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効果的なチームの6つの要素

チームの効果性とは?

チームの効果性は、どんな組織にとっても重要であり、その成功に大きな影響を与えます。しかし、現在、世界中のリーダーの58%がハイブリッド型勤務またはリモートワークをしており、彼らの多くはリモートで働くチームを効果的に率いるための新しいマネジメント・スキルを必要としています。

職場では誰もが感情的なニーズをもっていますが、リモートで働く人には特有の課題があります。孤独感、孤立感、コミュニケーションやコラボレーションの難しさ、気が散ることなどに悩まされているかもしれません。確固たるリーダーシップがなければ、これらの課題は生産性の低下から燃え尽き症候群に至るまで、チームに悪影響を及ぼします。 では、ハイブリッド型勤務やリモートワークの環境で、チームの効果性を確保するにはどうすればよいでしょうか?

チームの効果性とは、従業員が共通の目標を達成するためにどれだけ協力し合えるかということです。
効果的なチームの一員であることを想像してみてください。各メンバーは自分のスキルや関心事に基づいて、明確に定義された役割をもっています。全員が互いの意見を尊重し、支え合うことで、円滑に協働することができます。あなたは、特にチームリーダーから評価され、感謝されていると感じ、自分の役割を果たす同僚を信頼しています。共に自信をもって課題に取り組み、成功を祝い、共通の目標に向かって進みます。それはまるで、全員がベストを尽くし、互いに励まし合って優勝するスポーツチームにいるかのようです。効果的なチームで働くことは、生産的なだけでなく、自分が特別なチームの一員であると感じられるため、楽しいことでもあります。

1. 共通の目的を強化する

リーダーは、しばしば戦略に焦点を当ててビジネスを推進します。一方で、目的意識とビジョンをもって、チームを鼓舞しなければなりません。
方向性を示し、最新情報を提供することで、チームを団結させ、周囲と調和を取りながら正しい方向に導く必要があります。
さらにリーダーは、変化が個人の目標や目的にどのように影響するかをチームに示し、彼らの努力を認めることが大切です。
従業員はなぜその業務を行っているのか、それがどのように競争優位をもたらすのか、そして自分のチームの目標が組織全体の目標と一致しているかを、誰もが認識する必要があります。自分のチームの存在意義とビジネスへの影響を理解することが重要です。この目的意識は、単に従業員の士気をあげるだけではなく、エンゲージメントにも大きく関わります。

MSC/DDIのグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2023調査によると、目的意識の高いリーダーは、自分の役割に積極的に従事していると感じる確率が9倍になります。
そして、エンゲージメントが高まれば、定着率も高まります。同調査でも、強い目的意識をもっているリーダーは、今後1年間、組織にとどまる確率が2.4倍になることが示されています。

2. 役割を明確にする

組織は常にビジネス環境に適応しています。グローバル市場で組織は常にビジネス環境に適応していきます。グローバル市場では、競争力の維持や、人工知能(AI)の急速な進展などへの対応が求められます。同時に、従業員の柔軟な働き方等、福利厚生に対する期待も考慮しなければなりません。こうした変化は、従業員の役割や責任も変わることを意味します。しかし、責任の変化により、チーム内で混乱が生じる可能性もあるため、リーダーは役割を明確に伝えることが必要となります。
特に、リモートワークやハイブリッド型勤務の環境では、この点が重要です。リーダーは、従業員が目標達成に専念できるように、誰が何をするかをはっきりと示し、細かく管理せずにチームを率いる必要があります。個々人の目標と責任を設定し、期待される成果を明確にすることで、それぞれのすべきことが定まります。さらに、リーダーは、メンバー一人ひとりの資質、能力、モチベーションが、それぞれの役割に適しているかどうかを確認することも大切です。チームメンバーは、意思決定や仕事の割り当ての際に、自分の範囲を把握したうえで、リーダーをサポートしなければなりません。

3. 実現プロセスを促進する

チームは自分たちの目標を理解していますが、その目的を達成するための手段を備えているでしょうか?
リーダーはこの点を見落としてはなりません。効果的なチームは進捗状況を共有し、フィードバックを収集します。特に、ハイブリッド型勤務やリモートで働くチームでは、これらを意識的に行うことが極めて重要です。
チームには、成功と失敗を振り返る時間が必要です。また、仕事をするための時間、スタッフ、予算や、その他のリソースを確保しなければなりません。成功するチームには、仕事の計画、進捗確認、文書化、管理方法に関する明確なプロセスがあります。
時間の使い方もコントロールする必要があります。IGLOOの調査では、約47%の従業員が職場での会議は非生産的だと回答しています。会議の効果性に関する専門家、スティーブン・ロゲルバーグ博士の調査によると、米国だけでも1日5,500万件以上の会議が行われており、従業員は週に平均5~6時間を会議に費やしています。上級管理職は週に23時間近くを会議に費やしているという調査結果もあります。
職場における時間管理は、どこで働いていても難しいものです。71%の管理職が会議を非生産的で非効率的だと回答していることからも、会議に対して不満を抱くチームが多いことは容易に理解できます。
リーダーは、業務が遅れていないかどうか、効率の悪さや無駄な時間が原因となっていないかをチェックする必要があります。さらに、チームに不足しているものがないかを確認するためにも、定期的にフィードバックを求める時間を設けるべきです。

4. 心理的に安全な環境を醸成する

チームメンバーは、快適さを感じ、認められ、関わりたいと願っています。しかし、残念ながら、大多数のメンバーがこのように感じていないのが実情です。チームは、高いレベルの信頼、快適さ、心理的安全性、理解があると、感情面の安定が保たれます。また、お互いを尊重し、全員の意見を積極的に取り入れ、ブレインストーミング・セッションなどの共同活動に参加することも必要です。チームリーダーは、オンラインミーティングでカメラを使用するなどの簡単な方法を取り入れることでも、参画を促し、エンゲージメントやインクルージョンに関する非言語的な手掛かりを探すことができます。
リーダーがインクルーシブ(包括的)なチーム環境を推進していると回答した従業員は、わずか31%でした。これは、ほとんどの従業員が職場での心理的安全性を確保できていないことを示しています。経営幹部を信頼している組織は、信頼度の低い組織と比較して、斬新なアイデアやソリューションを生み出す確率が約3倍高くなっています。また、失敗を恐れず、新しいアイデアを試し、学びの機会を大切にする傾向があります。
心理的安全性は、特に危機的状況や不確実性の高い時期において、チームにとって極めて重要な要素となります。リーダーは、感情的なつながりを築き、チームのエンゲージメントを高め、生産性を維持することに努める必要があります。

5. コラボレーション精神を奨励する

私たちがチームで働く理由は、目標を達成するには、お互いの協力が不可欠だからです。協力的な雰囲気があれば、全員が一堂に会して、仕事に取り組むための最善の方法を考えるようになります。これにより、プロジェクトチームに新しい多様なアイデアや視点がもたらされることがよくあります。
チームのコラボレーションが保証されるわけではありませんが、グローバルリーダーの61%が、緊密な協働は今後3年間で開発したい分野であると回答しています。そして、現在、緊密な協働が非常に効果的に行われていると回答したリーダーは、そのうちのわずか41%にすぎません。コラボレーションの欠如が与える影響は人によって異なります。しかし、すでに孤立を感じながらリモートで働いている従業員にとって、コラボレーションは特に重要です。
だからこそリーダーは、チームの効率性を高めるために、コラボレーション精神を促さなければなりません。チーム内に関連情報を開示して確実に共有し、個人の成果よりもチームへの貢献を優先させるように働きかけるべきです。

6. 成長志向を育む

パフォーマンスを向上させるには、学び、成長する必要があります。効果的なチームは、組織全体に多くのアイデアと成果をもたらし、成長を促進します。このようなアイデアは、新しい問題解決方法を試したり、ブレインストーミングを行ったりすることから生まれます。
チームメンバーが互いに学び合うことは、成長し続けるために重要な手段のひとつです。チームは、全員が共に成長し、スキルを身につける機会を提供します。実際、多くのリーダーが、自己学習よりも、同僚との対話を通して学びたいと考えています。さらに、リーダーの31%が、より多くのピアコーチングを望んでいると回答しています。
リーダーはこうした機会を促し、提供しなければなりません。これは、革新的なアプローチを見出し、チームのエンゲージメントを維持しながら仕事を完遂させるために最良の方法のひとつです。また、成長と育成の機会は、ハイポテンシャル人材の定着に大きな影響を与えるという調査結果もあります。
困難を共に乗り越えることで、チームは学び、成長していきます。しかしリーダーは、相手の話に耳を傾けるタイミングを認識することも重要です。時には、チームを率いるのと同時に、リーダー自身もコーチングを受けると、貴重な洞察が得られるでしょう。

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執筆者:DDI社 プロダクトマネジメントチーム バイスプレジデント ヴェリティ・クリーディ

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