコア・バリューの逆パターンを考えることです。例えば、あなたが「インクルージョン」を大切にしている場合、会議中に説きふせられたり、無視されたりすると(あるいは他の人がそうされているのを見ると)、それが大きな誘因になります。

自分のトリガーを知ることは、戦いの半分を意味します。レジリエンスを高めるためには、自分の典型的なネガティブな反応を自覚することも必要です。これには、非生産的な方法で他人に不満をぶつけたり、あまりにも当たり前の結論に飛びついたりするような反応が含まれます(例:この会社では誰もが自分のことしか考えていない、誰も私のアイデアに耳を傾けない、など)。

このようなネガティブな反応を、より良い反応に変えることができます。例えば、何かのきっかけがあったときに、受動的攻撃行動をしてしまうことが多いのであれば、「待つ」という方法があります。強い感情が収まった後、自分の考えをまとめ、建設的でバランスのとれたフィードバックを提供します。火に油を注ぐことになるとわかっている同僚に、つい噂話をしてしまうのであれば、より中立的な立場の人に相談してみましょう。あなたの話を聞いてくれて、どうすればいいかアドバイスしてくれる人を探しましょう。

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3.自分の強みを最大限に活かす

激動の時代、人は自分が状況をコントロールできているという感覚をもちたいと願います。自分の居心地の良い場所で何かをすることで、達成感や自尊心を得ることができます。おそらく最も重要なことは、それが私たちに平常心を与えているということです。

多くの人は、自分の優れた才能に気づいていません(前述でも明示しましたが、実際に自己認識ができている人は稀です)。しかし、自分のリーダーとしての強みを知るには、いくつかの方法があります。

・自分のキャリアを振り返る 自分が最も満足感や達成感を得られたときのことを考えてみてくだ
 さい。あなたはどのようなスキルを発揮していましたか?

・自分をよく知っている人からのフィードバックを求める あなたの最大の強みは何だと思われて
 いますか?

・自分が最も優れているスキルを特定するために、360度診断 または他のアセスメント を受ける
 
自分でも知らなかった強みがありますか?

・仕事中に自分のエネルギーの度合いを確認する やる気や熱意を感じる仕事は、メモしておきま
 しょう。また、やる気を失ったり、気が乗らなかったりした仕事も記録しておきましょう。

リーダーシップを発揮すればするほど、より物事や状況をコントロールできるようになります。そのためには、自分の強みを活かしつつ、自分に合った行動をとれるような仕事を探す必要があります。

一般的なレジリエンス戦略には、より頻繁に「拒む」ことが挙げられているので、これは直観に反する考えであると感じるかもしれません。しかし、適切なことに対して「ノー」と言うことが重要です。そうすることで、自分の才能を最大限に発揮するチャンスを逃さないようにすることができます。

 レジリエンスとは、活力を取り戻す方法を知ること

レジリエンスは、優れたリーダー像を描くときに一番に思い浮かべるコンピテンシーではないかもしれません。しかし、自分自身のレジリエンスを高めることで、激動の時代に他者を導くための機会を創り出すことができます。

MSC/DDIのグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2021によると、チームメンバーが燃え尽きないように支援することに自信をもっているリーダーはわずか18%のみという結果が出ています。燃え尽き症候群に悩むチームを、リーダーが支援するための最善の方法は何でしょうか? リーダーは日々、チームのために全力でエネルギーを注ぎ、意欲的に行動する姿を示しています。これは、レジリエンスの高いリーダーであり、レジリエンスの高い人になるための重要な要素です。

最後に、レジリエンスとは空のガソリンタンクでどれだけ走れるかということではなく、途中でどのようにして充電や補給をするかということなのです。

 

原文はこちらをご参照ください。